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消化器外科:診察Q&A

最終更新日:2016年7月1日

問1 乳癌手術後、腕にむくみ

56歳の女性。5年前に乳癌(がん)の手術を受けました。術後2年目ぐらいから切除した方の上腕がむくんでさて、今では以前の3倍くらいの太さになっています。痛みはないのですが元には戻らないのでしょうか。手術時には腋(わき)の下のリンパ節も取りました。

答:静脈血うっ滞の可能性も…(1996年7月11日 副院長、外科 遠山 和成)

乳癌手術では特殊な例外を除き、乳房の手術とともに腋窩(えきか=わきの下)リンパ節を切除する手術を行います。リンパ節を切除する意義は、(1)切除したリンパ節を検査し、リンパ節転移の有無を知ることで手術後の治療を決定する(2)リンパ節転移がある場合は、切除することで癌の治る可能性を高くする。以上のような理由から乳癌の手術の際、腋窩リンパ節の手術も行うことは必要な場合が多いのが現実です。

お尋ねの上腕のむくみは、腋窩リンパ節手術の後後遺症です。むくみはリンパ液がうっ滞している場合に生じ、むくみが強いときと痛みを伴うようなときは、静脈血のうっ滞が加わっているといわれています。また行われた手術の術式にも関係するようです。

残念ながら特効薬はありません。器具および機械を使った治療や、薬による治療がありますので、一度試してみる価値はあると思います。

さらに大切なことは上腕がむくみ始めたときに、全身を安静に保つ(上腕だけを休ませることは不可能なため)ということです。初めのうちはこれだけでむくみがとれることが多いものです。ただ1カ月以上長引いた場合には、難しいかもしれません。

まれに上腕が赤く腫(は)れ上がり痛くなるときがありますが、この際は静脈炎を合併した時で治療が必要となります。直ちに病院へ行くことをお勧めします。主治医と相談して治療法を検討することが大切でしょう。

問2 事故で肝破裂、術後に痛み

47歳の主婦。5月に交通事故に遭い、肝破裂腹腔(くう)内出血のため、縫合、止血の手術を受け、術後、肝膿瘍(のうよう)の手術もして2カ月近く入院し、さまざまな検査で異常がなかったので6月末に退院しました。家事はほとんど問題ないのですが、重いものが持てません。また術後3カ月たっても、みぞおち付近に、強く圧迫されるような痛みがあり、強い坐薬(ざやく)を毎日一個使用しています。主治医は「癒着かもしれない」と言っていますが、痛みはこれから軽減するのでしょうか。薬の副作用も心配です。リハビリは必要ですか。

答:薄らぐまでは座薬の使用を…(1996年10月9日 外科医長 高木 正和)

2カ月にも及ぶ入院期間中に2回の大手術を経験され、無事退院されたとのこと、まずおめでとうございます。肝破裂による腹腔内出血は大変危険な交通外傷のひとつで、診断治療が迅速に行われないと救命できない場合もあります。お手紙に描かれた手術創は右肋骨(ろっこつ)の下縁にそって鳩尾(みぞおち)に至る大きなもので、痛むのは鳩尾周辺のようです。

退院前のさまざまの検査で異常がなかったとのことですから、主治医がおっしゃるように、おなかの中で臓器が癒著したり、また開腹の際に切り離された筋肉がなおっていく過程で肉芽腫(しゅ)というしこりを作り、これが周囲の神経を巻き込んで痛む場合もあるかと思います。

いずれの場合も時間の経過とともに痛みは薄らいでいくことが多いようです。その時期が来るまで痛み止めの坐薬を使われるのがよいでしょう。お手紙のように一日一回程度の坐薬では比較的長期になっても心配はありませんが、回数が増えるようですと坐薬の種類によっては胃潰瘍(かいよう)を作りやすくなるので注意が必要です。主治医とご相談のうえ、胃薬を併用されることをお勧めします。リハビリに関しては、軽い家事から体を慣らすことと、入浴後などにおなかの筋肉をゆっくり伸ばすような軽い体操でよいかと思います。おなかの筋肉の力はかなり落ちていますから、重い物を持ったり、長時間立っているのは初めは大変でしょう。

私たちの体は大変精巧にできており、交通事故のように急に大きな外力で重傷を負った場合必ずしも完全に元の状態に戻れず、いわゆる後遺症を残すこともしばしばあります。大切なのは、現在の体でできることを徐々に広げていくことだと思います。手術後3カ月という時期は気持ちは回復しているのに体がついていかず、精神的にも苦しい時期だと思います。あせらずゆっくりと日常生活に復帰なさることをお勧めします。おだいじに。

