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最終更新日:2011年7月5日

理事長コラム「窓辺」(静岡新聞夕刊連載)

院内暴力の増加(6月18日静岡新聞夕刊掲載)

 病院で患者さんが大声で暴れ、診療がストップすることがあります。教育現場では教師に理不尽な要求を突きつける親を「怪物」に例えて「モンスターペアレント」と呼びますが、医療現場でも暴言・暴力を繰り返し、理不尽な要求を出す患者や家族を「モンスターペイシェント」と呼びます。患者の権利意識の高まりやモラルの低下が背景にあるのでしょうが、その頻度はこの数年急増しているようです。

 2年ばかり前に全国の病院でアンケート調査が行われました。病院の半数が回答し、院内暴力に対する病院の関心の高さが示されました。その結果によると、1年間に病院の半数以上で職員が患者や家族から暴力を受けており、1病院当たり平均12件の発生でした。

 内訳は、患者から暴言を吐かれるなどした精神的暴力が20%と最も多く、患者の暴力でけがをしたなどの身体的暴力は17%、セクハラは7%でした。また患者の家族から暴力やクレームを受けたケースも7%ありました。ただ病院側が警察に届け出たケースは、全体の6%、弁護士に相談したケースも2%に過ぎません。

 患者の暴力で職員が精神的ショックを受けたケースは70%と高く、施設の備品が損壊したケースも25%に上りました。暴力を受けた職員は看護師が約9割と最も多く、次いで事務職や医師でした。患者の暴力に耐えかねて退職する職員も増加しています。

 院内暴力の被害状況を把握する体制は約4割の病院が整備していましたが、対策マニュアルやガイドラインの整備、院内暴力を回避するための研修会などの施行は1割台でした。警備員の巡回や警察官OBの配置、護身用のスプレーを常備する病院もあります。警察にご協力をお願いせざるを得ない状況が増えてきているのは残念なことです。

文:地方独立行政法人静岡県立病院機構理事長  神原啓文

 

静岡新聞社編集局調査部許諾済み

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