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頭頸部・耳鼻いんこう科:診察Q&A

最終更新日:2014年12月18日

静岡新聞の診療室に掲載されたもので、本院の医師が回答したものです。
医師の肩書等は新聞掲載当時のものです。


このページの目次


問1 耳鳴りが治らない74歳女性

74歳の女性。職場を離れ半年ぐらいしてから耳鳴りが始まりました。ジーンとセミが鳴いているような感じで初めは気になりませんでしたが5、6年してから気になるようになりました。頭痛はありませんが血圧が高いと言われ降下剤を飲んでいます。白内障で通院もしています。耳嶋りは何が原因でしょうか。

答:根治難しいが治療試して…(1996年4月16日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

高齢者の耳鳴りというのは少なからぬ頻度で見られる訴えですが、実際のところそのはっきりした成因は解明されていません。この患者さんのようにジーンといった耳鳴りのほか、キーン、ゴーンとかの耳鳴りを訴えることがありますか、これらの大多数は同時に何らかの難聴を伴います。中でも内耳の感覚細胞、聴神経の障害によって起こる難聴に伴うことが知られています。そのため、耳鳴りの説明として、障害された感覚細胞の異常な興奮、あるいは弱った聴神経の混線、内耳の老廃浮遊物による感覚細胞への刺激などが挙げられています。
これらはいずれも年齢とともに難聴となる老人性難聴と同様の現象と考えられます。ですから、老人性難聴の根本的治療が困難であることと同様に、耳嶋りの治療もなかなか厄介です。
検査として聴力の検査は必須(ひっす)です。耳鳴りの程度、性状を知るための簡単な耳鳴検査を行うことがあります。また、まれに聴神経腫瘍(しゅよう)などが原因となることもありますのでレントゲン、CTなどのチェックも必要になることがあります。
治療法は内服を含め、いろいろ試みられていますが、だれにも必ず奏功するという方法はいまだありませんのでいろいろ試してみるほかありません。一方で耳鳴りは気の持ちようで大きく感じたり、気にならなかったりすることもありますので病気と思わず気楽に耳鳴りと付き合おうといった心持ちも大切かと思います。

問2 難聴が進行してきた70歳男性

70歳の男性。10年ほど前から耳が聞こえにくくなりました。最初は左の悪い方の耳に補聴器を着けましたが、五年はど前から右の耳も難聴になりました。そのときから両耳に補聴器を着けているのですが、最近は補聴器をしているときでも聞こえにくくなりました。手術で治療できるのでしょうか。

答:感音難聴は手術で改善望めず…(1996年4月19日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

老齢の方の進行する難聴に関するご質問ですが、まず、難聴には大きく2種類の難聴があることをご説明します。一つは音を伝える部分の故障による難聴(伝音難聴)で、具体的には鼓膜に穴が開いているとか、鼓膜と内耳をつなぐ小さな骨が融けていたりして、音がうまく内耳に伝わらないような難聴を言います。代表的な疾患としては慢性中耳炎などがあります。もう一つは内耳の蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる部分の音を感じる有毛細胞、聴神経の障害による難聴(感音難聴)です。老人性難聴、突発性難聴などが代表的なものです。
さて治療ですが、前者の伝音難聴に関しては手術手技も進歩してそのほとんどが手術で聴力改善が可能ですが、後者の感音難聴に関してはいまだ手術の及ぶところではありません。さらに残念なことに進んだ感音難聴に関しては補聴器を着けても音がひずんで聞こえることが多く、十分な聞こえが得られないことがあります。
この質問者の場合、老人性難聴がもっとも考えられますが、純粋な感音難聴であれば手術による聴力改善は望めません。補聴器装用が現実的ですが、難聴が進行してお手持ちの補聴器が使いづらくなったのであれば、再度耳鼻科で聴力検査などを受けた後、補聴器の調整なり、限界を理解しながらより適した補聴器の購 入を考えるのが良策かと思います。

問3 十数年前の事故から左耳難聴

26歳の女性。小学5年生の時に交通事故に遭い、頭部を強く打ち、意識不明になりました。幸い回復したのですが、左耳の耳鳴りが後遺症として残りました。5~6年前からは右耳にも耳鳴りが聞こえ始めました。左耳はもうほとんど聴こえない状態ですが、右耳は検査の結果、多少悪いものの深刻になるほどではないとのこと。2年前に耳鼻科でMRl(核磁気共鳴診断装置)検査を受けましたが異常はありませんでした。内耳が傷付いているので手術はできないと言われています。両耳が聞こえなくなるのではと不安です。

答:右耳の症状進行は心配ない…(1996年7月8日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

交通事故による頭部打撲後の耳鳴り・難聴に関するご質問ですが、これらの症状の説明としてこの方の場合、2つが考えられます。一つには内耳振盪(とう)症の後遺症としてのもの、もう一つは聴神経の過伸展による障害が考えられます。
内耳耳振盪(とう)症では事故の強い衝撃によって円耳のコルチ器(音を神経に伝える所)が壊れるために聴力低下、耳鳴り、言葉の聞き取りにくさなどの障害を来します。目まいも伴うことがあります。 もう一つは聴神経の障害ですが、これは聴神経の一方は内耳道に固定されていますが、髄液に浮かんでいる脳が衝撃で大きく動くことによって、この聴神経を強く引っ張ることとなり、そのための障害を来すとされています。
これらの難聴は聴力検査では感音難聴と診断される種類の難聴で手術での治療は残念ながら望めません(なお、外傷後にしばしば見られる耳小骨離断による難聴は聴力検査で伝音難聴となりますので手術で聴力改善が見込まれます)。これら外傷後の感音難聴に伴う耳鳴りの治療もやはり困難で対症療法的なものとならざるを得ません。ただし、この種の耳鳴りは多くの場合、特に若い人にあっては徐々に気にならなくなることが多いように思います。
また、反対側の耳の聞こえに関しても心配されていますが、これまで何度か聴力検査をして特に問題なさ そうですので、今後、十数年前の事故の影響で難聴が進行するということは、まず考えなくともやよいと思います。

問4 鼻閉、後鼻漏、顔面痛が続く

39歳の女性。2年前に、副鼻腔(くう)炎と診断されてバカシル、エリスロシンを服用しましたが副作用により中止。以来、ずっと鼻詰まりが続いています。レントゲンを撮ったところ、異常はなく、点鼻薬(フルナーゼ)を処方されましたが効果はありませんでした。いまだに左側のみ鼻詰まり、後鼻漏があり、鼻の付け根とこめかみが痛くなります(腔すべて左側のみ)。鼻茸(た)、鼻中隔わん曲症、肥厚性鼻炎などでもこのような症状があると聞きましたが、治るのでしょうか。