問3 胃全摘後に腹痛や食欲不振

67歳の男性。昨年7月、胃潰瘍(かいよう)で胃を全部切除しましたが、今年4月ごろから腹痛、食物のつかえ、食欲不振が続き、七月から入院しています。エコーやCT、胃カメラ、レントゲン検査の結果、腹膜の癒着が考えられると言われました。投薬により腹痛は和らいでいますが、上腹部の不快感と食欲不振に悩んでいます。とんな冶療法があるのでしょうか。

答:回復焦らず食べられるものを…(1996年10月14日 外科医長 高木 正和)

胃全摘後の不快な腹部症状に関するお尋ねです。胃は食べたものをいったん蓄え、胃液の働きで消化吸収しやすい形にしてゆっくり、少しすつ十二指腸に流していく働きをしています。どんな理由(病気であれ、この胃を全部取ってしまうからにはそれなりの障害(臓器欠損症状)を覚悟しなければなりません。もちろんあなたの場合もその障害を考えてもなお胃を取る必要があったわけです。

胃を取った後にはお手紙に書かれているようなさまざまな症状が出てきます。それか胃を取ったために起きているのか、主治医のおっしゃるように腹膜の癒着で起きているのかは大変難しい問題です。胃を取ったために起きている症状だとすれば、食習慣の調整(少量の食事を何回にも分けてとるなど)や、種々の内服薬による消化管全体の運動の調整が効果的です。また癒着による症状の場合にもある種の漢方薬が効果的であったりしますが、癒着が強く、腸の通過が悪くなって嘔吐(おうと)を操り返すようなら状況によっては手術が必要なこともあります。

あなたのような不快な上腹部の症状は多くの場合、胃を失った後のおなかの中の新しい環境にうまく慣れていないことが原因のようです。レントゲン検査や内視鏡検査もとても大切ですが、さわやかな秋の一日、病院を抜け出して(もちろん主治医の許可を得て)ご自宅でご家族と食事を囲んでみてはいかがですか。ご家族との食事には、病院食にやや欠けている″愛情″が豊富に含まれていますから。67年間も慣れ親しんだ胃を失ったのですから回復を焦らず、ゆっくり食べられるものから召し上がってみてください。おだいじに。

問4 胆石で胆嚢の全摘勧められた

39歳の男性。先日急に右腹部が痛み、受診したところ、胆石と診断され即入院しました。医師によると、石は直径2センチ程度のものとそれより小さいものが一つあり、硬いので溶かしたり粉砕がしにくく、胆嚢(のう)を全摘した方がよいとのことです。胆嚢を取ってしまって、この先体に影響はありませんか。力仕事などできますか。

答:術後、日常での不自由ない…(1996年10月16日 外科医長 高木 正和)

胆石症に対する外科的治療に関するお尋ねです。胆嚢は、肝臓で作られた消化液(胆汁)が十二指腸に流れていく前にいったん貯留、濃縮される袋です。この袋の中に石ができるのが胆石症であり、この石のために胆嚢そのものに炎症が起こり、腹痛や発熱が起こるのが胆嚢炎です。石の成分、大きさ、個数、胆嚢の状況などにより、石だけを溶かす内服薬治療や、石だけを衝撃波で破砕する治療法をお勧めする場合もあります。

あなたのように胆嚢炎で発見された胆石症の場合、今後の炎症の再発を予防するために石だけを溶かしたり破砕するのではなく、胆褒そのものをとる手術をお勧めします。この手術は最近でほ、ひどい炎症や癒着がある場合を除き、大きくおなかを開けることなく、腹部数カ所に1、2センチの小さな穴をあけて、そこから細い腹腔(くう)鏡というテレビカメラと種々の細長い器具をおなかに入れて、胆嚢を丁寧に切除してくる方法が一般的です。

この手術では手術の翌日から食事をすることができ、手術から2~4日で退院、直ちに就労が可能です。手術後は胆汁の貯蔵庫は失われますが、日常生活に全く不自由はありません。ただし過度の油食は下痢を起こしやすくなる場合もあります。

腹部の傷が小さく、腹筋への影響も少ないため、比較的早い時期から力仕事も可能です。しかし手術は手術、体にとっては負担になっていますから退院後一週間くらいの養生をお勧めします。お仕事の内容などを含め、主治医の先生とよくご相談なさることをお勧めします。お大事に。

