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ホーム > 県立病院機構について > 理事長挨拶 > 理事長コラム > 「しずおかバーチャル・メガ・ホスピタル」の構築について

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最終更新日:2011年7月5日

(全国自治体病院協議会雑誌2011年1月号掲載) 

「しずおかバーチャル・メガ・ホスピタル」の構築について

 

 医療機関が電子カルテシステムを導入するための環境整備として、1999年に厚生省から「診療録等の電子媒体による保存について」という通知が出された。これにより、医師法に規定する診療録等で真正性、見読性、保存性の3基準が各施設の責任において担保できれば電子媒体に保存することが可能となった。また、内閣に設置された「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)」による「e-Japan重点計画」の策定を契機に、2001年に「保健医療情報システム検討会」より、情報技術を活用したその後の望ましい医療の実現に関し、「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」が公表された。その中で、02年度から概ね5年間に医療における情報化の達成目標と共に、産官学の役割分担と情報化を推進するためのアクションプランが提示された。電子カルテシステムの普及策としては、医療機関の導入コスト軽減のため、01年度、02年度に経済的支援が行われた。10年6月にはIT戦略本部は「どこでもMy病院」構想を公表、電子的医療・健康情報の整備を推進し、中期計画として13年までに調剤情報管理サービスの検討などを行うとしている。また、シームレスな地域連携医療の実現については、10年度中に具体的方針を固め、11年度に地域連携医療情報ネットワークのモデル構築に着手するとしている。

 

静岡県は、深刻な医師不足(人口10万人当たり医師数:全国ワースト4位)と都市部への医療機関集中による地域偏在により、医療サービスのレベル低下が危惧されている。また、東海地震発生の危険もあり、県全域での広域的医療連携体制の構築は喫緊の課題である。

我が静岡県立病院機構では、総務省の「地域ICT 利活用広域連携事業」の委託を受けて、複数の自治体とそれぞれの地区の自治体病院、および10カ所ばかりの診療所を広域的に連携してネットワーク「しずおかバーチャル・メガ・ホスピタル」の構築を進めている。このネットワークが構築出来れば、連携病院同士で、あるいは地域の診療所はPC端末さえあれば紹介先の病院の検査結果や治療情報をリアルタイムに知ることができ、また診療経過を簡単に閲覧できる。病院側では、退院後の患者の診療所における受診状況などを把握することも出来、地域完結型医療としての情報の共有化が推進できる。その結果、検査や投薬の重複を避け、医療の安全性の向上や効率化に繋げることが可能になる。すなわち診療所の医師は患者の同意を得て病院と共同診療医契約を結べば、初期費用や利用料なしで、病院の電子カルテを閲覧できるし、病院の医師は診療情報提供書作成の負担を軽減できる。

 

静岡県内では地域医療連携の取り組みとして、これまでに静岡県版電子カルテから発展した厚生労働省の電子的診療情報システム(SS-MIX:Standardized Structured Medical Information exchange)の標準化技術を活用して異なるベンダー間での電子カルテ情報を共有してきている。また静岡市内では、病院・診療所が推進する連携安心カードの配布による病診連携ネットワーク、「イーツーネット」が稼働している。

 

今回の委託事業では、県全域一患者一IDの「県内どこでもMyカルテ」や“N対N型の診療情報連携”、“クラウド型診療所システム”など、先進的なICT技術を駆使し、多地域・複数施設間を超えて医療サービスを提供するもので、「しずおかバーチャル・メガ・ホスピタル」の基盤構築のモデル実験になっている。従来の地域連携では1病院と複数診療所を結ぶ1:N型であったが、地域連携を利便性良く効率的に運用するためには、複数の医療機関の双方向連携(N対N型)が必要で、その仕組みを構築する。診療所側におけるシステム利用の仕組みは、利用システムごとのソフトインストールが不要で、接続先を意識することなく必要な情報へアクセスできるクラウド型webシステムであり、パソコンとインターネット接続環境があれば参加可能となる。地域連携クリニカルパスにおいても、ネットワーク上でファイルを共有でき、施設間でタイムリーに情報伝達がなされ、前方・後方での一貫した医療サービス提供の体制となる。また、中核病院と遠方に位置する診療所とのカンファレンスや診療補助などを、データ回線を利用したテレビ会議システムを導入することにより、コンサルテーションなど従来、困難であった診療支援も実現できるように計画している。

同時に、「しずおか広域医療ネットワーク協議会」を中核にして、県内のICT関連事業者や教育機関、医療施設のICT部門と連携して“ICT人材育成クラスタ”を構成する体制をスタートすることになっている。

 

本年の3月には、この運用が開始され、その実体験が味わえるはずである。また、近い将来、政府が唱える「どこでもMy病院」構想に沿って、患者が県内はもとより国内どこに出かけても、医療の必要性が生じた場合には、その地域の医療機関で自分のカルテを見てもらいながら診療を受けられる日が来るものと期待している。

 

 

静岡県立病院機構理事長

静岡県立総合病院院長

神原啓文

お問い合わせ

部署名:経営管理課

電話:054-200-1610

ファックス:054-247-1021

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