答:副鼻腔病変の詳しい検査を…(1996年10月15日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

鼻閉、後鼻漏、一側の顔面痛に関するご質問ですが、内容を整理しながらお答えしたいと思います。2年前に副鼻腔炎と診断され、その治療を受けておられますが経過から判断しますと、はじめは急性副鼻腔炎があったように見受けます。その後、慢性副鼻腔炎あるいはアレルギー性の副鼻腔炎として治療が試みられていますが、レントゲン検査では副鼻腔炎はないと判断されています。結局、鼻腔に限局した炎症(慢性鼻炎あるいはアレルギー性鼻炎)と考えられてアレルギー性鼻炎の治療(点鼻薬)をうけますが、症状がとれないとのことで今回の相談となっておられます。
さて鼻閉は鼻の空気の通り道が狭くなることによって起きますから、鼻の仕切りが曲がる鼻中隔わん曲症、粘膜の腫(は)れる肥厚性鼻炎、副鼻腔炎に伴う鼻茸などで鼻閉を来します。次に後鼻漏ですかこれは鼻炎あるいは副鼻腔炎がある時に鼻内の分泌物が病的に増えて鼻からのどに鼻汁が流れることをいいます。一側顔面痛、頭重感は多くは慢性副鼻腔炎あるいはその急性増悪時に起こります。
以上のようなことを勘案しますと、副鼻腔の中でも単純レントゲンでわかりにくい篩(し)骨洞、前頭洞あたりに炎症が残っているのではないかと考えられます。いずれにせよ、ご質問の疾患の鑑別は鼻内の簡単な内視鏡検査でかなりの程度確認できますし、詳しく副鼻腔病変を見るためにCT検査を行えば、確定できます。治療はその診断、程度によりますので一度精査をお勧めします。

問5 右耳が難聴、耳内で水の音も

56歳の女性。昨年4月ごろ、右が聴こえにくくなり、耳鼻科で点滴を受けたり、のどに注射したりしましたが治りませんでした。その後、頭を下にしたり、横を向いた時にも、耳の中に水が入っているように、ドポンドボンと音がします。このままにしておいてよいのでしょうか。

答:突発性難聴か、一度精査を…(1997年5月6日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

一側の難聴に対して点滴や頚部(けいぶ)の注射を受けたとのことですが、この治療内容からすると、いわゆる突発性難聴としての治療を受けられたのではないかと思います。突発性難聴とは原因不明で突然に起こる高度の難聴のことを言います。
この方の場合、文面からは発症の状況、難聴の程度、種類などがよく分かりませんが、初診時の聴力検査でどのような疾患が考えられたかはっきりしますので、医師に一度診断を尋ねてみてください。
突発性難聴は聞こえの神経が障害されますので、その状態が1カ月以上続くとまず回復は困難となります。まして昨年の4月の発症の突発性難聴であってその後も難聴が続いているようであれば、もはや聴力の回復は困難かと思われます。
一方、頭位によって耳内で水の音がするというのは、突発性難聴としてはあまりない症状です。鼓膜の内側の鼓室といわれる空間に実際に液体がたまって、それが水の音と感ぜられていると仮定しますと考えられる病態として二つ挙げられます。
一つはまれではありますが、外リンパ瘻(ろう)といわれる内耳液の漏れる疾患があります。これは突発性難聴と似た症状を示します。手術で内耳液の漏出を止めることは可能ですが、聴力の改善はこの方の場合やはり難しいでしょう。もう一つには単純に耳管機能異常によって鼓室に滲出(しんしゅつ)液がたまる病態もあります。これは詳細な鼓膜の観察により診断は比較的容易ですし、治療により改善が見込まれます。一度精査をお勧めします。

問6 2年前からいつも痰が出る感じ

52歳の主婦。1年前の夏からいつでも痰(たん)が出る感じがしています。昨年9月、呼吸器内科、内科、耳鼻科、眼科と回り、シェーグレン症候群と診断されて薬を飲んでいますが症状は治まりません。その間に痰の検査をして実際はだ液と分かりました。回復する方法はありますか。

答:咽喉頭異常感症の可能性も…(1997年7月17日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

訴えは痰がのどに絡む感じはするものの実際は痰がほとんど出ないということかと思います。
のどに絡む痰には下方は肺の病変から来るものと、上方は鼻・副鼻腔(くう)の病変から来るものがあります。呼吸器内科、耳鼻科では肺炎、気管支炎.鼻炎、副鼻腔炎(蓄のう)など実際に痰の出るような病変はなかったということだったのでしょう。むしろ、口内、あるいはのどの粘膜が乾燥して痰を出しにくくなっているものと判断されて、目の結膜(粘膜)も乾燥していないかということで眼科を紹介されたというのが流れのようです。
シェーグレン症候群とは比較的高齢の女性に多い病気でだ液腺(せん)および涙腺の炎症性病変のため、だ液、あるいは涙が減って口、目の乾燥を訴えます。この方の場合、どの程度まで確実にシェーグレン症候群と診断されたのか、よく分かりますせんが、訴えに目、口の乾燥感の記載がありませんのであるいはこの年代の女性に多い咽喉頭異常感症と呼ばれる疾患かもしれません。この病気は自律神経との関連で多様な症状を呈しますが、治療には軽い精神安定剤がよく効きます。ただし、下咽頭、頚椎(けいつい)、甲状腺など頭部に器質的な病変がないことが前提となります。
もう一度、主治医の先生にご自分の病態についてよく聞かれるのがよろしいかと存じます。

問7 扁桃炎の治療中だが舌痛む

51歳の男性。3ヶ月ほど前にのどが変になり、扁桃(へんとう)炎と診断されました。また、のどが赤く炎症を起こしており、咽頭(いんとう)炎とのことでした。治療を続けていますが、舌が荒れてヒリヒリ痛みます。のどの筋肉が張る感じもして、なかなか良くなりません。

答:炎症が舌咽神経を刺激か…(1997年11月11日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

ご質問は、咽頭炎・扁桃炎後のヒリヒリする舌の痛みと喉(のど)の筋肉の張るような違和感ということかと思います。舌痛の場所などが不明ですが、舌の奥の方(舌根部)付近ということであれば、のどの感覚と関連する舌咽神経の刺激症状であるかもしれません。
この神経は、のどの入り口の知覚と運動をつかさどっており、扁桃や咽頭の筋肉につながっています。症状の原因として、例えば扁桃のくぼみ(陰窩=いんか)にまだ何らかの炎症が残っていて、これが舌咽神経を刺激して咽頭・舌根付近の痛み、筋肉の違和感などを生じていることも考えられます。また、舌が荒れているということですが、これは抗生物質などによる舌炎の可能性もあるかと思います。
いずれにせよ文面からは判断が難しいので、まずは専門医によく病状を説明しながら、口腔(こうくう)、舌、咽頭の詳細な観察と血液検査など受けられることをお勧めします。

問8 舌の右半分に味覚の異常

70歳の女性。1年以上前に舌の右半分が味を感じなくなりました。耳鼻科、歯科で異常は見つからず、歯科口腔外科でビタミン剤ナドをもらいましたが効果がみられずやめてしまいました。今は舌の右の一部がえぐ味と苦味を感じ、食物がおいしくありません。

答:常用薬が影響している可能性も…(1998年1月14日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

一般的には味覚の異常は舌全体に起こることが多いのですが、舌の一側だけの味覚異常を訴えておられますので、まず第一に局所的要因を考えたいと思います。
70歳ということですので入れ歯など使われているかと思いますが、虫歯、入れ歯、金属の歯冠などには問題はありませんでしたか。高齢の場合、これらが往々にして味覚異常と関連していますのでまず歯科口腔外科で調べてもらうのは良いことです。末梢の味覚の神経の異常も考えなければなりません。この神経の左右差は電気味覚計で比較的容易に検査できます。もし、これに差があれば、その神経のどこかに障害があるのではないかということになります。
文面からは全身的要因からの味覚異常も否定できません。高齢者の場合、いろいろな内科的な薬を常用されていることもあり、これらが味覚異常を助長する可能性もあります。他科の内服薬があれば持参の上、耳鼻咽喉(いんこう)科的な検査もお勧めします。

問9 大きな音や声で鼓膜に震え

30歳の主婦。小学生のころから大きな音や声を聞くと耳の中が「ジリジリ」と鼓膜が震えるような音がします。普段の生活で不便を感じたことはなく、健康診断でも異常がないのですが、セミの声を聞くとまるで耳の中に虫が入った時のようにジリジリと聞こえてきます。特別な治療は必要でしょうか。

