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ホーム > 県立病院機構について > 理事長挨拶 > 理事長コラム > 「医療事故への遭遇と病院からの勤務医立ち去り」

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最終更新日:2011年7月5日

(静岡県病院協会会報2011年3月号掲載) 

「医療事故への遭遇と病院からの勤務医立ち去り」

 

  

                                                神原 啓文

静岡県病院協会医療事故防止部会部会長

静岡県立病院機構理事長兼総合病院院長

 

 近年、勤務医の立ち去り現象が注目されている。その原因の一つが、医療事故への遭遇である。医療は善意に基づく行為として患者さんに提供されるが、不幸にして事故が生じた場合、事故の再発を防ぐため、原因を追究し、その遠因について検討を重ねる。すなわち、事故を前向きに捉え、次なる事故の未然防止に繋げるのであるが、当事者の医療者は患者サイドとの軋轢に耐えかねて、残念ながら、多くの場合事故後に病院現場を去る結果になっている。事故は個人の責任というよりは、その基盤にシステムエラーがあるとして対応するのであるが、ご本人にとっては大変な重荷である。近年、分娩事故に対して無過失補償制度が導入されてたが、基本的に全ての医療事故にこの制度が導入されるべきであり、また、医療者・患者双方の精神的負担を軽減し、お互いの納得感を得られるようにするためにメディエーターを養成し、その力を借りられる体制を構築することが喫緊の課題である。

 医療の質は、医療技術的側面と、安全性の両面からなると言えよう。米国で始まった医療安全の推進のための100K運動は、医療事故による死亡を年間10万件減らそうという全国運動で、運動によってその成果が見られたという。わが国でもこの運動を見習い日本版の「全国医療安全共同行動」が始まり、静岡県でもその運動に共鳴して、2010年10月に安藤会長の下、静岡県病院協会が主催し、多くの関係団体と共催して「静岡県医療安全共同行動静岡フォーラム」をグランシップで盛大に開催したことは皆様の記憶に新しいところであろう。この推進運動にみられるように静岡県は全国でも数少ない先駆的取り組みを行っている代表的な県と言える。実は、静岡県病院協会ではこの運動に先立ち平成13年より医療事故防止部会を立ち上げて県内全域にわたり積極的な活動を続けてきたが、平賀前会長のお声がかりで、全国共同運動に参画することになった。この運動は県内では自然の流れとして大きな盛り上がりをみせた。

 如何なる人もミスなく日々の業務を行うことは不可能である。フェイル・セーフ、フェイル・プルーフのシステムを構築することが望ましいが、全ての行為に関してそのようなシステムを作ることは無理である。出来るだけ役割分担とチームワークを築き、重要な行為にはダブルチェック、トリプルチェックを入れてより良きアウトカムを導かなければならない。職員の勤務状況を改善し、安全のための工夫を行いながら、マニュアル作成、マニュアルを風化させないように、普段より努力して、事故の発生頻度を1%でも、2%でも下げられるようにすることが不可欠である。科学技術は進歩するが、人の手によることが多い医療は普段の努力なくして安全性を保つことは難しい。「継続は力」と言われるように、医療安全はその継続が最も重要な分野である。地道な教育と訓練を継続することを怠ってはならないと今一度肝に銘じたい。「安全文化」を醸成し、勤務医の立ち去り、医療者の疲弊が無くなることを願って止まない。

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部署名:経営管理課

電話:054-200-1610

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