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ペインクリニック科:診察Q&A

最終更新日:2014年12月18日

静岡新聞の診療室に掲載されたもので、本院の医師が回答したものです。
医師の肩書等は新聞掲載当時のものです。


問1 歯科で麻酔後に動悸

58歳の女性。過去30年間に30回ほど歯科治瞭の麻酔を受けています。先日、初めて注射して数秒後に動悸(どうき)がしましたが10分ほどで正常に戻りました。これからも麻酔治療の必要があると思いますが危険はありませんか。年齢、空腹時などの状態による注意点、ショック死の可能性も教えてください。

答:症状ははっきり医師に告げて…(1997年5月7日 麻酔科医長 白石 義人)

肺酔には大きく分けて全身麻酔と局所肺酔の二種顆になります。今回のご相談は、後者の局所肺酔であり、1時間程度効果のある局所麻酔薬を染みこませ(浸潤させ)神経をまひさせる(速断する)麻酔です。この薬は身体の中で代謝、分解、排泄(はいせつ)され、蓄積性はほとんどありません。

さて麻酔後に動悸がされたとのことですが原因については以下の4つが考えられます。
  1. 薬に対するアレルギー反応
  2. 局所麻酔薬中毒
  3. 神経原性(一次)ショック
  4. 局所麻酔薬に含まれる止血目的の血管収縮薬(アドレナリン)の影響

1.と2.はよく混同されますか、1.はアレルギーのもととなる物質(アレルゲン)が身体に入った時に引き起こされる免疫反応であり、2.は局所麻酔薬が過量になり、血液中の濃度が一過性に上昇した状態です。3.は恐怖や緊張などでいわゆるショックを受けた状態です。

1.から3.の症状は、さまざまですが血圧低下、脈拍増加(動悸)、息苦しさ(呼吸困難)、顔面蒼白(そうはく=アレルギー時は紅潮することあり)などです。治療は症状の程度によりますが、酸素投与、点滴、昇圧薬投与などです。4.の場合は逆に血圧上昇と動悸の症状が出ます。

今回の場合、過去に30回程度同様の薬を受けているので1.の可能性は低く、2.も薬の量は、いつも通りで多いとは思えませんし、歯科治療に対する恐怖感もないと思われるので3.ではなく結局4.が原因と推測されます。お尋ねの症状程度なら治療はいらず経過観察でよいでしょう。十分程度で収まったというのもアドレナリンの一過性の血中膿度上昇を裏付けます。ただ、こうした症状ははっきり歯科医の先生に伝えるべきです。
注意点としては、体調の悪いときや貧血がある場合は、治療はなるべく避けてください。確かに加齢とともに薬の必要量は減少しますが、これは、医者のほうで加減いたします。治療や検査を受けるときは、むしろ空腹の方が安全です。嘔(おう)吐したりそれを詰まらせることがより危険だからです(ただし糖尿病の治療を受けている方は低血糖にならないように注意してください)。医療行為である以上ショック死の可能性は、1.から4.の原因で起こり得ますがその確率は交通事故や飛行機事故に遭うより少ないものです。お聞きになって納得された上で治療をお受けください。

問2 麻酔薬や抗生剤で息苦しくなる

63歳の女性。15年程前に皮膚科で局部麻酔を注射したところ、脈が非常に速くなり、息苦しく体全体がしびれ、一晩入院しました。耳鼻科でのどにネオメドロールEE(抗生物質)を噴霧したときも、息苦しくなりじんましんができました。歯の治療でも同じ症状が起こりました。今後のために麻酔科で薬剤の検査をした方が良いのでしょうか。

答:麻酔科の術前診察で既往歴話して…(2000年8月24日 麻酔科医長 白石 義人)

文面から推察すると可能性は2つ考えられます。1つは何らかの薬剤過敏反応(いわゆるアレルギー)で、その原因となる薬剤は局所麻酔薬か抗生剤と思われます。2番目の可能性は添加された心臓を刺激する成分(β作用といわれるもの)により引き起こされたものです。いずれにせよ投与された薬剤が原因であることは確かで、無麻酔での治療や処置では何も起こっていないことからも証明されます。
こうした場合、医師に薬剤の名前や成分を詳細にお聞きになり、記載したメモをもらうようにしてください。その後の通院の際には必ずそれを提示することが大切です。
さて、ご質問の麻酔を想定して薬剤の検査をするか否かですが、もし1番目のアレルギー反応だとすると原因の投与の有無(量とは無関係)が発症にかかわるのでおやめになった方がよいと考えます。2番目の原因だとしてもその類の薬剤の投与をしなければよいことなので、結局は麻酔科の術前診察の時に詳しく既往歴をお話になってください。安全を考えるなら全身麻酔下での手術・処置が良いかもしれません。質問者のような既往をお持ちの方は、手術を受けられる際は、麻酔専門医の勤務されている病院を選ばれるのが無難かと思われます。