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最終更新日:2011年7月5日
(全国自治体病院協議会雑誌2010年11月号掲載)
近年、わが国は医療提供体制の大きな変革期にあると思われる。それは、小泉首相の時に始まった医療費削減がきっかけの一つであろう。諸外国に比べて入院期間が長いこと、一般病床の多さなどが目立つことを考慮して、一般病床の削減、医療施設間の役割分担、DPCの導入などの政策が進められてきた。
日本の静岡と愛知県の3病院およびカナダの3病院で行っている我々の共同研究では、医療費が基本的に公費で賄われているカナダとわが国の医療システムを比較検討してきたが、中でも目を引くのは入院期間の差である。わが国の平均入院期間も19日にまで短縮されては来たが、カナダでは6日程度である。入院期間が1/2に短縮するとマンパワーは2倍以上必要になるとされているが、カナダの急性期病院においては日本の3~4倍の医師、看護師を有しており、さらに業務の役割分担が進んでいる。
わが国では、これまでマンパワーの増強なく、入院期間の短縮が図られてきたところに大きな問題がある。全国で医師確保対策や医療崩壊を食い止める努力がなされているが、医師確保対策と言っても、現状では所詮日本というパイの中での医師の取り合いがなされているにすぎない。しかも、病院の現場にその努力を押し付け、国は直接有効な施策を推進する責務から逃げているように見える。入院期間の短縮を目指す国のスタンスが医療費の削減なのか、国民に最良の医療を提供しようとするのかあいまいである。二兎を追って二兎を手に入れることは望むべくもない。
高福祉(?)、低医療費を望むなら、むしろ入院期間の短縮など行わない方が良いかも知れない。高度医療を追求すれば、当然ながら医療費の増加をきたす。それを避けるべく高度医療の提供体制を限定するとするなら、どのように対象者を選択し、どのような医療提供体制を構築するのかを明確にしなければ効率的な医療システムを作ることは困難と言わざるを得ない。
カナダでは、医療のアクセスを制限する一方で、急性期病院の入院期間は非常に短く、多大なマンパワーを投入している。そのような努力にもかかわらず、医療費はGDP比10.4%とわが国の8.1%を凌駕している。急性期から慢性期、さらに在宅医療にむけてのシームレスな流れを構築すると共に、急性期医療を如何にして効率的に提供するかが国と自治体(病院)に求められているのではなかろうか。
全国自治体病院協議会雑誌・編集委員
静岡県立病院機構理事長兼静岡県立総合病院長
神原 啓文
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