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お薬のはなし
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経口補水の方程式

最終更新日:2018年6月12日

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minaduki



6月になりました。
水無月という名を持つ月ですが、漢字から受ける印象とは裏腹にまだまだ梅雨真っ只中!
じめじめした日が続きます。

netttyuusyou

梅雨が明けると、夏が始まりますね。
ここ数年は猛暑となることが多く、何もしなくても汗がダラダラ…。
そうなると熱中症が問題となってきます。
ニュースで取りざたされているのを耳にするのも珍しくはありません。
その症状の1つに脱水症いうものがあります。

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ajisai


人間の体の約60%は水分でできています。
その水分は体液と呼ばれ、ナトリウムイオン・カリウムイオン・カルシウムイオンなどの電解質とブドウ糖、タンパク質、尿酸などが含まれます。
この体液が不足した状態が脱水症です。
熱中症のほかに、下痢・嘔吐・発熱・年齢からくる体液不足・発汗などが原因で起こります。

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脱水症では、集中力の低下や足のつり、痺れ・脱力や食欲不振などの症状が現れますが、症状があまりない「かくれ脱水」もあり注意が必要です。

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その脱水症に対して近年話題となっているのが「経口補水療法」!
以前は血管から水と電解質を補給する点滴治療が一般的でしたが、点滴は痛かったり高かったり時間がかかったり…。
「経口補水療法」とはそれらを口から補給する治療法のことです。

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「経口補水液」…耳にしたことはあれども、その正体は一体??
簡単に説明すると、食塩+ブドウ糖+水、です。


では水だけと何が違うのでしょう?

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通常、脱水症や下痢を起こしている時には大腸での水分吸収が上手にできない状態になっています。
そんな症状で大変な時は水を飲んでも大部分が吸収されずにそのまま排泄されてしまいます。
経口補水液には食塩由来のナトリウムイオンとブドウ糖が一番吸収しやすい割合で含まれています。
これらが小腸で吸収される際に水分も一緒に小腸で吸収されるという仕組みです。
いつも水分を吸収している大腸が大変な時、上手に水分とブドウ糖・食塩をとれば小腸が助けてくれるということです。

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人間の体って複雑だけど便利にできていますね。

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昔、熱を出した時にスポーツドリンクを飲むといいよ、と言われたことはありませんか?
スポーツドリンクは確かに汗で失われた水分やミネラルを補給してくれます。
運動や熱で汗がダラダラ…そんな時にはスポーツドリンクも良いかもしれません。
ただ、経口補水液と比べると塩分が少なく糖分が多いなどバランスが違います。
病気などで失われた水分補給には経口補水液が適していると言えます。

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余談ですが、昔から風邪やお腹を壊した時に梅干しをのせたお粥を食べたものです。
これ、実は理にかなっているんですよ。
お粥(=お米(=炭水化物=糖分)+水分)と食塩(=ナトリウムイオン)を含む梅干し!
水分補給は塩分・糖分と共に、ということが自然に行われていたのですね。

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そんな経口補水液!
ただ闇雲にのめばいいというわけではありません。

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*常温で飲みましょう
冷たく冷やした方がおいしいかもしれませんが、冷たいものはお腹に負担がかかります。


*一気飲み禁止!ゆっくり飲みましょう。
一気飲みも体に負担がかかります。
急に大量の水分等が入ってきたら体も腸もびっくりしてしまいます。
*他の飲み物と混ぜないこと。
せっかく良いバランスでできている経口補水液が薄まってしまいます。

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*適当な水分・糖分・塩分の摂取は×!
経口補水液は、人間の機能を考えて絶妙なバランスで作られています。
この3種類を同時にとれば何でもいいわけではありません。
脱水症の時には、きちんとバランスが考えられた経口補水液を飲みましょう。


*無理やり飲まないこと。
飲むことが無理であれば速やかに医療機関にかかりましょう。


*ナトリウムやカリウムの制限がある場合は注意!
心臓や腎臓に持病がある方、医師から塩分(ナトリウム)やカリウムの制限を指示されている場合は自己判断で飲むことは危険です。
暑い夏はこれから始まりしばらく続きます。
外で元気に遊んだり、山や海で過ごしたり、夏ならではの楽しみもたくさんあることでしょう。
そんな楽しみの中、熱中症にかかってしまっては大変です。
まずは脱水症になたないように水分摂取を心がけましょう!

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