問5 長年いぼ痔に悩む62歳男性

62歳の男性。長年、痔(じ)に悩んでいます。いぼ痔で、多少出血するときには病院で座薬をもらい、治しています。私の場合は手術してもすぐ再発するタイプだそうです。電気を使って治療する方法などを聞いたことがありますが、医師には″毎日の生活の養生″が良策だと言われています。今後、どのようにしたらよいでしょうか。

答:中等症以上なら手術を…(1997年5月14日 外科医長 高木 正和)

長年″いぼ痔(痔核)″でお悩みの患者さんからのご質問です。痔核は肛門(こうもん)周囲の細い綱目状の静脈が数珠状に拡張したり(静脈瘤=じようみゃくりゅう=)、血の固まりを作ったり(血栓)することが原因で発生します。直立歩行する人間にとってこの部分の静脈はどうしてもうっ滞が起こりやすく、人間の宿命的疾患とも考えられています。とりわけ静脈のうっ滞を招く腹圧のかけすぎ(トイレで長時間いきみすぎる場合など)、便秘、下痢、長時間の起立、座業、妊娠出産、慢性肝疾患などが痔核の発症増悪の誘因となります。

お手紙の患者さんも毎日の″生活の養生″としておしりの清潔を保つことや、脱出した痔核ははやく肛門内に戻すこと、下痢・便秘を避けること、トイレで長くいきみすぎないことなどに十分注意しておられることと思います。

痔核の治療としては軽症の場合は外用薬軟こうや座薬が使われますが、中等症以上の場合には手術をお勧めします。手術では問題の静脈瘤を切除してしまうのが一般的で、一週聞程度の入院治療が必要ですが、比較的程度が軽い場合にはこの静脈瘤を薬や電気凝固等で固めてしまう方法(硬化療法)も用いられています。

どの治療法を選ばれるかは、痔核の程度、症状、生活習慣などを総合酌に判断して主治医とよく相談されるとよいと思います。どの治療を選ばれるにせよ痔核の憎悪、再発を防ぐのには先程の 生活の養生”が大切であることは言うまでもありません。

また直腸がん、結腸がんのご心配については、1、2年ごとに主治医の勧めする検査をなさるとよいでしょう。お大事に。

問6 乳癌手術後、左腕がむくむ

70歳の女性。一昨年11月に左乳がんの手術を受けました.今年5月ごろから左腕がむくみ始め、手の甲まで広がってきました。痛みはありません。なぜむくんだのでしょうか。放置してもいいのでしょうか。

答:意識的に腕の安静保って…(1997年7月23日 副院長、外科 遠山 和成)

一般的に、乳がんの手術は、乳がんを含む乳房を切除することと、同側の腋窩(えきか)リンパ節群を郭清する(取り去る)ことにより成り立っています。

乳がんの場合、腋窩リンパ節へ転移しやすく、これを放置すれば命取りになることもあります。リンパ節郭清を行うことでリンパ節への転移の有無を知ることができ、転移がある場合にはその個数も分かります。これらの情報を得ることで、手術後の薬物治療などが必要かどうか、必要であれば、どういう治療が適しているかという選択も可能になります。従って腋窩リンパ節群の郭清は、乳がんの治療全体に大きく寄与しているといえます。しかし、リンパ節郭清を行うことは、腕からのリンパ液が流れるリンパ管を傷つけたり、腋窩の癒着を引き起こし、乳がん手術後はリンパ液の流れが悪くなります。

本質問の症状は、腕を使いすぎた場合に多く見られます。治療としては、「意識して」腕を使わず、腕の安静を保つことが大切です。器具を使う方法や薬物治療で改善することもありますので、早急に主治医のアドバイスを求めることも肝要です。

問7 痔の手術の費用や期間は?

60歳の主婦。20年前、いぼ痔(じ)を手術し1年後に再発。以来ずっと悩まされています。最近は歩いていても時々出てしまいます。手術は保険が利くのか、費用と入院日数も教えてください。

答:保険利き、入院は1週間程度…(1997年11月18日 外科医長 小里 俊幸)

20年前に受けた痔核(いぼ痔)の手術法により再発形式が異なります。手術には、痔核を含め肛(こう)門管の粘膜を円筒状に切除して肛門の皮膚と直腸粘膜を縫合する手術(ホワイトヘッド法)と、腫(は)れた痔核のみ切除する手術(結紮=けっさつ)=切除法)があります。ホワイトヘッド法では痔核は完全に切除されますが、術後に直腸粘膜が肛門から脱出することが多く、患者さんにはこれが痔の再発と自覚されます。結紮切除法では残った痔核が腫れてきて再発します。

