グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



当院をご利用される方
ホーム  > 当院をご利用される方  > 診療科紹介  > 神経内科  > 神経内科:診察Q&A

神経内科:診察Q&A

最終更新日:2014年12月4日

静岡新聞の診療室に掲載されたもので、本院の医師が回答したものです。医師の肩書等は新聞掲載当時のものです。


問1 眠ろうとすると皮膚がむずむず

69歳の女性。50年前の虫垂炎の手術の日から、手術跡から右ひざの皮膚の下を虫がはっているような「もやもや」「むずむず」感があります。眠ろうとすると症状が出ます。

答:レストレス・レッグス・シンドロームか…(2001年9月27日 神経センター長 原田 清)

症状を拝見しますと、restless legs syndrome=レストレス・レッグス・シンドローム=と呼ばれる症候群が当てはまるように思います。これは、両足に虫がはうような耐え難い不快感、むずむずした感じを訴えの中心とする病態であります。多くの場合、昼間の動いているときには目立たず、比較的安静にしているときや、夜寝ているときに症状が増悪します。このため、しばしば睡眠が障害されることになります。原因としてはいろいろなことが言われておりますが、確定しておりません。
妊娠や糖尿病、尿毒症などを背景としておこることもありますが、今までの報告では手術を原因としてあげているものはないようです。経過が長いのでさまざまな要因が複合的に症状に関連しているのではないかと思います。治療としましては、禁煙やアルコールを控えたり、就寝前の足浴を行うなどして体の調子を整えること、背景となる病態(尿毒症や糖尿病など)があればその治療をすることがあげられます。また安定剤やクロナゼパン、カルバマゼピン等、通常はてんかんの治療に使われる薬剤等を服用すると症状が軽減する場合もあります。

問2 帯状疱疹の痛みひかない

79歳の男性。おなかに帯状疱疹ができて三ヶ月になりますが、硬膜チューブの挿入もなかなか思うところに薬が入らず、三回目で断念、現在は坐薬で治療中です。ピリピリ、しくしく続く痛みに効く方法はありますか。

答:抗うつ剤などを服用 根気強い治療続けて…(2001年12月26日 神経センター長 原田 清)

帯状疱疹はウイルス感染によりおこる疾患で、皮疹と疼痛を主症状とします。皮疹は、水疱を形成して三週間くらいで治りますが、皮疹が消失した後も神経痛を残すことがあり、皮疹が治ってから三ヶ月を経てもしびれ感や疼痛が残る場合は帯状疱疹後神経痛と呼ばれます。この帯状疱疹後神経痛は高齢者に多くみられるため、高齢者社会を迎え問題となっている病態の一つです。
基本的にはウイルスにより神経が障害されて起こる病気ですので、病初期に抗ウイルス剤を使用するのがよいのですが、高齢者で腎障害がある場合には副作用を生じる場合もあり注意が必要です。三ヶ月を経ても疼痛が残る場合の治療は長期化する場合や、通常の鎮痛剤が効果を示さないことも多く、内科的には抗てんかん薬や抗うつ薬、抗痙縮薬が用いられています。ペインクリニックでは硬膜外麻酔や神経ブロックなどが施行されます。低出力レーザーを局所にあてて疼痛が緩和できたという報告もありますが、きめてとなる治療法はまだ確立されていません。根気強くなおすという気持ちが大事かと思います。

問3 でん部痛がり極端に筋肉も落ちた夫

59歳の夫。昨年から両側のでん部が肉を引きちぎられるように痛むと言います。筋肉も極端に落ちています。41歳のとき、脳溢血で右側に軽いまひやしびれがあります。49歳で大腸がん手術を受けました。

答:腰椎の病気か…(2002年1月7日 神経センター長 原田 清)

両側のでん部の痛み、および筋力の低下、筋肉に萎縮がみられる、ということであれば、腰椎の病気がまず考えられます。腰椎は、脳から出た神経の束(脊髄)が一本、一本分かれて下肢の運動や感覚を伝える末梢神経となっていく部分です。加齢性の変化による腰椎の変形、腰椎の腫瘍性病変などにより腰椎を通る末梢神経が圧迫などの障害を受け、痛みや筋肉の萎縮が引き起こされている可能性があります。腰椎単純写真や腰椎のMRIなどを撮影し、こうした病変が見られないか確認していく必要があります。また腰椎を出た後の末梢神経が両側性に障害を受ける場合もありますので、骨盤膣内をCTなどで検索する必要もあるかと存じます。
筋肉そのものの病気としては、筋炎が両側性に生じる場合もあり、この場合は血液検査や、筋肉のCTで診断がつけられます。リウマチ性多発筋痛症という病気は、赤沈の亢進や全身倦怠感および四肢近位筋の筋痛を生じる疾患ですがステロイドというお薬がよく効きます。いろいろ考えられますので、とりあえずは医療機関を受診してみてください。

問4 頸椎症で耳鳴りやしびれ治らない

65歳の女性。3年前に目まい、立ちくらみ、耳鳴り、指先のしびれがあり受診したところ、小脳静脈血管腫と頸椎症と診断されました。薬をのみ症状は少し改善しましたが、耳鳴りと両手や口角、舌の先のしびれは治りません。不眠症もあります。

答:日常動作の改善を…(2002年1月10日 神経センター長 原田 清)

