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研修医の海外研修

最終更新日:2017年9月1日

海外研修制度:UCLAでの研修

当院では研修医の方に多くの経験を積んでいただくため、海外研修制度を設けています。

UCLAでの海外研修を終えた研修医の感想をご紹介します。
ぜひ当院で一緒に学び、さらに海外研修などを通じたスキルアップを目指してください。


平成26年度 参加者の感想

平成26年度初期臨床研修医 2年次:宮城島 俊 医師

研修医の海外研修01

今回1ヶ月に渡り、アメリカの病院での研修という貴重な経験ができました。
1番感銘を受けたのは、アメリカの研修医たちは積極的に発言をする点でした。例えば朝の勉強会がほぼ毎日開催されますが、基本的に常に誰かが発言をし、日本でありがちな沈黙という場面が全くと言っていいほど見受けられませんでした。だからといって常に高等な知識を披露しあっているというわけでもなく、日本ではわざわざ言わなくてもいいだろうと思ってしまうことまで積極的に言い合っているという感じで、そのためか私が大学、当院で経験してきたどの勉UCLA 宮城島Dr.強会、カンファレンスよりも活気があるように思いました。この1ヶ月を通じ、今後私が取り入れていきたい点だと感じました。
回った科では、1週目のHospitalist、2~3週目の消化器内科、4週目のinternal medicineとどれも有意義な時間を過ごすことができました。内容としては、だいたいはResidentまたはInternに付いて患者さんの診察、オーダー、時にはdiscussionを行うという研修でした。我々は送り迎えの関係上午前9時に病院に行きますが、彼らは我々が病院に到着する2時間前には病院に行ってその日の方針を立てていました。しかし、後から来る我々に対しても嫌な顔一つせずに患者さんのことを教えてくれたり、discussionしてくれたりしたので、とても実りのある研修でした。
正直な所、他にもこの文面では言い尽くせないほどの感想があるのですが、その中でも個人的には志望科でもある消化器内科での2週間が特に印象的でした。内視鏡ではある程度お手伝いができたので、実際にアメリカの医療に関わっているという実感が得られましたし、同じ検査や治療でも日本とアメリカでは、“一般的”とされているものがかなり異なるということも勉強できました。Olive view UCLA Medical CenterではHospitalistやInternal medicineがほとんどの入院患者さんを見ていて様々な疾患に触れられるため、研修でもこの2科が中心になる傾向がありますが、志望科がある程度固まっている方には、こういった専門科での研修も良いのではないかと感じました。語学面では、つたない英語でしたが皆がしっかりと聞いてくれて、話す時もこちらにもわかるように話してくれたので、会話ができずに困ったということは全くありませんでした。LAという土地柄、ヒスパニック系の患者さんが多かったので、今後行かれる方は多少スペイン語もかじっておくとより良いのではないのかなと思います。
アメリカでの研修を通じ、多くの事を学ぶことができました。このような素晴らしい機会を与えて下さった方々に深く感謝すると共に、これから当院で研修される方々に是非この研修をおすすめしたいと思います。

平成26年度初期臨床研修医 2年次:羽田 綾馬 医師

平成26年7月の1ヶ月間、Olive View Medical Centerで研修をする機会をいただき、研修してきました。
Internal medicineを2週間、Hospitalistを2週間ローテーションし、それぞれの科で卒後1-3年のResidentについて一緒に診療を行いました。またそれ以外にも院内急変時の際、RRT(Rapid Response Team)の出動現場に同行する機会も3回ほどありました。
実習内容についてですが、以前に研修に赴いた諸先輩方が述べているように積極的な討論が展開され、英語を聞き取ることに終始苦労しますが、内容はあくまで臨床推論であり、患者さんへの問診と身体診察から得られた情報をもとに鑑別を考える、日本と全く同じことをしています。もちろん疫学の違いがあり、鑑別のPriorityなどはかなり違うなと新鮮に感じた部分もありましたが、彼らの苦手な分野もあり、知識量が圧倒的に足りないといった劣等感を感じる必要もないと思いました。彼らと各症例をDiscussionしていくうちに自身の鑑別の幅が拡がったように感じ、とても良い刺激を受けた1か月となりました。
またHospitalistやRRTといった概念はなかなか日本で広く浸透してはおらず非常に興味深いものでした。Hospitalistは胸痛などObservationと検査が必要な短期入院を司っており、RRTはもともと組織されているチームであるだけあって急変時の役割分担が迅速でとてもスムーズに行動しているのが印象的でした。
各科研修に加え、毎朝のMorning reportと昼のNoon Conferenceがあり、教育の面においても環境の整った良い病院という印象を抱きました。
この研修で得られた体験を帰国後の診療に活かし、自身のレベルアップにつなげたいと思います。