答:異物が接し音を自覚する場合も…(1998年5月18日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

耳鳴りはふつう中・高年になって、何らかの聴神経の障害とともに自覚するようになることが多い疾患が、この方の場合、小学校のころからという点で特異な耳鳴りと思われます。大きな音あるいは声でジリジリと鼓膜の震えるような音がするとの事ですので、まずはしっかりと顕微鏡下に鼓膜を調べてもらう必要があります。鼓膜に耳あか、あるいは髪の毛などの異物が接していても異様な音を自覚することがあります。
次に鼓膜の裏には大きな音に反応する耳小骨筋という筋肉がありますが、この筋肉がまれではありますが、異常な収縮運動を起こして耳鳴りを生じることがあります。ただし、ジリジリというふうに訴えることはあまりありません。この筋肉の音に対する動きは容易に調べることができます。
最後に内耳の中での異常で耳鳴りを生じている場合、純音聴力検査のほか、耳音響放射の検査なども役立つかも知れません。いずれにせよ、丁寧に原因を調べる必要があります。

問10 埋没耳で手術勧められる

六歳の男児。検診で埋没耳といわれました。マスクや眼鏡を掛けるとき不自由なので手術を勧められましたが、現在は不自由なく過ごしているので手術は不安です。手術方法や入院日数、などを教えてください。

答:矯正器具による方法もあるが…(1998年6月9日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

埋没耳(袋耳)とは耳介の上方三分の一ほどが頭皮下にもぐりこんだ状態を言います。そのために埋没の程度によってはご質問のように眼鏡をかけにくい状況になる可能性があります。治療は、埋没耳の耳介軟骨の変形の程度、あるいはどの程度耳介を引っ張り出せるか、によって、矯正器具によって治す方法と手術で治す方法との二通りに分かれます。
矯正器具による方法はプラスチックなどの型やワイヤーなどを用いて耳介の形態を正常に近い形に長期間保持するようにして修正するもので、その期間は数ヶ月から年単位に及ぶことがあります。
矯正器具で一時的にも形態を保持できないほどの埋没耳であればやはり手術が必要となります。手術は耳介を起こしてその傷の部分を皮弁で覆うように行いますが特に危険を伴うようなものではありません。一週間前後の入院となると思います。この疾患は形成外科扱っており、その他詳しいことは実際に手術をされる先生によくご相談ください。

問11 鼻炎が治らず薬飲み続ける

五十八歳の男性。慢性アレルギー性鼻炎です。レントゲン検査で黒く見えるところがあるといわれましたが、一ヶ月後の検査では、きれいになったから薬を野もなくてよいと言われました。止めて五日目から、鼻水やくしゃみが出て、二日目に一錠は飲まないと生活できません。完治する方法や長く薬を飲み続けた影響を教えてください。

答:アレルギーの原因を調べて…(1998年6月20日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

アレルギー性鼻炎のくしゃみ、鼻水に対しての治療に関するご質問ですが、一般にアレルギー性鼻炎の場合、レントゲン検査では副鼻腔などに大きな変化を認めないのが通例です。レントゲン検査で以上にあったとすれば副鼻腔(びくう)炎(蓄のう症)を合併していた可能性があります。おそらくアレルギー性の副鼻腔炎であったろうと考えられますが、これに対してはある種の抗生物質の長期服用がよく効きますのでこれが処方されていたのだと思います。
ただし、副鼻腔炎はよくなっていてもアレルギー症状はアレルギーのもと(抗原)がある限り続きますので何らかの治療が必要と思います。この際、一度このアレルギーの原因を調べておくことをお勧めします。家のほこりなどが原因であれば一年中、抗原にさらされますし、スギなどのアレルギーならば春先を重点的に気をつければよいということになります。
一般にアレルギーの治療薬の長期副作用はまず問題になることはありませんが、抗アレルギー剤に二日に一回の薬はありませんので、一度お薬を持参の上、専門医にご相談されることをお勧めします。

問12 風邪? リンパ腺が異常

30歳の女性。昨年10月ごろから風邪を繰り返しています。まずのどの痛みから始まり、37.7度くらいの発熱があり、リンパ腺がグリグリして鼻水、鼻詰まりがあります。体重も3キロ減少しました。どこが悪いのでしょうか。

答:急性咽頭炎、すぐ検査…(1995年8月25日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

訴えは、頚(けい)部リンパ節腫張(しゅちょう)を伴う頻回の急性咽頭炎ということかと思います。咽頭炎(のどの炎症)にはいろいろな症状を伴うことがあります。咽頭の上方(鼻の奥)には耳管という耳につながる管があって、鼓膜の奥の空気の部屋の圧の調整をしていますが、この管を覆う粘膜が腫れますと、圧の調節が悪くなって耳が聞こえにくくなります。
また、このようなとき同時に鼻の粘膜も炎症のために分泌物が増えたり、腫れたりして鼻水、鼻づまりの症状が出ることも少なくありません。さらに、この患者さんのように咽頭の炎症が強い場合、しばしば頚部リンパ節炎を伴います。
さて、問題はなぜこのように頻回に咽頭炎を繰り返すのかという点にありますが、一つには何らかの原因で体の感染に対する抵抗力(免疫能)が低下しているのではないかということを考えなくてはなりません。これらは今では血液の検査でかなり詳しく分かります。また、扁桃、副鼻腔(ふくびくう)に問題があって感染を来しやすい状況になっていることも考えられます。
いずれにせよ、30歳の年齢で半年の間で頚部リンパ節炎を伴う咽頭炎を8回も起こすのは問題ですので、一度詳しく調べてもらった方がよいかと思います。

問13 喉の奥がざらざらし口の中が渇く

65歳の女性。昨年から喉(のど)奥がざらざらし、夜中に口の中が渇くようになりました。病院では、自立神経の失調かもしれないと、夜寝る前に錠剤を飲むようにいわれました。しかし最近昼間でも舌が渇き、少ない唾液を飲み込むようにしています。何かよい方法はありますか?

答:薬剤で口内乾燥来す場合も…(1998年9月28日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

ご質問は喉の違和感と口内乾燥感ということかと思われますが、喉の違和感に関しては上部消化管透視、内視鏡、CTなどで器質的病変(腫瘍など)は否定されているようですので、ご相談の喉の違和感は口内乾燥による二次的なものと考えます。
そこで今回は口内乾燥症について述べます。口内乾燥は唾液分泌低下によりますが、その唾液の分泌の低下をきたす代表的なものとしてシェーグレン症候群、糖尿病、甲状腺、機能障害、貧血などがあります。これらは詳細な血液検査などで診断が可能です。
この方の場合、これらの疾患は否定できたようですので、血液検査で分からない疾患として薬剤によるもの、加齢によるもの、心因性のもの、入れ歯によるものなどを考える必要があります。
文面にはありませんが、ある種の血液降下剤、咳(せき)止め、精神安定剤などの薬で、口内乾燥を来すことがあります。入れ歯を装着し、そのケアが良くないと口腔(くう)乾燥感を憎悪させます。
口内乾燥の治療には決定的なものはありませんが、うがい、水分摂取の励行など対症療法がまず行われます。心因性のものと思われる場合、向精神薬が用いられることもあります。
いずれにせよ、専門医に口内を詳しく見てもらうことが口内乾燥感の原因究明の第一歩かと思います。

