意外なシップの落とし穴
日差しの強い季節になってきました。
気がついたら日に焼けていた、なんてことありませんか?
今回は、そんな日差しと薬の関係のお話です。
太陽からの光にはいくつか種類があることをご存知でしょうか。
太陽からの光線には、私たちの目に見える「可視光線」のほかに、目に見えない「赤外線」「紫外線」「X線」「ガンマ線」があります。
「紫外線」は日焼け止めのコマーシャルなどで耳にすることがありますよね。
では「赤外線」は? 携帯電話の通信などで聞いたことがあるでしょうか。
「X線」「ガンマ線」…病院で耳にしたことがあるかもしれません。
紫外線は可視光線の紫よりも波長が短いことからこの名前がつけられています。
英語では「ultraviolet」(紫を超える)といい、UVと略されます。
ちなみに赤外線は可視光線の赤より波長が長いことからこの名前がつけられ、英語では「infrared」(赤より下)といいIRと略されます。
紫外線はその波長の長さによって「A波(UVA)」「B波(UVB)」「C波(UVC)」に分けられます。
ガンマ線からUVCまでの波長の短いものはオゾン層に遮られ地上に届くことはないと言われています。
つまり日焼けなど肌に影響するのは、紫外線のうちUVAとUVBなんですね
余談ですが、可視光線はその名の通り、ヒトの目に見える光線になります。
その見える色は短いほうから紫・青・緑・黄・橙・赤と並んでいます。
この並び…どこかで見たことがありませんか?
そうです。虹の配色なんですね。
虹は水滴などによってそれぞれの色に分解されて見える可視光線なんですね。
虹は7色では? と思いませんでしたか?
虹を何色とするかは国や地域によって異なります。
虹は7色であるとしたのはあの「アイザック・ニュートン」と言われています。
日本では、紫外線は3月頃から強さを増し、5~8月にかけて最も強くなります。
また、1日のうちでは正午ごろがピークになります。
夏だけ紫外線対策をしていればいいと思っていませんか?
紫外線対策は季節と関係なく必要なものなのです。
では、この紫外線がどのように薬と関係するのでしょう。
湿布を貼った後に赤くかぶれたことはありませんか?
湿布を貼ったという物理的な刺激でかぶれる、薬が体に合わなくてかぶれることもあると思います。
それ以外に、湿布を貼っただけではかぶれず、湿布を貼った後に日光に当たると赤くなることがあります。
これは「ケトプロフェン」という成分を含む湿布で多く見られる「光線過敏症」という副作用になります。
「光線過敏症」は主にUVAが関係します。
この副作用で厄介なのは、湿布を貼っている時だけ紫外線に注意すればいいというわけではないことです。
薬の成分は、湿布をはがした後でも皮膚に残り続けます。
「ケトプロフェン」という成分を含む湿布の説明には「はがした後も4週間程度は貼っていた部分に日光を当てないように」と記載されています。
また、「ケトプロフェン」だけでなく、同じような痛み止めの湿布でも「光線過敏症」が起こることもあります。
紫外線対策がしっかりできていれば「光線過敏症」が起こる可能性は低くなります。
が、その紫外線対策、本当に正しいのでしょうか?
花粉症対策用のマスクは紫外線をブロックできません。
薄手や白い衣類は紫外線を通しやすいと言われています。
なので、中厚手の濃い色の衣類がお勧めです。
また、日焼け止めの中で「オクトクレリン」という成分が入っているものは要注意です。
「オクトクレリン」は「ケトプロフェン」とお互いに反応しあい「光線過敏症」を引き起こしやすくなるという報告もあります。
「オクトクレリン」は香水やお化粧品に入っていることもあります。
日焼け止めの成分、確認してみてはいかがでしょう?
まだまだ紫外線の強い季節です。
薬の使用も紫外線対策も、正しく安全に行いましょう。