院長のごあいさつ

院長 坂本喜三郎

静岡県立こども病院のホームページをご覧いただきありがとうございます。

院長拝命から8年目を迎えました。
SARS-CoV-2との4年間を超える戦いが明けて、晴れ晴れと新年度を迎えるにあたりと書きたかったところですが、今も “SARS-CoV-2変異株感染の常態化と想定以上の感染後遺症”、そして“集団・個人免疫の変化に伴う既存感染症の逆襲?に対する対応”に苛まれ、病院経営も含めてSARS-CoV-2後遺症との戦いが続いていると感じています。

特に小児領域では、コロナ前であれば乳児期に感染症の免疫獲得がされなかった反動で様々な小パンデミック?が頻発し、大きな負の影響が出ています。予期しない感染により予定手術、処置、検査等の入院が大幅に減り、病棟・病床閉鎖が必要になること等々、通常必要とされる医療を継続できないからです。更に昨年は、“ウクライナ危機に端を発したエネルギー関連を筆頭とする物価高騰”に伴う経費増、“コロナ関連補助金の漸減や廃止”など医療を取り巻く環境悪化が重なり、小児系施設は成人系施設以上に厳しい状況に立たされ当院も開設以来の大幅赤字となりました。この状況を乗り越えるためには職員一丸となって取り組む必要があると判断し、公立病院としては異例かもしれませんが、退路を断つ覚悟を持って昨年10月に“経営危機宣言”を発出し全職員と情報を共有しました。 宣言発出から5ヶ月を過ぎたところですが、多くの職員から“当院の人、物、そして(金ではなくて)ブランド力”を活かした前向きな発想・提案、そしてそれを進める協力があり、着実な改善・変化が始まったと私は感じています。

令和6年度は、静岡県小児医療最後の砦の新たな基盤を作り上げる初年度です。
私は、何を成すにも“基本は人である“と信じております。まず当院で働く職員が“こどもとその家族のために”という気持ちを忘れず前向きに取り組める背景作りに今まで以上に取り組みたいと思います。そして、その職員一人ひとりがお互いを思いやることを当院の文化にすることでワンチームを作り、そのワンチームで連携・応援してくれる医師、医療関係者の方々に誠意ある対応をすることで小児医療を支える人の輪を地域全体、県全体で作り上げる・・壮大な目標ではあります。“ローマは1日にしてならず”を心に刻み、雲外蒼天を信じて日々の改善を積み重ねて行けばいつか必ず到達できるはずです。職員の皆様、ご協力何卒よろしくお願いします。

改めて当院の基本姿勢について

「私たちは、すべての子どもと家族のために、安心と信頼の医療を行います」という病院理念のもと、私の院長就任時の約束である「人を大切にする」を土台にした「自然体で、安心と信頼の医療を行える文化を病院に根付かせる」ことを目指します。

2024年度の方針

医療を必要とする子どもたちとその家族に貢献するために、必要な知識、技術、経験、そして何より“人を思いやる心”を持った職員を育て、その仲間(職員)と共に『思いやりと笑顔あふれる、人を大切にし続けられる病院』を目指すという基本は変わりません。
成育基本法が成立し、こども家庭庁が設立されました。国の少子化対策も大きく前進する政策が議論されている状況を踏まえ、“産んでよし、育ててよし”を謳う静岡県の小児医療代表機関として、静岡県小児医療を支える“人の輪作り”の中核を担い、時代の波に先んずる視点を持ち『新時代の、こども達のこころと身体を守る小児医療・最後の砦』を作り上げていく所存です。
今年度も、改めましてご指導、ご鞭撻、そしてご支援、何卒よろしくお願い申し上げます。

令和6年4月 院長 坂本 喜三郎