問14 鼓膜再生手術を希望く

51歳の兼業主婦。子どもの頃、中耳炎で左耳の鼓膜を破ってしまい聞こえません。右耳の聴力のみで過ごしてきましたが、最近低い声が聞き取りにくく不自由です。鼓膜の再生手術をしたいのですが、県内でできる病院はありますか。またラジオのイヤホンは耳に良くないと聞きましたが本当でしょうか。

答:対象となる症例にやや制限…(1999年6月22日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

中耳炎の鼓膜穿(せん)孔の修復に関するご質問ですが、結論から先に申し上げますと、県内においても耳の手術をやっている施設であればどこでも日帰りの鼓膜形成術(鼓膜再生手術)を考えてくれると思います。ただし、この手術は簡便法であるため対象となる症例にやや制限があります。症例によっては鼓膜の穿孔と同時に音を伝える骨の異常もあることがありますので、まず、軟調の原因が鼓膜の穿孔だけによるものであることの確認が必要です。これは鼓膜穿孔を一時的に人工の膜で閉鎖して聴力が改善するかどうかで判断します。
さらに以下のような場合には難しいことがあります。1耳漏(耳だれ)が続いている2鼓膜の穿孔が大きい3穿孔の周囲が菲薄化あるいは石灰化している、などの場合です。この方の場合、1に関しては問題ないのですが、2,3の状況に関しては実際に医師に診てもらってからの判断になります。総合的に判断して手術術式は選択されますが、手術成績の確実性からはやはり入院しての手術が勝ります。 なお、携帯ラジオのイヤホンが耳に悪影響を及ぼすかに関しては通常の音量で、よほど長時間の使用でない限り、特に問題はありません。

問15 突発性失聴症で耳鳴りが治らない

72歳の姉。左耳は殴打され40年来の失調。右耳も12年前から難聴になり、補聴器をつけている。今年2月、突然激しい耳鳴りに襲われ補聴器でも聞こえなくなった(耳元で大声でいうと分かる)。脳の精密検査を受けたが異常なく、「突発性失聴症。ストレスが原因」と言われた。耳鳴りは依然として治らない。

答:根治難しい、精神安定剤を…(1999年6月29日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

高齢者の両耳の高度難聴症例に関するご質問ですが、まず、正確な聴力測定が必要です。左耳は失聴と書かれていますが完全な聾(ろう)の状態なのでしょうか。今回、右耳に起こった難聴の程度はどの程度なのでしょうか。耳元で大声で話すと分かるそうですにで聴力は少し残っているものと思います。脳神経領域の異常はないようですので内耳だけの問題と考え、今後は残存聴力をどのように使うかという問題になります。
まず、高度難聴者用の補聴器を試してみる必要があります。聞き取りは完全ではなくても、口元と表情を見ながらですとかなり、了解が可能となることがあります。いずれにせよ、かなり綿密な補聴器合わせが必要となりますので医療機関で聞き取りの検査などよく調べてもらった上での補聴器装用ということになります。さらに補聴器も使えないほどの高度難聴であれば、人工内耳の埋め込み手術という手段もあります。突発性難聴に付随する耳鳴りは根治は難しいので必要に応じて軽い精神安定剤などを用いながら、丁寧に対応することが肝要かと思います。

問16 頭を強く打ってから耳が聞こえない

74歳の女性。昨年、階段を上がる途中で後ずさりして落ち、頭を強く打ちました。それ以来、頭の中で風のような音がし、耳は聞こえず声が出にくくなりました。

答:聾に近い難聴、検査受けて…(1999年10月7日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

後頭部を強打した後の難聴のご相談です。難聴を来すほどの打撲・外傷で、難聴を来す原因としては第一に内耳に亀裂の入る側頭骨骨折が考えられます。この際には耳からの出血をみたり、めまいがしたり、顔が曲がったり、さらには意識障害などかなり重い脳神経症状も伴うので入院が必要となるのが普通です。この方の場合、このような強い症状はなかったようですので、骨折を来すほどではなかったのでしょう。
現在の難聴の程度はよくわかりませんが、声のコントロールも難しい状態とすると聾(ろう)に近い難聴ではないかと推測します。内耳そのものが強い衝撃で難聴を来す場合、内耳振盪(とう)症などと呼ばれますが聾に近い難聴になることはまれですし、まして、両耳が悪くなることはあまり考えられません。そこで最後に考えられる病態としてまれではありますが、聴神経自体が脳の急激な前後運動のために引っ張られて、障害を受けた可能性も考えられます。
ともかく、頭頸部・耳鼻いんこう科で詳しく難聴の程度、種類を診てもらい、さらにCT、MRI(磁気共鳴診断装置)などの画像のチェックをして、難聴の原因をはっきりさせることが先決です。音を伝える耳小骨の問題であれば手術で治りますし、内耳の問題であれば人工内耳で聴力を再獲得できる可能性もあります。

問17 蓄膿症と滲出性中耳炎に長く悩む

68歳の女性。5年前に蓄膿(のう)症の手術を受け、同時に滲出性中耳炎に悩まされ水抜きを繰り返しています。病院側からもう一度鼻の手術をするように勧められていますが、予想以上に心身の負担が大きいので他の治療法がないか、お聞きしたいと思います。

答:鼻の方は内視鏡手術が確実か…(1999年10月12日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

滲出性中耳炎は耳と鼻の奥をつなぐ管(耳管)の機能が悪くなって起こります。耳管は中耳の換気と粘液の排泄の役割を担っていますが、これらの機能は耳管の周りの筋肉の衰えや耳管の出口付近の炎症、腫脹などによる閉塞によって障害されます。
慢性副鼻腔炎(蓄膿)がありますと、副鼻腔からの膿汁が後方に流れて耳管の出口付近が炎症を起こしたり、粘液で閉塞されたりします。そのため慢性副鼻腔炎が滲出性中耳炎を誘発する可能性がありますが、質問者の場合、68歳という年齢と経過から考えて、むしろ、耳管の筋肉の衰えによって耳管の換気能の低下が起こり、そのための滲出性中耳炎と考えられます。
従って、慢性副鼻腔炎と滲出性中耳炎は個別の疾患と考えてよいかと思います。滲出性中耳炎に対しては現在の鼓膜へのチューブ留置が一番効果的かと思います。また、鼻の方は症状にもよりますが、鼻閉が強ければ、鼻内からの内視鏡手術が身体的負担が少なく、確実と思います。鼻汁が主訴であれば保存のコントロールも考えられます。

問18 就寝中、鼻詰まりで寝付けない

66歳の男性。就寝中、毎晩のように鼻詰まりがして困っています。そのためか夜中に目を覚ますことが多く、なかなか寝付けません。右を下にしたり左を下にしたりといろいろ試みますが、よい方法が見つからず苦しい思いをしています。

答:鼻腔内の構造に変化の可能性…(1999年10月14日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

就寝中の鼻詰まりに関するご質問ですが、一般に睡眠時の呼吸困難には単に鼻詰まりの問題だけではなく、のどによる閉塞(そく)によることも多いのですが、この方の場合、文面通り、鼻詰まりが原因と想定してお答えいたします。
鼻閉(鼻詰まり)を来す疾患として次のようなものが考えられます。1.鼻の正中の隔壁が変形する鼻中隔わん曲症2.鼻の粘膜が厚くなる肥厚性鼻炎3.副鼻腔炎(蓄膿=ちくのう)に伴う鼻ポリープ4.腫瘍(しゅよう)性病変などが考えられます。
鼻の粘膜は自律神経の影響を強く受けていますので、一般に昼間緊張している時には鼻の通りは良いのですが、夜、ゆったりとした気分になると粘膜が肥厚して詰まりやすくなります。また、同時にうっ血も来しやすいので就寝時、横になったとき、下にある鼻が詰まりやすくなります。
このような生理的変化に対応できない先に述べたような構造的な変化が鼻腔内に生じている可能性がありますので、一度頭頸部・耳鼻いんこう科でよく見てもらってください。
難しい検査などは必要なく、視診、内視鏡だけで簡単に調べることができます。