平成25年度 参加者の感想

平成25年度初期臨床研修医 2年次:藤田 容子 医師

研修医の海外研修02

2013年10月Olive view-UCLA Medical Centerのinternal medicineにて3週間、anesthesiologyにて1週間の研修をさせて頂きました。
Internal medicineでは、グループに属しresidentのフォローをさせてもらいながら、roundやconferenceに参加しました。初めはpresentationでの英語のスピードに圧倒されましたが、徐々に少しずつですが理解できるようになり、言語を修得するにはやはり実際にその国で暮らすことが最も効率的であることを痛感した一カ月でした。朝のmorning report、昼のlunch conferenceでは積極的な議論や次々と挙げられる鑑別診断に圧倒されました。国民性の違いもあると思いますが、これまでの教育方式によるところも大きいと思います。米国ではmedical studentの頃から屋根瓦方式でpresentationや診察の仕方、検査や処方のorderなどを教育されています。日本でも大学5年生から臨床実習が始まりますが、その質の違いに驚きました。

Anesthesiologyでは、麻酔導入を中心に見学させて頂き、時に挿管や薬剤の作成などもさせて頂きました。麻酔中は麻酔科医によるレクチャーを受けましたが、新たな知識を母国語以外で学ぶことは非常に大変でした。ここでも米国と日本で異なっている点がいくつかあったので挙げてみます。まず、手術後の患者は全例recovery roomに入室します。すぐに看護師の目が届くような環境下に置かれることで安全性の向上、病棟の前にワンクッションおくことで手術室から早く退室できるようになり、手術室使用効率があがります。また、欧州や米国のいくつかの州では麻酔看護師という職が設置されています。カリフォルニア州でも麻酔看護師は存在し、看護師とは全く別に育成され、挿管・CV挿入・A-line確保・Spinalなど基本的な手技を施行することが許されています。診断や複雑な麻酔はできません。医療費の削減には役立つかもしれませんが、高給取り(小児科医や家庭医よりも年収が高い)の割に、いざ訴訟の際には麻酔科医のみが訴えられるということで米国では一部波紋を呼んでいるようでした。

1ヶ月という短期間でしたが、米国で研修させて頂くという非常に貴重な機会を与えてくださった袴田先生、米国で英語がカタコトの日本人に対し非常に親切にしてくださった皆さんに感謝しています。米国の医師免許を持っている訳ではないので、医療行為はできません。しかし、初期研修という早い段階で、他国の医療の中に入り実際に見聞きできたことは非常に良い経験になったと思います。自国と他国の医療や教育を比較し違いを目の当たりにしたことで、これまで「当たり前」であったことを、より大きな視野、別の視点から見ることができるようになりました。言語も国民性も異なりますが、「医」はどの国でも必要とされ基本的な事は全世界共通です。各国の医療を目の当たりにすることで、自国の医療問題解決や医療の質の向上に反映させていけたら良いと思います。

平成25年度初期臨床研修医 2年次:坂本 奈美 医師

平成25年10月の1ヶ月間、Olive View UCLA Medical CenterのInternal medicineおよびHematology/Oncologyにて研修する機会をいただきました。

まず初めに、このUCLA研修プログラムがあったことが、マッチングで県立総合病院を選択した大きな理由の一つでした。学生の頃から英語は決して得意ではなく外国人すら苦手で、日常の診療でも英語の論文も読まなければならないのは百も承知なのにいつも腰が引けてしまっていたのが現実でした。そんな英語嫌いをいい加減早く何とかしたい、そのきっかけがつかめればと思ったのがUCLA研修にトライしてみようと思った当初のきっかけでした。

