心理教育

当院では、統合失調症を対象とした心理教育を行っています。

当院では、入院・外来を問わず統合失調症をもつ患者さまを対象に、年間を通して心理教育プログラムを実施しています。1クールは全6回で構成され、毎週1回、さまざまな職種が交代で情報提供をします。医師・看護師・薬剤師・臨床心理士・作業療法士・精神保健福祉士など、多職種が連携し、それぞれの専門的立場から統合失調症の理解を深める場を提供しています。

心理教育は、単に病気の知識を伝える「疾病教育」にとどまらず、病気や治療に関する情報を共有しながら、ストレスへの対処法や再発予防の工夫を共に考えるプログラムです。参加者が自らの課題を振り返り、生活を主体的に整える力(エンパワメント)を引き出すことを目的としています。同じ悩みをもつ仲間と語り合うことで、相互理解や支え合いが生まれることも心理教育の大きな特徴です。

各回のテーマは「統合失調症とは」「ストレスについて」「薬について」「回復の道すじ」「再発予防とリハビリテーション」「社会生活に向けて」などで構成されています。グループワークやディスカッションを通して、患者さまが自ら考え、気づき、学び合う“インタラクティブ”なスタイルを重視しています。進行役(リーダー)、補助役(コリーダー)、板書係が連携し、安心して発言できる場づくりを大切にしています。

また当院では、より多くの職員が心理教育に関わり、高いスキルで実践できるよう、院内向け心理教育研修会を定期的に開催しています。実際のセッションにオブザーバーとして参加しながら学ぶ形式を取り入れ、経験の浅い職員も安心して関われる体制を整えています。さらに外部研修への参加も奨励し、院内全体で心理教育の質向上を目指しています。

再発を防ぎ、患者さまが自分らしく生活していくためには、病気を理解し「困難に立ち向かう力」を育てることが何より重要です。心理教育はその第一歩を支援する取り組みです。
当院では今後も、患者さま・ご家族・職員が共に学び、支え合う場として心理教育を充実させてまいります。

職員研修の様子

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