脳にできる静脈血管腫は、症状を出すこともほとんどなく、現在ある耳鳴りや目まい、手のしびれ、立ちくらみの原因がこの血管腫であるとは考えにくいと思います。
脳外科の専門医が診られているようですので放置してよいでしょう。また手のしびれを起こす原因として頸椎症を指摘されていますが、この疾患は加齢などにより頸の骨が変形し、神経を圧迫することにより神経症状を起こす病気の総称です。人によって症状の程度はさまざまで、歩行ができなくなる場合や手に力が入らなくなる場合には手術療法もありますが、お手紙の症状では

  1. 日常生活で頸部の過度の運動を避けること
  2. 枕の高さを調節する
  3. 腹ばいで本を読まない、手仕事などで長時間にわたり頸部を前屈させない

などの生活の中での改善を目指すのがよいと考えます。頸椎症により目まい感を生じることもありますが、立ちくらみもあるようなので、低血圧など循環器内科的な疾患も考慮して内科的検索を行っていくのも一案です。これらの症状は不眠により悪化する場合もありますので、主治医の先生と相談していただければと考えます。

問5 脳梗塞で右半身しびれつらい日々

63歳の女性。体の右側の脇の付け根から指先にかけ強いしびれがあります。右半身が石のように固まったようでつらいです。脳外科では脳梗塞だから一生治らないとのこと。血圧の薬と安定剤を服用しています。

答:鍼や灸などで症状緩和も…(2002年1月24日 神経センター長 原田 清)

脳梗塞は脳の血管が閉塞し脳組織が障害されることにより症状が起こる病気です。種々の治療により症状の改善をみることができるようにはなってきましたが、死亡する場合や後遺症としてまひや意識障害など重篤な症状が残る場合もあります。
もう一つの問題は、運動障害は比較的軽度で意識障害もないが、痛みやしびれ感、頭重感、意欲の減退などが後遺症として残り治療に難渋する場合です。こうした症状が起こる機序の一つは、神経細胞の障害による直接的なものですが、もう一つの要素として脳の障害や自己への不安による抑うつ気分があります。従来から後者に関しては、患者さんからすると認めがたいことと考えられる傾向があります。しかしながらストレスにより、胃かいようやぜんそくが悪化するのは周知の事実であり、近年ではこうした側面に配慮する傾向になってきています。また鍼や灸などの物療的考え方も取り入れられてきています。骨折と同様に傷痕は残るかもしれませんが、症状を緩和させることは可能です。病態を受容し、前向きに取り組んでいく気持ちが必要かと考えます。

問6 歩くと右臀部に鈍痛 腰掛けると消える

81歳の男性。半年前から20分くらい歩くと、右側臀部から腰下部にかけて鈍痛が出て次第に強くなり、30分ほどすると歩きずらくなります。3~5分ほどベンチに腰を下ろして休むと痛みがなくなってしまいますが、再び歩き出すと元の症状が出てしまいます。

答:腰椎脊柱管狭窄症の疑い…(2002年7月18日 神経センター長 原田 清)

20分間くらい歩行すると痛みが出現し歩けなくなるが、ベンチに腰を下ろして休息すると歩けるようになるという症状は、間欠性跛行(はこう)と呼ばれるものであり、腰椎脊(ようついせき)柱管狭窄(きょうさく)症や下肢の閉塞(へいそく)性動脈硬化症でみられます。お手紙からは腰椎脊柱管狭窄症が疑われます。
脊椎管狭窄症は加齢などにより椎体や靭帯(じんたい)などが変性し、神経が通る空間が狭められ神経を圧迫することが原因と考えられています。高齢化社会においては頻度も増大し社会的にも重要な疾患といえます。
「ぎっくり腰」とは異なり症状はゆっくりと進行性に増悪するのが特徴です。
通常は歩行や立位により両下肢の疲労と脱力、知覚障害、しびれ感が生じますが、片側の痛みを伴うこともあります。前傾姿勢をとると症状が改善することが多く、ショッピングカーを押して歩くことは可能な場合もあります。特徴的な症状と腰椎のエックス線写真、腰椎MRI撮影の所見等により診断され、治療としてはプロスタグランジン誘導体の内服や外科的治療が行われています。
一度神経内科、整形外科、脳神経内科など専門医を受診していただければと思います。

問7 診断は内リンパ水腫だが

65歳の女性。23年前から目まいがあります。起き上がった時や寝た時など頭の位置を変えると起こり、1分ぐらい待たないと立ち上がれません。以前、この欄で読んだ良性発作性頭位めまい症と症状が似ているのですが、今回行った耳鼻科では内リンパ水腫との診断でした。

答:良性発作性頭位めまい症の疑いも…(2002年7月23日 神経センター長 原田 清)

お手紙からは、ご指摘のごとく良性発作性頭位めまい症も疑われます。良性発作性頭位めまい症は、頭の位置の変化、(特に就寝、起床時にあおむけに寝ている姿勢から座ったり、座った姿勢からあおむけに寝たときが多い)によりめまいが誘発される病気です。
平衡感覚を司っている三半規管の中で耳石の位置が不適切になり、頭の位置の変化により神経が刺激されてしまうために、めまいがおこると考えられています。内リンパ水腫というのはメニエール病の原因とされている病態であり、特に誘因なくめまいがおこり、難聴や耳鳴などの耳症状が随伴するもので良性発作性頭位めまい症とは異なります。
良性発作性頭位めまい症の治療法は内服薬によるものと、耳石置換法と呼ばれる理学療法があります。後者は頭の位置を順番に変えていくことにより、耳石を神経の刺激を発生させない位置に移動させ症状を軽快させることを目的とした治療法です。この方法が効果があれば、良性発作性頭位めまい症の可能性が高いということになります。一度発作時に耳鼻咽喉科にてみていただくのも良いかと思います。