病院での研修ではもっと語学力があればともどかしい日々ではあったものの、なるべく自分から積極的に話しかけたり質問したりとコミュニケーションを取るよう心がけました。そうしているうちに初めはただ英語を聞くだけでいっぱいいっぱいだった研修も、次第に患者層の特徴や、入院患者の治療守備範囲、病院のシステム、residentの生活等、アメリカと日本の医療の相違点を学べる場面が増えていきました。このようなつたない語学力にも関わらず、異国の地で安心して研修ができるのも、守られた環境でなるべく希望に沿うよう双方の病院が研修をコーディネートしてくれるおかげであり、大変ありがたいことだとつくづく実感しています。

実際の現場で感じたのは、今までの先輩研修医の方々が書き記しているのと同様、アメリカのresidentやmedical studentたちは向上心が強く勉強熱心で、発言・議論をするのが本当に積極的でした。国民性の違いと言ってしまえばそれまでですが、見習わなくてはと思う場面は多々あり、自分自身を振り返る良い機会となりました。また、患者の病態を包括的にとらえ、primary care teamが診療科に関係なく患者を受け入れ治療にあたっているのも印象的でした。ある程度規模が大きな日本の病院では診療科が細分化されすぎているのも印象的でした。ある程度規模が大きな日本の病院では診療科が細分化されすぎていて1人の患者が多くの診療科にまたがって受診する姿をよく見かけます。現段階では制度の違い上、それはある程度はやむを得ないのかもしれませんが、Internal medicineでの研修を通じて臓器・疾患別ではなく、複数の臓器にまたがる合併症(時には体・心に無関係に)に自ら対応し、全身あらゆる内科疾患を鑑別・治療できる、generalistとしての“内科医”を見た気がしました。

この1ヶ月間、多くの方のご支援の下、日本での研修だけでは得られないような数々の貴重な経験をさせていただくことができました。非常に刺激的かつ有意義な1ヶ月でした。関って下さったすべての方に感謝申し上げます。

平成25年度初期臨床研修医 2年次:田中 大輔 医師

2013年9月の1ヶ月間、Olive View Medical Centerで研修させていただきました。前半2週間はinternal medicineに所属しました。この病院では、外来・救急問わず、内科疾患であれば退院までinternal medicineに入院となります。入院中、必要に応じて神経内科、感染症科、血液内科等の専門科にコンサルトに徹する点が特徴的です。Internal medicineではattending doctorの指導のもと、1年目から3年目のresident、medical studentからなるチームに別れ、10-15人程度の患者を担当します。毎日、診療方針について活発にディスカッションが行われます。言語の壁は想像以上に高く、チーム員とディスカッションする際には、語学力の乏しさにもどかしさを感じずにいられませんでした。毎朝9:00-10:00には朝の勉強会があり、提示された症例に対し、考えうる鑑別診断をディスカッションさせたり、クイズ形式で問題を解答させるなど趣向を凝らしたものもありました。12:00-13:00には昼食を食べながらlectureを受けます。Medical studentに対しても、lectureのみならず身体診察の方法など教育体制もきちんとしたものがありました。本病院は研修病院としては人気があり、総じてresident、medical studentの意識は高く、優秀であると感じました。後半2週間はRheumatologyに所属し、チームの一員として温かく迎えていただきました。午前中は外来でリウマチをはじめとする自己免疫疾患の患者さんの診察をします。午後はInternal medicineからコンサルトを受け、病棟に出向いて診察する毎日でした。鑑別診断についてのディスカッションも活発で、話している内容が理解できた時は楽しいものでした。

今回の滞在でアメリカは、本当に様々な人種により構成されていることが実感しました。ロサンゼルスのヒスパニック系の人口は増加傾向であり、特に本病院の場合、患者さんの大部分はヒスパニック系でした。スペイン語しか話せない患者さんも多数いるため、問診には一苦労しました。Residentやmedical studentの母国も様々であり、自国の医療事情などについて会話出来たのは刺激となりました。休日は、ロサンゼルス市内のみならず、ラスベガスなど少し足をのばして観光を楽しめたのも良い経験でした。1ヶ月間、本当に貴重な経験をさせていただきました。この場を借りて、準備段階からサポートくださった袴田先生、Olive Medical CenterのSomaせんせい、Mr.Normanをはじめ、すべての関係者に感謝を申し上げます。