治療は排便のコントロール、座剤などで様子を見ますが、排便のたびに脱出するような痔核には手術治療が必要です。ご質問の方の場合、歩いていても脱出するとのことで、手術が必要かと思われます。専門医が診れば過去にどんな手術を受けたか簡単に分かり、適切なアドバイスができますので、一度病院を受診されることをお勧めします。

ほとんどの病院で痔の手術は保険診療で行っています。私どもの施設を例にしますと、一般的な痔核手術の場合1週間ほどの入院で、自己負担3割の患者さんですと6万円くらい支払うのが目安となります。

問8 乳がん手術後、左腕にむくみ

61歳女性。5年前、左側の乳がんの手術をし、半年に一度検診を受けています。最近左腕がむくみ、曲げる時に窮屈です。前から顔などはむくんでいましたが、苦痛は感じませんでした。また耳の後方の首筋が凝っています。

答:使わないのが一番だが…(1999年2月4日 副院長、外科 遠山 和成)

乳がん手術後の腕のむくみは、手術を受けた方の5~10%に生じるといわれています。このむくみは手術のうちで液(わき)のリンパ節を切除することにより生じるものです。腋のリンパ節を切除するとリンパの流れる管を切断することが多く、腕から肩に向かって流れるリンパ液の流れが手術の前より悪くなります。従ってリンパの流量が多くなるような時は十分に流れることができずに腕にリンパ液がたまることになり、これが″むくみ″という症状となります。

従ってリンパ液が多くなる場合にむくみが出ます。1.腕の使い方が激しい揚合2.体重増加があり腕に脂肪がついた場合ーなどによく見られます。治す方法としてはまず意識して腕を使わないことですが、これは気持ちの持ち方にもよりますが大変難しいことです。骨折した時は腕を使えません。そのくらいのつもりでいてください。そのほかいくつかの治療方法がありますので大至急、かかりつけの病院で相談してください。

また、首、鎖(さ)骨上部に放射線治療を受けた場合の顔のむくんだ感じ、首筋の凝り、痛みはなかなか治りませんが、そうでない場合は上手な腕の使い方をしていなかったり、筋肉のストレッチ運動が不十分であったり、腕のむくみが間接的な原因であったりしますので、病院で適切なアドバイスを受けることをお勧めします。

問9 8ヶ月前に胆のう手術、便秘に悩む

50歳の男性。胆のう摘出手術をして8ヶ月たちますが、便秘ぎみで、かん腸をしたり便秘薬を飲んでいます。今後どのようにしたら良いですか。

答:大腸検査で病気の有無調べて…(1999年5月31日 外科医長 小里 俊幸)

胆石、胆のうポリープなど良性疾患で胆のうだけを単純に摘出する手術を行った場合、手術後に後遺症を生じることはほとんどありません。ときには手術後早期に上腹部の不快感、鈍痛、下痢、便秘を訴える患者さんもありますが通常1-2ヶ月で症状は軽快します。ご質問の方のように手術を受けて8ヶ月経過してから便秘が生じることはまれで、便秘と手術の関連性は少ないように思われます。

もともと便秘症でない方が便秘となり、徐々に症状がひどくなる場合には、大腸が腫瘍(しゅよう)などを原因として狭くなっている可能性があります。まず、消化器の専門病院を受診し、バリウムを大腸に入れる注腸造影検査か大腸内視鏡検査を受けられることをお勧めします。検査にて大腸を狭くする病気がなかったと分かれば、安心して便秘の治療が行えます。便秘の治療の第一は、便秘をしていることをあまり気にしないことです。一般的には野菜や穀物など繊維の多いものを食べ(便の量が増え、固くなりにくい)、規則正しい生活をすることが基本です。また胃に食べ物が入ると腸も動き出しますので(胃腸反射)、毎日朝食後には排便のあるなしにかかわらず、必ずトイレに行く習慣をつけることも大切です。便秘薬にもいろいろな種類がありますので病院で相談されると良いでしょう。

問10 腸閉塞の手術後、膿が止まらない

54歳の夫。腸閉塞(へいそく)で手術しました。2週間で退院できると言われたのに3週間すぎても膿(うみ)が出て毎日ガーゼ交換しています。体重も10キロ以上減り声はガラガラです。がんの初期症状なのでしょうか。

答:まず抗生物質を併用…(1999年6月17日 外科医長 高木 正和)