問19 耳鳴りがして聞こえにくい

79歳の女性。耳鳴りに悩んでいます。最近では耳鳴りとともに音楽が正確に繰り返し聞こえたりします。左耳は聞こえますが、右耳は30年ぐらい前から耳鳴りがして、ずっと聞こえません。

答:聴力とともに大脳の検査も…(2000年1月31日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

79歳のご高齢の方の耳鳴りに関するご相談ですが、内容を整理してみますと、30年前から聞こえない右耳の耳鳴りの症状が最近変化して、良聴耳である左耳での聞き取りが難しくなったとのご相談かと理解します。
一般に耳鳴りは50、60歳ごろからの加齢に伴う難聴とともに出現することが多くなっています。これは内耳の聞こえの神経が年齢とともにいたんできたことに起因します。いたんだ神経そのものはお薬などでは修復できません。そのため、耳鳴りの治療は軽い精神安定剤を用いて神経のいらだちを抑えたり、神経の障害の進行を防ぐ目的でビタミンとか循環改善剤などを用いたりしますが、決定的な症状改善のための治療は難しいのが現状です。
ただ、この方の場合、音楽が正確に繰り返し聞こえたりするとのことですが、これは聴神経(耳)の問題というよりも大脳が関与した現象と思われますので、耳鼻科で聴力などの検査をしてもらうと同時に神経内科、あるいは精神神経科などで脳のほうの検査も併せて行ってもらうのがよいかと思います。

問20 トゥリオ現象と診断、対処法は?

65歳の女性。子供の拍子木をたたく音で目まいがし、トゥリオ現象と言われました。対処法を教えてください。自律神経失調症と糖尿病の薬も飲んでいます。

答:原因疾患の有無を再確認…(2001年1月22日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

トゥリオ現象とは強大音が耳に入ったときに目まいを起こす現象のことを言います。これは体のバランスをとっている内耳の三半規管の一部が弱くなって、内耳のリンパが過度に動きすぎ、三半規管の感覚器が異常に刺激されて起こると考えられています。内耳の骨が脆弱(ぜいじゃく)になる梅毒、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎などの疾患が基礎にあって起こります。また、骨には異常がなくても内耳の内リンパ水腫でも起こることがあります。
この方の場合、拍子木の甲高い音で起こるとのことですが、一般的には特に低い音で起こります。ただ、実際にこの現象が見られることはかなりまれです。耳鳴りは単に加齢による難聴に伴うものと考えられ、トゥリオ現象とは無関係と思います。耳鼻科でどのような検査がなされたのかは不明ですが、この女性にトゥリオ現象がみられたとするならば、原因疾患の有無を確かめる必要があります。そして、その原因疾患に応じた治療が優先されます。ただし、元々自律神経失調症がある方が不愉快な強大音を聞くと、血圧が上がって目まいなどを来す可能性も十分考えられます。血糖もストレスで上昇します。いずれにせよ、本当に再現性のあるトゥリオ現象なのか、一度確かめた上で対応を考える必要があると思われます。

問21 耳鳴りが24時間続き悩む

55歳の女性。左耳の耳鳴りが24時間続き、気になるので検査しましたが、原因が分かりません。今は2週間に1度通院し、薬を飲んで様子を見ています。

答:障害部位の診断、完治難しい…(2001年1月29日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

半年以上続く耳鳴りに関するご質問です。随分とお悩みのようですが、耳鳴りの治療は次のような理由でなかなか一筋縄にはいきません。

  1. 耳鳴りは他人には聞こえず、検査機器を用いても客観的な評価ができません。
  2. 一般に耳鳴りは内耳の音を感じる蝸牛の有毛細胞の障害から起こるとされていますが、内耳は小さくて硬い骨に囲まれているた めに実際に病変部を見ることができません。

つまり障害部位の診断も難しいのです。蝸牛以外に聴神経、脳幹、大脳レベルでの耳鳴りも考えられます。これらの理由から耳鳴りの原因、治療法については確立されたものがなく、治療はビタミン剤、精神安定剤、脳血流改善剤、代謝賦活剤、筋緊張改善剤などが手探りで使われることとなります。
この方の場合、いろいろ検査を受けられて腫瘍とか、血管の異常はないので通常の耳鳴りとして加療されています。通常の耳鳴りは加齢に伴うものがほとんどで50、60歳代に多く見られます。治療によって完全に耳鳴りを止めることは難しいのですが、お薬で和らぐことが多いようです。また、一般に脳は徐々に不必要な音は聞かなくなりますので、そのうち、気にならなくなることもあります。なるべく、耳鳴りに気を取られないようにすることも大切かと思います。

問22 鼻炎でくしゃみがひどい妊婦

30歳の主婦。妊娠中ですが、鼻炎がひどいため毎日くしゃみの連続です。妊娠中のくしゃみは体に負担が掛かりますか。また妊娠前は毎日のように薬を服用していましたが影響はありますか。現在は鼻炎がひどい時だけ点鼻薬を使用していますが、その影響についても教えてください。

答:流、早産の誘因にも 抗原避ける方策を…(2001年2月20日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

一般にどのような薬剤も妊娠中の服薬は胎児に対する安全性が確立されていないのが現状です。特に妊娠3ヶ月までの妊娠早期での薬の投与は奇形を誘発する可能性があるので真にやむを得ない場合しか投与されません。くしゃみは復圧を高進させて、子宮内圧を上げるように働くので流産、早産の誘因となる可能性は否定できません。
くしゃみを抑えるための薬以外の方策として、まず、くしゃみの元となる抗原を避けることが第一に考えられます。花粉症が原因とされるならば各種の防護マスクなども有効かもしれませんし、家庭内での空気清浄機などの対策も考えられます。点鼻薬はステロイドを含むものであっても全身への作用の少ない、局所に留まる製剤が考えられているので症状がきつい場合使用されることがあります。妊娠前に服用した薬剤に関してはすでに薬の成分は体外へ排出されていると考えられますので胎児への影響はありません。いずれにせよ、薬による治療は症状との兼ね合いになりますが、産婦人科の先生とも連絡を取りながらの治療が望ましいかと思います。

問23 真珠腫性中耳炎は治らないか

76歳の女性。両方の鼓膜に穴が開いているといわれ長年、病院で耳あかをとってもらっていましたが、先日の検査で真珠腫があるといわれました。薬では治らないが年齢的に手術はできないといわれました。真珠腫は悪性なのか良性なのか、また、治らないのでしょうか。

答:悪性ではないが手術必要な場合も…(2001年9月5日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