平成24年度 参加者の感想

平成24年度初期臨床研修医 2年次:曲淵 敏博 医師

私は平成24年11月の1か月間をアメリカはUCLA附属病院であるOlive-View Medical CentorのInternal Medicineで研修しました。
静岡県立総合病院にアメリカの病院研修プログラムがあるということは初期研修1年目の京大付属病院にいた時から知っていたので、ラジオ英会話や英字幕の洋画などで英語の勉強を個人的にしながら、その時が来るのを楽しみにしていました。研修した病院の雰囲気は、ドラマ「ER」を思い出させるもので、初日は緊張もありつつも初めてのアメリカの病院の空気に感動していました。
しかし、実際に研修がスタートすると、想像以上の言語の壁の高さに閉口してしまいました。UpToDateや英論文では使われないような医療略語や、自分の知らない多くの英語の専門用語の数々、そして何より日本の英語教材のように皆がクリアに発音するとは限らないという状況にさらされ、最初の1週間は彼らの話していることを理解するのに精いっぱいでかなりハードなものでした。
そんな中、同じチームの医師や病院のスタッフの親切な心遣いやフレンドリーな人々の気質には随分助けられました。そして彼らと過ごすうちに、少しずつ話している内容も理解できるようになり、専門用語や略語も覚えてくると、最初に感じたストレスは次第になくなり、病院での研修生活を楽しめるようになってきました。
また、週末には周辺を色々と観光しました。ハリウッド、ビバリーヒルズ、サンフランシスコ、ラスベガス、グランドキャニオンなどの日本でも有名な観光地のほかに、車で行ける様々な場所を訪れ、休日を楽しく過ごし、かつ貴重な経験をすることができました。

ここには書ききれない数々のスタッフや患者さんとのエピソードは、いまでもはっきりと思い出すことができます。それは当然、アメリカの病院で研修をしなければ得られない思い出であり、それが日本にいながらアメリカの医療を勉強するだけでは経験することのできない事だと思います。正直つらいと感じたことは多々ありましたが、それ以上に楽しいと感じましたし、なにより全てが新鮮でした。この初期研修医の時期にこういう経験をすることができたのは今後の自分にとって非常にプラスになるものだと思います。非常に有意義な研修をすることができました。

平成24年度初期臨床研修医 2年次:徳山 周 医師

2012年10月29日から2012年11月30日までUCLA Olive View Medical Center(OVMC)のInternal Medicineにて研修させて頂きました。
みなさんがこの病院の仕組み、一日の流れなどについて十分説明してくれているので今回の海外研修で特に印象的であったことについて、3点挙げたいと思います。
一つ目は、アメリカの医療体制は日本に比してあまりにも貧富の差が如実に表れる、ある意味悲惨な制度であるということです。というのは、保険に入っていないがために糖尿病でありながら、miserableな状況になるまで病院にかかれない人、若くして難病にかかりながら治療が受けられない人がとても多くいるということです。
日本であればたいていの人が保険に入っているため、また最近の健康ブームもあり重態になる前に病院にかかれますが、アメリカではそう出来ない人が多く、病院に来た時には時すでに遅しといった患者さんを一カ月の間だけでも何人も見ました。
二つ目は、アメリカのDr、Studentの意識の高さです。私は主にStudentとInternのDrについて回りましたが、彼らは常に新しい情報をpic upし、チーム内でいつでもshort conferenceを行い、問題について積極的に取り組んでいました。帰宅後や休みの日はどうしているのかと聞くと“studying”の一言。アメリカは日本よりもDrになるためのハードルが高く、また維持する試験も定期的にあります。常に向上心を忘れず、一方患者さんにはとても優しく接する彼らの姿勢に非常に感銘を受けました。
三つ目は、英語はコミュニケーションの一つのスキルにすぎないということです。確かに、英語での会話が堪能であればそれに越したことはないと思います。しかし、話せてもshyなためにあまり会話しない人、また声が小さい人もいます。必要なのは話そう、関わろうとする姿勢と度胸であり、彼らはそういった姿勢を読み取り真摯に対応してくれます。またそうしているうちに自然に英語も身に付いてきます。