腸閉塞に関するご質問にまずお答えします。一般的には、手術を要するような腸閉塞は、何らかの理由で機械的に腸の通りが妨げられることが原因で起こります。以前行われた開腹手術のまての腸管の癒着による通過障害や、腸の腫瘍(がんを含みます)、あるいはおなかの中のすき間に腸がはまり込むような通過障害も考えらます。緊急手術を要する多くの場合、腸閉塞の原因やその閉塞部位は不明なことが多く、手術室で開腹してはじめてそれが判明することも珍しくありません。腸閉塞の原因が単純な腸の癒着によるものの場合と、がんによる場合では手術の内容は大きく異なるわけで、手術の後の経過をその内容を知らずに予想することは大変困難です。

さらに手術後3週間経過してもなお膿(うみ)が出るとのことですが 、この理由として以下の3点が考えられます。まず、おなかの壁(腹壁)の傷が化膿した場合、次におなかの中(腹腔内)に化のうが起きている場合、最後に腸の内容が漏れて皮膚の傷から出てくる場合の3通りです。いずれの場合も膿を体の中にためないように工夫して、抗生物質を併用することで大抵は良くなっていきます。なかなか治らないときは腸内容の漏れが原因である可能性があり、簡単なレントゲン検査の後再手術を要することもあります。

腸閉塞の原因となかなか止まらない膿についてご心配の様子がよく分かります。どうかもう一度主治医にこの2点についてご相談ください。きっと分かりやすく説明してくださいますよ。

問11 わきの下の皮膚の内側にしこり

25歳の女性。両腕のわきの下の皮膚の内側に時々しこりのようなものができます。放っておくと、数日でなくなりますが、大きいものは直径1センチぐらいあり、痛みもあります。そのままにしておいても大丈夫でしょうか。

答:副乳の可能性、摘出手術を…(2000年5月17日 外科医長 中上 和彦)

文面からすると、両腋窩(わき)の皮下に消退を繰り返す最大1センチ大の有痛性の腫瘤が認められるとのご質問と考えます。生理との関係がはっきりしませんが、副乳である可能性が最も考えられます。

副乳とは、母体内でヒトが出来上がるまでに腋の下から股の付け根までの間に多数の原基(乳房の基)が一度作られ、通常は一対を残し残りは自然に退化して消えてしまいますが、それが偶然残ったままになったものです。乳首、乳輪、乳腺のすべてがあるものから、それぞれ単独で残っているものまでいろいろです。それができる頻度は、日本人女性の場合、約6~14%との報告があります。できる場所としては先程述べましたように、腋の下から股の付け根の線上であればどこにでもできますが、正常乳房より上方で腋窩の周りが最も多く、左右対称に現れることもあります。これらは生理、妊娠、分娩時には正常乳腺と類似の変化を示すことがあります。つまり、副乳の腫れ、緊満感や痛み、乳汁分泌などが起こります。患者さんの場合、皮膚面上変化をみない乳腺組織だけのものであると考えられ、生理のサイクルに合わせ腫れや痛みが出ているものと思われます。

治療法としては、美容上あるいはがんの発生母地となることがありますので摘出されるのがよいと思います。摘出手術は、外来で簡単にできます。

問12 いぼ痔を取りたい

66歳の主婦。いぼ痔で悩んでいます。時々はれますが、普段は柔らかく、押し込めば納まっています。手術ですぐ取ることはできますか。

答:日常生活に困らなければ必要なし…(2000年8月22日 外科医長 中上 和彦)

痔核は、肛門の粘膜下や皮下の静脈叢が静脈瘤状(こぶ状)に拡張したもので、歯状線(肛門縁から直腸側に約2センチ奥にある全周性のくし状粘膜ひだ)より口側にできたものが内痔核と言われ、歯状線より外側にできたものが外痔核と言われます。内痔核の主要症状は出血と脱出であり、通常痛みはありません。これら内痔核の病気は、第1期=出血があるが脱出しないもの、第2期=排便時脱出があるが自然還納(戻る)するもの、第3期=脱出の還納に用手的介助(押し込む)を要するもの、第4期=常時脱出しているもの、に分けられます。

お手紙では、出血や痛みはなく、普段は脱出していない状態で、時々脱出する内痔核と考えられます。これら内痔核には自然治癒傾向もあります。長い間に血液のうっ滞が血液の凝固をおこし、その後繊維化し、痔核そのものが弛緩性で柔軟なポリープ様結節となることがあります。貝の干物様と言われているのでこれに相当すると思います。つまり、経過の長い柔軟な繊維化を起こした2期の内痔核と考えられます。通常手術の適応は3・4期の患者さんですので、脱出で日常生活に困っていなければ無理に取らなくてもいいかもしれません。しかし、日常生活に困るようでしたら手術してよいと考えます。