長年、慢性中耳炎として耳あかなどの処置のために通院されておりましたが、その耳あかと思われたものは真珠腫由来のものであることをCT検査で指摘され、心配されておられます。真珠腫性中耳炎は何らかのきっかけで鼓膜の上皮の一部が袋状に落ち込んで耳の奥の見えないところに上皮の堆積物(耳あか)を大量にため込む疾患です。塊をつくりますが、腫瘍ではありませんし、もちろん悪性のがんでもありません。
ただし、この上皮塊(真珠腫)は出口がないために奥のほうで徐々に大きくなって骨を溶かしたりします。そうなると耳の中の三半規管が壊されて、めまいがしたり、顔面神経が障害されて、顔が曲がったりします。上方の脳の骨を壊して頭蓋骨に入ると、脳腫瘍など重篤な病態になります。ですから、真珠腫性中耳炎は、真珠腫塊が外から十分に除去できる状態でない限り、手術をしなければなりません。薬では治りません。ご高齢であっても将来、頭蓋内合併症など起こす可能性があるならば、やはり手術は必要となるでしょう。おそらく、相談者の場合、外から何とか真珠腫をコントロールできる状況にあるのであえて手術を勧められなかったのではと思いますが、あらためてよく主治医の先生に聞かれるとよいかと思います。

問24 声が出にくい状態長引く

47歳の女性。昨年末のどの痛みと熱、せきが治らず、声も出なくなりました。症状が長引くので耳鼻科を受診し、甲状腺の左側に良性のおできがあるといわれ手術しましたが、以前の50%の声しか出ません。無理して話すとのどが痛み声が出なくなります。声帯の左が閉じてしまって動いていないようです。

答:手術後の合併症の場合も…(2001年9月10日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

長引く嗄(さ)声のご相談です。当初は熱、咽頭痛もあったことから風邪、ないしは咽喉頭炎による嗄声であったものと思います。ただ、これによる嗄声は長くても二週間程度で改善するのが普通です。その後、やはり声が出ないとのことで頭頸部・耳鼻いんこう科を受診され、甲状腺腫瘍を指摘されています。確かに悪性の甲状腺の腫瘍であれば、これが原因で声帯にいく反回神経が障害されて、嗄声になることがあります。
しかし、この方の場合、良性の腫瘍であり、医師も嗄声とは関係がないと言っておりますので、甲状腺腫瘍が原因とは考えられません。たぶん、この時点で嗄声の原因の説明があったのではないでしょうか。ただし、術後、左の声帯が動いていないと言われているようですので、その後の嗄声の持続は手術後の合併症として反回神経麻痺が生じている可能性があります。手術後、半年以上経っても反回神経麻痺が残って、嗄声が続くようであれば、声帯の位置をかえる手術で声を出しやすくすることも考えられます。喉頭を専門とする頭頸部・耳鼻いんこう科医に一度診てもらってください。

問25 蓄膿症で鼻づまりとたんが治らない

75歳の男性。春ごろからせきが出るようになり、たんや鼻汁も出始め検査を受けたところ、蓄膿症と言われました。現在は薬を飲み、鼻汁は出ませんが、たんが時々出て、鼻のつまりもとれません。のどもつまる感じです。

答:しばらくは耳鼻科で治療続けて…(2001年9月19日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

一般にたんを訴える場合、下方の肺からの分泌物がのどにたまる場合と、上方の鼻からの分泌物がのどにたまってたんと感ずる場合の二種類があります。相談者の場合、胸は問題なく、むしろ鼻に副鼻腔炎(蓄膿)があるとのことで治療を受けられ、たんの量も減ってきたとのことですので、引き続き副鼻腔炎の治療が大切かと思います。ただ、鼻づまりがとれず、すっきりしないとのことですが、やはりまだ、鼻炎なり、副鼻腔炎が残っているのではないでしょうか。
健常人であっても鼻腔の粘膜上の粘液は常にのどの方に流れています。この量が多いと後鼻漏感、鼻づまり感、のどのつまり感を訴えます。副鼻腔炎は最近ではマクロライド系の抗生物質少量を三ヶ月近くのみ続けて軽快することも多いので、あと1~2ヶ月はこのまま、頭頸部・耳鼻いんこう科で治療を受けられて経過を見てみるようにされてはいかがでしょうか。

問26 突発性難聴の治療後、匂いが分からない

76歳の女性。2年ほど前に突発性難聴になり、点滴や飲み薬で治療後、味と匂いが分からなくなりました。薬を変えてから味は分かるようになったのですが、匂いがいまだにはっきりしません。

答:所見と合わせテストで原因判定…(2001年12月20日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

2年前の突発性難聴治療後の嗅覚障害に関するご質問です。その治療と嗅覚障害との関係を気にかけておられる文面ですが、一般に突発性難聴と嗅覚障害に対する治療はどちらも知覚神経の障害として類似の治療薬を用いることが多いので薬の副作用として嗅覚障害が起こったとは考えにくいかと思います。なお、当初、味覚障害もあったとのことですが、これはもともと味覚というのは嗅覚に非常に影響されますので、急な嗅覚の低下に伴う見かけ上の一時的な味覚低下であったと考えます。
嗅覚障害の原因として 1.匂いが匂いを感ずる細胞(嗅細胞)まで到達できない病態である場合 2.嗅細胞自体が障害を受けている場合、の2通りが考えられます。前者は鼻炎、副鼻腔炎などで鼻腔内の粘膜が腫れたりして空気の流れがブロックされた際に生じます。後者はウイルス性疾患、外傷などを契機にして起こりえます。これらの鑑別は鼻内所見と合わせて、外来での簡単なテスト(アリナミンテスト)で判定します。鼻腔の炎症が原因である場合は、それを治すことで匂いが回復することがあります。

問27 急性感音難聴になり不安

35歳の女性。2週間ほど前に右耳が詰まるような感じがしたため、耳鼻科を受診したところ、疲れやストレスによる急性感音性難聴との診断でした。服薬治療を続けていますが好転せず、このまま治らないのか不安です。主治医には軽い方だといわれましたが、自分の声が響くなど、周りの音が気になります。

答:ゆっくり休めば回復、焦らずに…(2002年4月18日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

文面からは低音障害型の急性の感音難聴かと思われます。症状として質問者の言われるような耳閉感、音が響くなどの訴えがあります。聴力検査をしてみますと、低音部だけが聞こえにくくなっていますが、全体としての難聴は比較的軽度です。この疾患は近年増えつつある疾患の一つで、原因はよく分かっていませんが、内耳の音を感じる部位の水分(リンパ)が増えすぎたため、と言われています。そしてその誘因としてストレス、疲労、自律神経失調などが関係すると言われています。ですから、この疾患はゆっくり休めば、大半が1週間程度で自然回復するような疾患です。
お薬による治療としては質問者が投薬されているような神経を回復させるためのビタミン剤、代謝賦活剤、内耳の水ぶくれを軽減する浸透圧利尿剤を使ったりします。それでも反応が良くない場合にステロイドが有効なこともあります。ですから、今回の場合、標準的な治療は十分受けておられることになります。確かに中には治療抵抗性のものもありますが、まだ発症2週間ですので焦らずに現在の病院で経過を見ていただくのが良いかと思います。

問28 舌の付け根がピリピリ

70歳の女性。昨年から舌の付け根がピリピリし、その後舌からのどにかけ、いつも糸が付いているような違和感があります。食べ物は飲み込めますが、味の濃いものはしみる時があり、夜目が覚めると舌が渇いています。現在は安定剤や胃薬などを常用しています。

答:高齢だと起こりやすいが安定剤服用の影響かも…(2002年7月11日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