今後、静岡県立総合病院で研修を考えている方には、是非ともお勧めしたい研修です。
英語は大丈夫です、きっと。機会があればぜひ。

今回、一か月間の海外研修の機会を頂き、外国の方とのコミュニケーションを通して非常に有意義な期間を過ごせました。
本当にありがとうございました。

平成24年度初期臨床研修医 2年次:藤井 温子 医師

静岡県立総合病院サポートの下、1か月間Olive-view UCLA Medical Centerへ研修に行かせていただきました。海外研修の経験こそありましたが、初めてのアメリカで、初日はSupervisorやChief residentの先生方の英語がとても速くて全くついていけず、1ヵ月乗り切れるかかなり不安になったのを覚えています。
私は前半2週間はInternal medicineのチームに入って、主にResident の shadow をしていました。最初は症例に関して説明してもらい、回診についていくので精一杯でしたが、慣れてくると自分から質問したり、診察させてもらったりできました。チームの入院患者の疾患で多かったのが、糖尿病に合併した下肢の蜂窩織炎、骨髄炎でした。米国では経済的に恵まれない人ほど肥満傾向にあるそうで、糖尿病も重症化し、下肢切断を余儀なくされる例が少なくありません。食事が欧米化している日本でも、経済面、医療保険のちがいこそありますが、糖尿病が大きな問題になっていて、その管理の重要さ・難しさを再認識しました。Internal medicine では糖尿病・高血圧などの基礎疾患はもちろん、感染症・膠原病・急性冠症候群・脳梗塞・癌の終末期まで内科疾患のすべてを扱い、Generalistが国民の生活にどれだけ大切で、どれほど大変な分野なのかを目の当たりにできました。
後半2週間はHospitalistのチームに所属し、Residentをshadowしました。Hospitalistとは日本では耳慣れない分野ですが、病棟専属医と訳されGeneral internal medicineの中でも入院患者を主に担当する医師のことで、Internal medicine teamの入院患者とくらべると合併症も少なく急性期の治療のみで入院期間も比較的短い患者を担当していました。
毎日Resident 1人につき1・2名の入院が割り当てられ、午前中はERに入院している彼らを問診・診察し、必要な検査や薬をオーダーします。入院継続中の患者の回診も終えた後に、その日の新患を含む受け持ち患者についてAttending Dr,にpresentationして方針を決定する、という一日の流れです。後半は研修に慣れてきたこともあり、このチームではアナムネを聴取したり、診察させてもらうだけでなく、患者の病歴をpresentationする機会もいただきました。ぎこちなく稚拙にしかできず悔しい思いもしましたが、自分を高めたいと思えたいい機会でした。また、鑑別疾患・必要な検査とその解釈などをResidentと活発にdiscussionできました。
1ヶ月間、内科疾患の診断・治療に関して新たな知識を得たというよりも(それは当院で既に習得しておりますし)、アメリカの医療システム特にGeneralistという概念や医療保険制度を経験し理解が深まったこと、加えて英語の語学力も向上できました。他の難関をくぐって海外から来ている医師と比べて知識も語学力も不十分でありながら、当院支援の下、このような素晴らしい研修の機会を与えていただき本当に感謝しております。この経験を今後の医師人生の糧にしたいと思います。ありがとうございました。

平成24年度初期臨床研修医 2年次:薮崎 惠子 医師

2012年10月1ヶ月間UCLAの大学病院の1つであるOlive View Medical Center(OVMC)の内科(generalist)で研修させていただきました。
OVMCの研修責任者であるDr.Waliに初日に、①英語の勉強をしなさい。テレビや新聞や何でもいいから常に英語にふれていなさい。②アメリカの医学を勉強しなさい。日本と違うところ、いいところ、悪いところ、学んで日本に帰りなさい。③offはしっかり遊びなさい。と言われました。本当にその通りに過ごした1か月間でした。

