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最終更新日:2011年7月5日

理事長コラム「窓辺」(静岡新聞夕刊連載)

医療メディエーター(6月25日静岡新聞夕刊掲載)

医療事故などの悲劇を繰り返さないためには、何よりも医療の安全を念頭に置かなければなりません。しかし、不幸にして医療事故が生じた場合、医療不信、医療者と患者とのコミュニケーション不足、コミュニケーション不全が生じます。

場合によっては訴訟となりますが、訴訟では患者側の望むもっと素朴で人間的な要望に答えたり、満足度を高めることにはつながりません。法律による解決には限界があり、精神的・時間的・経済的な消耗感のみが残る場合が多いものです。医療紛争は、医療者と患者側の双方の在り方によって大きく左右されるものです。

そのようなトラブルに際してのより良い対応策の一つとして、医療メディエーター(対話促進者)の存在が重要になってきています。すなわち、患者側と医療側の対話の橋渡しをする役割です。双方に生じた感情的な齟齬や生活状況の変化などさまざまな問題を、訴訟のように敵対的・限定的にではなく、対話を通してできる限り協働的かつ柔軟に解決していこうというものです。

メディエーターは、法律的な解決には係わりませんが、患者さんに寄り添い患者さんの不安や疑問に耳を傾け、中立的な立場でそれを医療従事者に伝え、医療機関の真摯な対応を促進するものです。医療事故という不幸な出来事をめぐって、訴訟が過去の医療行為を回顧的に責任認定するのと対照的に、未来志向的によりよい方向を創造的に模索し、事故にかかわった患者側、医療者側双方にケアを提供し、対話の促進をしようとするものです。患者側にも、訴訟より質の高い解決を提供できる可能性を持っています。

財団法人「日本医療機能評価機構」が2004年から養成講座を開講しており、養成者の増加が望まれています。

 

文:地方独立行政法人静岡県立病院機構理事長  神原啓文

 

静岡新聞社編集局調査部許諾済み

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