1年以上前からの舌根部の痛み、あるいは糸が付いているような違和感があるとの訴えです。摂食には支障がなく、夜間の口渇感を覚えるとのことです。これらの原因にはいろいろなことが考えられますが、既に頭頸部・耳鼻いんこう科などの診察はされており、1年以上前からの症状であることを考えますと、まず舌癌、咽頭癌などの悪性腫瘍の存在は否定して良さそうです。
一般的に高齢になりますと、唾液の分泌も低下し、口内乾燥感を自覚する人が多くなります。具体的には口の中がネバネバするとか、ピリピリするとかの訴えになります。入れ歯などがありますとさらにその症状が強く出ることがあります。また、この方のようにある種の降圧剤、精神安定剤などを服用するとかなりの頻度でさらに唾液の分泌が抑えられ、口内が乾燥したりします。そうなると、乾燥による咽頭の粘膜の炎症も起こしやすくなって、ピリピリ感を訴えることとなります。
一度、かかりつけの内科の先生に現在の内服薬による副作用で口内乾燥が起こる可能性がないが、尋ねられて、場合により、休薬なり変更なりをお願いしてみてはいかがでしょうか。

問29 手術した左耳、徐々に聴力低下

68歳の女性。平成3年にメニエール病で左耳を手術しました。手術直後の左耳は音は聞こえましたが言葉はよく聞き取れませんでした。徐々に聞こえなくなり、現在はほとんど何も聞こえません。補聴器をすれば好転しますか?
今後右耳にも影響が出るか心配です。

答:聴力検査してから補聴器試して…(2003年2月5日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

舌の感覚をつかさどる神経は舌神経といい、頭蓋(とうがい)内から頚(けい)部(ぶ)深部を通り、顎(がく)下(か)腺(せん)(下あごにあるだ液を作る組織)近傍深側を経て舌に分布します。
10年以上前にメニエール病の手術をした耳が徐々に聞こえなくなりましたが、補聴器を使うことができるかというご質問です。
もともと、手術をされた耳では音は聞こえても言葉の弁別が悪く、耳の神経そのものの障害があって音が歪みやすい状況であったようです。このような状況の中で年齢も歳とご高齢になり、さらに感音難聴(聞こえの神経の障害による難聴)が進んだものと考えられます。
その現状で補聴器が使えるかどうかは純音聴力検査、言語聴力検査をして、どの程度の感音難聴であるか、更に、言葉の聞き取りがどこまで可能かを調べる必要があります。その上で実際に補聴器を試しに装用してみて自分の期待した聞き取りができるかを体験してみることが大切です。
なお、健康な側の耳への補聴器の影響はまずないものと考えてよいと思います。補聴器の購入に際しては最近の補聴器は高価でもあるのでこれらの一連の検査などが可能な補聴器適合検査施設の認定を受けた頭頸部・耳鼻いんこう科でご相談されるのも一法かと思います。

問30 耳の後ろの方で音、治らない

77歳の男性。昨年12月ごろから耳の後ろの方で「ジージー」「ミーミー」などの音がし、耳鼻科に行きました。毎食後、薬を服用していますが改善されません。

答:気長に付き合う気持ちも大切…(2003年2月10日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

ご高齢の方の耳鳴りに関するご質問です。耳鳴りの成因は残念ながらまだはっきりと解明されていません。従って治療法も決定的なものがないのが現状です。ただ、耳鳴りは50から60歳代に訴え始めることが多く、年齢的要因が関係しています。
恐らく聴神経の劣化、音を感ずる細胞の不規則な興奮などが原因ではないかと考えられており、治療として神経を修復させるとされるVB12、ATP製剤、循環改善剤などが処方されます。また、神経の興奮を抑える目的で軽い向神経薬が使われることもあります。
ただ、音は耳で聞いて、さらに脳でも聞くわけですから、何かに熱中して脳がその音に注目しなければ意外にその時には耳鳴りが気にならないものです。さらに脳には大切でない音は除外しようとする働きもあります。長い経過の中で大抵は耳鳴りが軽減することが多いようです。
聴力検査などでなにか明らかな疾患に基づく耳鳴りでないことが分かれば、あとは気長に焦らず耳鳴りに付き合う気持ちも大切かと思います。

問31 慢性肝不全の治療中、口中が不快

72歳の男性。5年前からC型肝炎を治療する中、肝臓にがんが4カ所あることが分かりカテーテルで手術、週2回通院しています。2年前に肝性脳症で20日間入院。現在アミノレバンとピアーレドライシロップを服用していますが、舌がぬるぬるし中の不快感に悩まされています。内科で薬の量を減らしてもらいましたが改善しません。

答:心因性も考慮し相談 対症療法でうがいを…(2003年9月24日掲載 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

慢性肝不全の治療経過の中で舌、口唇の違和感(ぬるぬる、べとべと)を覚えることに対するご質問です。肝性脳症を来したことがあるほどの重症の肝不全が基礎にありますので、口内症状も全身疾患の一つの症状としてとらえる必要があります。
一般にこのような口腔(こうくう)症状を示す原因として、だ液分泌能の低下、薬物の副作用、肝障害によるアルブミンの低下・亜鉛吸収能の低下、加齢変化、神経障害などが考えられます。アミノレバンENには副作用として舌炎、口唇炎が記載されており、質問者も一度、担当医と相談して量を減らすなどしておられますが、他に思い当たる内服薬がないようなら、再度、量について担当医に相談されるのも一法と思います。
また、対症療法としてはうがいも良い方法と思いますが、うがいにも殺菌目的のものから、抗炎症を目的として比較的口にさわやかなうがい薬もあります。これも質問者に合うものを試されてはどうでしょうか。さらに往々にして心因的な要因で口内不快感を覚えることもありますので、この辺りも担当の先生とご相談されればと思います。

問32 飛行機着陸時、両耳が激しく痛む…

53歳の女性。飛行機に乗って降下する際、両耳が激しく痛くなり、耳の中からすべての器官が飛び出してくるような気がします。その時は両手で押さえて、我慢するしかありません。飛行機から降りた後も、1時間くらい耳が痛みます。この状態を続けると、鼓膜にも影響するのでしょうか。良い対処法を教えてください。

答:つばのみ込み予防 ひどければ耳抜き(2004年3月10日掲載 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

鼓膜の内側(鼓室)は空洞になっていて空気が入っています。鼓室は普段は閉じた腔となっていますが、嚥下(えんげ)をしたり、あくびなどの動作で鼻の奥とつながる管(耳管)が開いて、鼓室と大気圧の調整がなされます。
飛行機に乗りますと、離陸の際は気圧が徐々に低くなるため、鼓室の中の圧が相対的に高まることとなり鼓膜が膨らみますし、着陸の際は反対に鼓膜が陥凹することとなります。このとき耳管による鼓室内外の気圧の調節がうまくできなければ、鼓膜の変位とともに質問者のような症状を呈して、耳痛を伴う中耳炎の状態になります。特に着陸の際、耳管がロックされて開きが悪くなることがあります。
予防法はともかく着陸体勢に入る前からガムなり、キャンデーを口にして、頻回につばをのみ込む動作を行って耳管の継続的な開閉を促すことが大切です。それでも耳が痛くなるようであれば鼻をつまみ、口を閉じてほおを強く膨らませて耳抜きをします。アレルギー性鼻炎などがあると、耳管の機能がさらに悪くなることがありますので、あらかじめ鼻炎の薬を服用することもあります。

問33 慢性中耳炎、時々うみが出る

67歳の男性。幼稚園のころから慢性中耳炎になり、時々うみが出ます。手術をすればうみが出なくなるとのことですが、手術後に違和感を感じ雑音がするようになると聞いたこともあります。また、このまま放置するとうみが脳に入る恐れもあると人に言われ、どうしたものか悩んでいます。

答:耳漏の原因調べて 手術の必要性判断…(2005年4月27日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