アメリカでは、卒業後1~3年目の内科志望のDrは全員generalistとしての研修を受けます。
OVMCでは医師は各チームに所属し、チーム全体で患者(5~15人)をみるという体制でした。attending,resident,intern,(student)からなる、4~5人ごとのチームです。
attending以外は、医師1~3年目+学生であり、同年代の人が多くいましたが、好奇心旺盛な人たちばかりで、カンファレンス、勉強会、回診、すべてにおいて、活発な議論がかわされていました。患者を診察し、problem list ・鑑別診断を考え、治療方針を決めていく、という流れは日本とあまり変わらないと思いましたが、医学知識の広さには驚きを感じました。OVMCは、アメリカ内でも優秀な病院であり、倍率が10倍以上の研修の人気病院です。研修医向けの教育システムもしっかりしており、指導医や、研修医のレベルも高いため、この病院で研修させて頂いたことは、大変恵まれていると感じました。
また、同年代の人が多く、アメリカ人のフレンドリーな気質もあるため、英語があまりしゃべれない私に対しても色々な人が多く話しかけてくれました。当初は、受験の時に勉強した程度の英語ではコミュニケーションをとることすら難しく、電子辞書を多用していましたが、1ヵ月英語を読み聴きしていると自然に英語の力がつき、終わるころには英語でのコミュニケーションに苦手意識がなくなりました。
さらに、週に1回のバスケ、週末は観光、と、仕事以外でもとても楽しい経験も出来ました。

1ヵ月はとても短く、何かが具体的にできるようになった、ということはありませんが、アメリカの医療のいいところ、日本の医療のいいところを実感し、これからの自分の医師の生活において活かしていきたいと思うことを多く経験できました。普段の日常であまり英語にふれる機会はありませんが、今回勉強したことをきっかけに、英語の勉強もしていこうと思いました。
今までには体験したことのない、貴重な研修をさせて頂いたことに、大変感謝しています。

平成23年度 参加者の感想

平成23年度初期臨床研修医 2年次:平野 秀和 医師

研修医の海外研修03

UCLA olive-view medical center(以下OVMC)は西海岸を代表する都市、ロサンゼルス国際空港から少し離れた場所に位置し、周りには閑静な町並みが広がっています。私は2012年12月の1ヶ月、血液腫瘍内科と内科でそれぞれ2週間ずつチームに配属させていただき、アメリカでの研修医生活の一端に触れさせて頂きました。1ヶ月間、右も左もわからない日本人2人をずっと親切に案内してくださったのは、OVMCのofficeで働いているNorman。ロサンゼルス空港からNormanの車で乗り込み、Normanの話す英語がほとんどわからないという衝撃を受けることから、私たちのアメリカでの1ヶ月は始まりました。

血液腫瘍内科、内科ともに1チームはインターン(2年目)+レジデント(2年目〜3年目)が2人、フェローが1人、アテンディングが1人の計4人によってチームは構成されていました。各インターンは5〜10人の患者さんを受け持ち、治療方針を考えて、レジデントはインターンを指導し、アテンディングは下3人を指導する屋根瓦方式で教育体制が取られています。インターンは早朝のうちに一人での回診を終えて、10時くらいからチームでの回診で治療方針の相談を行い、チーム全体で治療方針が決定されます。

インターンの質問にアテンディングは実際的に答えるのみならず、時には「貧血の鑑別診断は?」、「左心系のIEの患者さんを見たときに、どんな合併症を考えるか」など教育的な質問をインターンに投げかけていました。

インターンも教育を受けるだけではなく、プランまで含めたしっかりとしたプレゼンテーションを行っていたのが印象的でした。学生からのトレーニングが背景にあることもありますが、病歴聴取、身体所見の取り方、検査所見の解釈、鑑別診断に至るまで幅広い医学的知識を背景に持っていることによって裏付けられている印象でした。そのことはUCLAの学生達からも感じられました。内科医を志す身として幅広い知識の必要性の再確認とともに、プロブレムリストや鑑別診断の作り方を学ぶ大変貴重な一ヶ月間になりました。また文化の異なる外国での研修は病院システムのみならず、医師という職種にも影響を与えていることを教えてくれたと思います。