問13 排便後、肛門に強い痛み

68歳の男性。排便後、肛門に重苦しいような強い痛みがあり、終日続きます。肛門科、整形外科を受診しましたが、原因不明です。

答:直腸肛門痛か、根気よく治療して…(2001年1月15日 外科医長 小里 俊幸)

肛門の痛みが長期間続き、排便を契機に痛みが生じるときには、考えられる病気として第一に裂肛(切れ痔)が慢性化した肛門潰瘍が挙げられます。肛門潰瘍の場合には確立した治療法(薬物、手術など)があり、簡単な診察で診断が可能ですので、まずこの病気の有無を専門の病院でチェックしてもらう必要があると思われます。

しかしご質問の方はすでに肛門科を受診され、肛門、直腸に痛みの原因となる病気はないと言われています。これが確かだとするなら、痛みの原因のはっきりしない、いわゆる直腸肛門痛(Proctalgia)と称される病態に該当します。この痛みは肛門直腸を取り巻く筋肉(肛門挙筋)の痙攣により生ずると考えられており、過敏性大腸炎、腰椎(ようつい)の変形、精神的な病気(心身症、うつ病)などの関与が推測されています。

いずれにしても原因のわからない痛みですのでなかなか治り難く、治療も対処的に行わざるをえません。すなわち規則正しい生活、便秘や下痢をしないようにする、排便時に過度にいきまない、鎮痛剤の内服、抗うつ剤の投与などです。肛門痛がとくに強く、日常生活にも不便を生じるような場合には神経ブロックも効果的です。直腸肛門部を支配する陰部神経を局所麻酔薬でブロックすれば痛みは一時的に軽快します。治療は長期になりますので、根気よく続けることが肝要です。

問14 胸の囊胞は妊娠出産でがん化するか

1年ほど前の乳がん検査で囊胞があると診断された女性。定期的に2回検査を受け、大きさも変化なく、がんの心配もないとのことでしたが、今後、妊娠や出産で乳腺が発達した場合、囊胞が大きくなったり、がん化することはないでしょうか。更年期障害などで女性ホルモンを含む薬を処方された場合、同様の心配はないでしょうか。

答:エコーで病変なければ心配ない…(2001年7月12日 外科医長 中上 和彦)

囊胞は、乳腺症に伴って比較的よく見られ、小さいもの(microcyst)と大きいもの(macrocyst)とがあります。通常その診断は、エコー(超音波診断)で容易につきます。囊胞は大きくなったり、別の場所にできたり消失したり変化します。その治療は、原則的には穿刺吸引を行い、非血性で腫瘤が消失した場合や、小さいものには経過観察でいいでしょう。ただし、血性の内容液や腫瘤残存の場合には乳管内乳頭腫や囊胞がんの可能性があります。エコーで内部に腫瘤病変がないような囊胞の場合、がん細胞に変化することはほとんどないでしょう。

更年期には、よくホルモン補充療法が行われていますが、乳がんの発生を高める可能性があります。しかし、どの程度のホルモン量を、どのくらいの期間服用した場合に危険率が高くなるか、正確な数字はありません。大量のホルモン剤を、10年以上の長期にわたり服用した場合、危険性がやや上昇するというのが現在の見解です。余分ですが、すでに乳がんの手術経験のある場合は、再発の危険性は上昇するので、避けた方がいいでしょう。

問15 直腸がん術後3年の今も夜間はおむつ

75歳男性。3年ほど前に直腸がんの手術を受け、直腸から大腸にかけて約30センチ切り取りました。今でも夜間に大便が漏れるので紙おむつを使用していますが、何とかならないでしょうか。整腸剤を飲んでいます。

答:排便のリズム整えたり薬の服用で根気よく…(2001年8月28日 外科医長 小里 俊幸)

直腸がんの手術は、以前は肛門を含め直腸を切除し人工肛門を腹部に作製する術式が一般的でしたが、腸を吻合する器械の開発と手技の向上により、最近では肛門を残す術式が多く行われています。しかし肛門を残して直腸を切除しますと排便機能は手術前より確実に低下します。すなわち便をためておく腸が短くなるため、1回の排便量が少ない、1日の排便回数が多い、便意をこらえにくいなどの症状が生じます。

さらに吻合部が肛門に極めて近い場合には、便とガスの区別がつかない、知らずに便が漏れてしまう(失禁)など不愉快な症状が残ることもあります。これらの排便機能障害は手術後徐々に改善し、通常6ヶ月から1年くらいで症状は固定します。

