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放射線検査における放射線ひばく(被曝)についての説明

最終更新日:2024年2月27日

当院には病気をより早く、より確実に診断するために様々な画像診断用の検査機器が設置されています。検査機器の中には、放射線を用いて画像を得るものが含まれています。

検査を受けられる患者さんの中には、放射線による害(放射線被ばく)について心配されている方もいらっしゃることと思います。検査における放射線被ばくについて、皆様のご心配を除く一助になれば幸いです。


1.放射線を用いない画像診断(被ばくのない検査)

(ア)超音波検査(エコー)
(イ)MRI(磁気共鳴検査)

2.放射線を用いる画像診断(被ばくのある検査)

(ア)一般撮影検査(レントゲン検査)
(イ)CT検査
(ウ)骨塩定量検査
(エ)核医学検査
(オ)血管造影検査
(カ)X線透視検査
(キ)造影検査
医療における放射線の利用については、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告60の「行為の正当化」、「防護の最適化」、「個人の線量限度」という3つの原則があります。当院においても、この原則に則り診断可能な範囲で放射線被ばくを少なくできるように努力しています。

1.行為の正当化
放射線被ばくを伴う行為は、被ばくする個人または社会に対して、それによって生じる放射線障害を相殺するに十分な便益がなければなりません。
医師(歯科医師)は放射線障害を考慮した上で、放射線被ばくのある検査が必要と判断したときにのみ行います。

2.防護の最適化
個人被ばく線量、被ばく人数、被ばくの可能性を、経済的要因、社会的要因を考慮に加えた上、合理的に達成できる限り低く抑えます。
つまり、放射線を当てる範囲を限定する、撮影条件の最適化を行うことにより、被ばく線量を減らすように努力します。

3.個人の線量限度
線量限度とは被ばく線量またはリスクの合計を制限するため設定された個人被ばく線量の上限値です。
医療における放射線被ばくは、患者さんの享受する利益が放射線被ばくによるリスクを上回っているため、個人の線量限度は設定されていません。

放射線障害にはしきい値(これ以上の被ばくをすると放射線障害が発生する被ばく線量)が存在する確定的影響と、しきい値の存在しない確率的影響が存在します。
確定的影響には脱毛や皮膚の発赤などが挙げられます。確率的影響には発がんと遺伝的影響(被ばくした本人の子孫に放射線障害が発生すること)が挙げられます。ただし、人において遺伝的影響は科学的に証明されていません。

放射線被ばくの程度は検査内容によって大きく異なります。一般に撮影枚数や照射時間(被ばくする時間)が多いと被ばく線量は増えます。当院ではより高感度の検査機器を用いることで、患者さんが被ばくする時間を短くすること、放射線の量を少なくすることで被ばく低減に努めています。

確定的影響の閾値は代表的なもので一時的な不妊は150mGy(Gy:グレイとは放射線の影響を評価する指標の単位です。mGyはGyの1/1000を意味します。)、胎児の奇形が100mGy、白内障が500mGyとされています。一方で、画像診断で被ばくする放射線量は原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の統計によるとCT検査で20mSv(Sv;シーベルトとは放射線の影響を評価する指標の単位です。この場合ではGyと同義として問題ない。)程度、血管造影検査で12mSv程度とされ放射線障害を起こす閾値と比べ十分に低く設定されていることが解ります。また、私たちの体は放射線により影響を受けると自身で回復する機構を備えています。この程度の被ばく線量では数日中に放射線による影響はなくなってしまいます。

放射線によるリスクは、被ばくしたときの年齢、被ばく線量、被ばくした部位によって異なります。年齢は若いほど、被ばく線量は多いほど、被ばくした場所は生殖腺に近いほどリスクが大きいとされています。
若年者や妊婦に対しては、不用意な検査を控える。撮影を行うとしても生殖腺や放射線感受性の高い組織を防護するなどより一層の配慮をするよう心がけています。

また、発がんについては広島や長崎の原子爆弾被ばく者、チェルノブイリ原子力発電所作業員への追跡調査から、画像検査に用いる放射線量程度では因果関係を認められません。

患者さんにとって病気の早期発見、正確な診断は大きな利益です。しかしながら、放射線による不利益の可能性がある以上、無駄な放射線被ばくは避けなければなりません。検査に当たっては、何の目的で行う検査なのか納得した上で検査に臨んで頂きたいです。解らないことがある場合には遠慮なく担当者にお聞きください。