時々、耳漏(耳だれ、うみ)がある慢性中耳炎に対しての手術療法に関してのお尋ねです。耳漏が脳に入って髄膜炎、脳膿(のう)瘍などを来すことのご心配をされていますが、ほとんどの慢性中耳炎では単に耳漏が外耳道側に出るのみで頭蓋(ずがい)内合併症を来すことはまれです。ただし、真珠腫性中耳炎などを伴う場合、放置すると重篤な合併症を来すことがあります。特に頭痛、耳痛などを伴う場合、頭蓋内病変を疑うことになります。
そのため、やはり、耳漏の原因が何であるかを一度は耳鼻科医で診察を受け、危険な中耳炎であれば手術が必要と判断されることとなります。
また、単なる慢性中耳炎の場合、手術適応は耳漏の不快感、難聴の程度などによりますが、一般的には炎症の除去(耳漏の停止)と聴力の改善をめざす鼓室形成術が勧められます。手術は顕微鏡下に安全に行われ、聴力も改善すると耳鳴りも軽減します。信頼できる病院、術者を探す一つの方法としてはこの手術は厚労省で施設基準が定められ、その症例数が公表されていますので参考にするのも良いかもしれません。

問34 鼻血を繰り返す

48歳の男性。以前から鼻血が出やすかったのですが、最近は1日おきに出るようになりました。穴の中を焼く治療があると聞きましたが、どうでしょうか。また、内臓の病気で鼻血が出ることもありますか。

答:頭頸部・耳鼻いんこう科で原因調べて …(2005年4月28日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 高木 明)

鼻出血の多くは鼻中隔(左右の鼻腔を仕切る中央の壁)の前下方の血管が多く集まっている部分から出ます。従ってこの部分からの出血は小鼻を押さえたり、綿球を挿入したりして血管をしばらく圧迫することによって止血が可能で、重篤な大量出血を来すことは少ないのですが、繰り返すこともまれでありません。
繰り返す場合、その血管の部分を化学的に薬で焼灼(しゃく)したり、電気で血管あるいは周囲組織を凝固させたりします。複数回の処置が必要なこともあります。
鼻出血の原因として局所的要因として鼻ほじりなどの機械的刺激、あるいは炎症、腫瘍(しゅよう)性病変が原因となることがあります。全身的の要因として、血液疾患(出血性素因)、肝障害、高血圧、動脈硬化なども考えられます。いずれにせよ、一度、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診して出血部位の確認、出血傾向の有無の精査など原因を確認した上で、しかるべき処置を受けられるのがよいと思います。

問35 真珠腫性中耳炎術後の注意点

真珠腫性中耳炎の手術を受け3カ月が経過しました。術前から右耳の聴力は弱く耳鳴りもありましたが、術後は耳鳴りが減少しています。この病気は再発しやすいと聞きましたが、その確率と、生活上の注意を教えてください。

答:再発防ぐためにも定期的に経過観察…(2005年7月20日 頭頸部・耳鼻いんこう科医長 髙木 明)

真珠腫性中耳炎の術後再発に関するご質問です。鼓膜の上皮は成長が活発で普通は外側に成長、移動するのですが、真珠腫性中耳炎では鼓膜の裏、骨の中に向かって増生するためいろいろな障害を来します。放っておくと骨を破壊して難聴、めまい、顔面神経麻痺(まひ)、髄膜炎などの重篤な合併症を来すことがあります。
手術でその上皮の塊(真珠腫)をきれいに取り除くわけですが、中耳内は空間が複雑に入り組んでいるので、見えない部分が取り残されたり、手術操作中にかけらが飛び散ったりすることがあり、それが再発の原因の一つになります。また、耳管(耳と鼻をつなぐ管)の調節がもともと悪いことも成因の一つと考えられていますが、耳管機能は手術によっても変わらないため、再び、鼓膜の一部が嵌(かん)入して真珠腫となることがあります。
このような理由で再発の可能性は確かに高い疾患ですが、再発率はもともとの真珠腫の存在部位、大きさ、手術手技によりますので、再発率を一概に数字で述べることはできません。再発の予防、あるいは初期の再発に対する処置のためには外来での定期的な経過観察が肝要となります。

問36 喉に白い塊が残っている

28歳の女性。風邪で喉が痛み内科を受診。喉にうみがたまっているとのことで薬を3日分処方されました。痛みは治まらず耳鼻科を受診。その後も白い塊が喉に残り、治癒せずに2ヶ月たちました。熱は出ないので慢性咽頭炎と診断され、治りにくいと言われました。服薬が長引くと妊娠への影響も心配です。

答:炎症産物による「膿栓」の可能性…(2013年5月27日 副院長、頭頸部・耳鼻いんこう科主任医長 髙木 明)

なかなか正確な状況が分かりにくい中での回答となりますが、推測を交えながらお答えいたします。ます、内科で「喉のうみ」と言われたとのことですが、本当に喉にうみがたまれば疼痛のために食事もとれないほどになり入院が必要となることもまれではありません。「喉のうみ」とは扁桃の膿栓のことを言われたのかもしれません。
これは扁桃の表面のしわにこびりつくような白色物で、いわゆる、うみとは別のものです。耳鼻科で白い塊といわれたものは恐らくこの白色物(膿栓)のことかと思います。扁桃はもともと常に外界の細菌、ウイルスにさらされて常に慢性の炎症があるような場所です。このため、細菌の死骸、はがれ落ちた粘膜上皮、白血球などの炎症産物がくぼみにたまり、白い塊に見えます。
この塊そのものはさほど有害なものではなく、痛みの原因にもなりませんが、喉の違和感が続いたり、口臭の原因になったりします。普通、お薬での治療の対象にはなりません。現在の症状にもよりますがこのまま様子を見るのもよいですし、塊が気になるようであれば耳鼻科で取ってもらうことも可能です。

問37 耳の奥でガサガサ音がする

69歳の女性。半年前、耳の奥で音がするので大学病院を受診し、異常はないとのことで自然と気にならなくなりました。今年になってまた耳の奥でガサガサ音がするようになり、耳鼻科を受診。耳の掃除をしてもらい、鼓膜、聞こえの検査も問題なし。耳鳴りが最近、少し大きくなったという程度ということで、精神安定剤を処方されました。まだ治りません。横になると音がしなくなり、体や頭を動かすと音がします。脳か、心臓か、どこか悪いところはないか心配です。

答:筋肉原因の場合も 起こる状況確認を…(2013年6月4日 副院長、頭頸部・耳鼻いんこう科主任医長 髙木 明)

耳の奥でガサガサ音がするとのご質問です。まず最初に考えるべき原因として耳垢が鼓膜に触っていないか、ということですが、これは耳鼻科で耳の掃除をしてもらったとのことですので除外されます。
次の原因としては、鼓膜の内側には音を内耳に伝える小さな骨(耳小骨)があって、これらに二つの小さな筋肉がついているのですが、この筋肉がけいれんすることによってガサガサと音がする可能性があります。唾液を飲み込んだり、顔の筋肉を動かしたりするときにガサガサするのであれば耳の中の筋肉が原因と考えられます。
ただ、文面からは筋肉の動きよりも体位、体動と関係するとのことですので、やはり重力と関係して何かが動くのでしょうか。どういう姿勢、体動でガサガサが再現できるかが分かればヒントになります。ちなみに脳が悪くてガサガサすることはありません。
また、心臓については内耳のすぐそばに脳にいく大きな動脈が走っていますので、高血圧、動脈硬化などで時に心拍(脈)と連動する雑音、耳鳴りを来すことがありますが、これは休みのない音となりますので心臓との関連はないように思います。