ご質問の方の場合はすでに手術後3年を経過し夜間の失禁が残っているため、やはり現在の症状を改善することはかなり難しいものと思われます。しかし規則正しい食生活で排便のリズムを整えたり、薬により夜間の排便を抑えたりすることで失禁が少なくなることもあります。主治医の先生と相談しながらあきらめずに根気よく治療してください。

問16 乳腺症といわれ不安

60歳の女性。健診で乳腺炎といわれ、検査の結果、乳腺症で経過観察と年1回の精密検査が必要といわれました。ときどき痛みがあり、このまま放置していいのか不安です。

答:心配しすぎる必要ないが定期的に乳がん検査を…(2002年3月18日 外科医長 中上 和彦)

健康診断の時に、乳腺炎ではなくて乳腺症であったと推察されます。乳腺症は、30代から40代の女性によくみられる痛みやしこりを伴う乳腺の良性疾患で、外来を受診する乳腺疾患の中で最も頻度の高いものです。月経がなくなる50歳くらいになると、卵巣のホルモン分泌機能が弱まり頻度はぐんと少なくなりますが、60代でもみられます。原因はエストロゲン(女性ホルモンの1つ)の相対的過剰で、乳腺の増殖性変化と退行性変化とが混じりあって起こります。正常乳腺にも同様の変化が起きていることが多く、軽度の乳腺症は正常の生理的変化の一部分だとも言われています。

治療はホルモンバランスを正常に戻すように生活を整えることですが、主には痛みに対する対症療法が主体となります。放置されても心配ありません。乳腺症をもつ人は、ごく一部(おそらく1%以下)にがんの発生率が高いものがあると言われています。しかし、必要以上に心配する必要はまったくなく、今のところがんの発生率は正常乳腺と変わらないと思ってもらっていいでしょう。ただし、乳腺症をもつ人は、普通の人以上にきちんと乳がん検診を受けることをお勧めします。

問17 ヘルニアで歩くと痛み、手術必要か

32歳の知的障害の娘。2年前に左の腹部(へその横)にしこりのような物を手でさわると感じました。病院のエコー検査でヘルニアと診断、ゴルフボールくらいの大きさで様子をみましょうと言われました。長時間歩くと痛がるようになってきました。手術が必要でしょうか。身長は146センチ、体重は71キロです。

答:他に治療法ない、早めの処置を…(2004年10月6日 外科 瀬戸口 智彦)

娘さんのご病気はヘルニアが考えられます。ヘルニアとはいわゆる脱腸のことですが、実際は腸が出ていることは少なく、弱くなった筋膜(腹壁)の間から腹膜の一部が伸びて膨らんだものです。筋膜の弱い所として、鼠径(そけい)部(大腿(だいたい)の付け根)、へそ、そしておなかの手術のはん痕などがあります。

ヘルニアの治療は手術しかありません。手術の方法は、伸びてしまった腹膜をおなかの中へ戻してあげ、筋膜を縫い合わせる方法と、人工の筋膜で補強するやり方があります。後者の方が術後のツッパリ感が少ないと言われています。

また皮膚を普通に切って手術をする方法と、腹腔(ふくくう)鏡を使って小さな傷でおなかの中から筋膜を補強する二つの方法があります。後者は限られた病院でしかできないため、直接病院の先生に聞いてみるのが一番だと思います。入院期間は1―2泊くらいです。

ヘルニアはそれ自体では悪さはしませんが、腸がはまり込んだ場合、腸が壊(え)死(し)して命にかかわることもあります。また自然に治癒することはなく、放っておくとどんどん大きくなってきますので、早めの治療(手術)をお勧めします。

問18 便秘と脱肛に悩む

76歳の女性。便秘と脱肛で悩んでいます。60歳を過ぎてから便秘症になり、下剤は使わずに過ごしてきました。4年前、2カ月入院した際、便秘すると下剤が出て排便を意識するようになりました。退院後、内科で下剤を処方されましたが、下痢が止まらずやめ、今は整腸剤と軟こうで対処しています。硬い便が詰まっている感じでいきんでも出ません。脱肛で石を挟んでいるような歩き方です。

答:大腸腫瘍や直腸脱の可能性考慮し肛門科へ…(2004年10月13日 外科医長 柏原 秀史)

まず便秘についてお答えします。長年に及ぶ便秘に対して下剤も使われたようですが、便秘の原因には運動不足のほか、食物繊維の摂取不足や水分の不足、善玉腸内細菌(ビフィズス菌など)の減少などが関係しますので、下剤だけに頼らず日常生活の改善が第一です。

また、便秘症の中には大腸腫瘍(しゅよう)や骨盤内腫瘍が潜んでいることがありますので、肛門科への受診をお勧めします。

次に脱肛の説明ですが、硬い便が肛門を刺激して痔(じ)が大きくなり脱出したものが脱肛です。排便の度に手を使わなければ戻らないものや、手を使っても戻らない場合には、手術をお勧めします。

しかし、まずは便秘を解消することと、10分以上のトイレを避けること、痔核治療薬(坐剤・軟こう)を使用することで症状は改善するはずです。また、脱肛と思い込んでいる中には、手術をしないと治らない直腸脱が隠れていることがあります。直腸脱は子宮や直腸が落ちないように支えている骨盤底の筋肉が弱くなると発生し、高齢の女性に多くみられます。やはり肛門科への受診をお勧めします。お大事にしてください。

問19 過去3回乳腺炎に、乳房のしこり痛む

40歳の女性。三子があり、出産の際、おっぱいが張るのですが、出てこず、乳腺(せん)炎に3回ともなり、三人目の時は、発熱が3日間続き、けいれんも起きました。ホルモン剤ものんでいましたが、効きません。三人目が5歳になり最近乳房のしこりがチクチクするようになり、右の乳房から少ししみ出てくるようになりました。何科を受診すればいいのか、万が一がんの場合、手術となると、費用、入院期間など教えてください。

答:乳腺症か、乳腺外来で超音波検査…(2005年9月1日 乳腺外科・外科医長 中上 和彦)

いずれの子供さんの場合にも、なんらかの原因で乳管が閉塞(へいそく)し、それが原因でうっ滞性乳腺炎を起こされたと思われます。三人目のお子さんの場合、記載がないので分かりませんが、うっ滞性乳腺炎が特に重症であったか、一部のうっ滞した乳汁に細菌感染を起こし急性化膿(のう)性乳腺炎を起こされたかのどちらかと想像されます。

以上のような過去に加え現在、チクチク痛む乳房のしこりと右乳房に軽度の乳汁分泌を認め、どのような状態なのか心配されてのご相談かと推察いたします。マンモグラフィーや超音波をしてみないと分かりませんが現在の症状からは、がんというより乳腺症が強く疑われます。また、過去の乳汁うっ滞と乳腺症とは関係ないと思います。

万が一、乳がんだった場合、入院費用は検査・入院期間にもよりますが、60万―80万円くらいです(保険の場合、費用の三割が患者さんの負担になります)。入院日数は、最近では日帰り手術を行っている施設もありますが、だいたい1週間前後の入院をみてもらえればいいでしょう。受診先は、マンモグラフィーや超音波の設備のある乳腺外来を受診してください。

問20 クローン病で皮膚がケロイド状に

68歳の女性。クローン病歴33年。3回目の手術が2001年で大腸全摘出し、小腸は1メートル程度残して除去しました。以来、潰瘍ができ、へその下に穴が開き今回はストマ(人工肛門)をつけて1年3カ月閉じていません。量が多いと添加剤が溶け出して漏れます。また、皮膚がケロイド状になり、腹部の屈伸や動く度に激痛になります。ケロイド状を改善する方法はありませんか。

答:外科治療も含め担当医と相談を…(2013年6月12日 消化器センター 大腸外科主任医長 大端 考)

クローン病は小腸や大腸に原因不明の炎症がおこる病気で、厚生労働省により特定疾患(難病)に指定されています。
症状は下痢、腹痛や発熱などです。炎症の結果、腸管の一部と皮膚が交通してお腹に小さな穴があき腸液や便がでるようになったり、腸管に狭窄が生じて通りが悪くなったりすることがあります。
根治は難しいため、病気の勢いが治まって安定している状態を維持するのが治療の目標です。腸管に穴があいた場合や狭窄に対して外科治療を行うこともありますがクローン病そのものを治す治療ではありません。主体は、栄養療法、薬物療法、血液成分除去療法など内科的治療です。
ご相談者はすでに3回の手術を受けておられ小腸も1メートルしか残っていませんからなるべく手術以外の治療にしたいところです。しかし、1年以上も改善がなく痛みもありますので、皮膚がケロイド状ということも含めて外科治療も検討されているでしょう。
紙面上で解決するには経過が長く病状も複雑だと思います。まずは担当医やストマについて専門知識を持った認定看護師などと話し合って各治療の長所短所を確認してみてはいかがでしょう。