振り返ってみると、書ききれない程の沢山の、新鮮な経験をさせていただきました。未熟な身ではございますが、このような貴重な機会を頂いたこと、準備に際して多大な便宜を図って下さった方々に心よりお礼を申し上げます。

平成23年度初期臨床研修医 2年次:松田 昌範 医師

2012年12月の1ヶ月間UCLAの大学病院の1つであるOlive View Medical Centerの内科で研修させていただきました。ここで、日本とアメリカの医療の違いを実感しました。
日本では、例えば心不全であれば循環器内科が、COPDであれば呼吸器内科が診ていくという形が多いと思います。
この病院の内科ではそういった日本では各科にわたる疾患を内科の医師が、幅広く扱っており、どうしても専門科での専門的な処置が必要な場合のみコンサルテーションを行っていくというスタイルでした。
また、学生の臨床実習も日本とだいぶ違っていました。アメリカの学生は、研修医と同じように自分で患者を持ち、診察し、治療方針を立て、それを上級医に相談するなど、積極的に医療に参加していました。自分が医療に参加しているという自覚を持っているため、とても豊富な知識を持っていました。
また、カンファレンスも多く行われておりました。モーニングカンファレンスでは、内科の上級医と研修医が多く参加し、症例を検討していく形式でした。演者がまず主訴を提示すると、すぐに次々と質問が飛び交い始め、とても議論が白熱していました。上級医から研修医・学生までみなまったく臆せず質問し、意見が違えば納得いくまで話し合い続けていました。
また、日本とアメリカの文化の違いも感じました。
一番印象的だったのはあいさつです。アメリカの人々はお互い顔を知らなくても笑顔であいさつし、時には会話をしていました。日本ではあまり見られない光景ですが、笑顔を作ること自体や、笑顔であいさつされることでお互い気分がよく過ごせるので、小さいことですがとても素晴らしいことだと感じました。
アメリカで1ヵ月を過ごし、今後の人生の糧となるような数多くの貴重な体験をさせていただきました。本当にありがとうございました。

平成23年度初期臨床研修医 2年次:小関 祐介 医師

研修医の海外研修04

私は2011年9月にUCLAのOlive view medical centerに行ってきました。総合内科に属し、レジデント、インターン、学生と共に、日々の診療に参加させていただきました。

この病院の一日の流れは、朝、モーニングカンファランスが行われ、学生やインターンが、レジデントにプレゼンテーションを行います。その合間で9時ころからレジデントの症例報告もあります。経験した症例を学生から指導医クラスの医師まで皆でオープンにディスカッションしながら進めます。昼はカフェテリアでランチを購入し、指導医の先生のレクチャーがあります、これは毎日行われています。その後は、再びチームごとにカンファランス、回診を行います。その後、16時ころから夜のチームに引き継ぎ、17時には仕事終了、といった感じです。当直以外は17時に仕事終了、うらやましいです。

印象としては、カンファランスばかりしているなあ、という印象です。ただ、インターンはもちろん、学生の意欲が日本とは違うな、と痛感しました。教える上級医もレジデントも力の入れ具合が日本とは違い熱心です。こういった医療に対する熱心なところは見習いたいです。

UCLAでの研修は私にとってかなり刺激的でした。今後の人生の中できっと役に立つであろうと思います。1か月間、アメリカで医療現場を体験できたということは、県立総合病院に入って良かったと思えるうちの一つであります。ありがとうございました。

平成23年度初期臨床研修医 2年次:望月 栄佑 医師

研修医の海外研修05-01

アメリカ研修を終えて
2011年6月1日から6月30日の間Olive View Medical Centerの総合内科で研修させていただきました。アメリカの医療を”見てくる”のではなく、”加わる”を1ヵ月の目標としてロサンゼルスに旅立ちました。

総合内科は4~5人一組の小さなチームごとに行動しており、回診やカンファレンスもこのチームごとに行います。日本から来た私もチームDの一員として温かくチームに迎え入れてくれました。

”加わる”ことを目標にしていた私でしたが、カンファレンスでは「あれっ水ぼうそうって英語でなんて言ったかな」などと自分のpoorな英語力のためになかなか思ったことを伝えられず、もどかしい、悔しい思いをしました。しかし、この経験は私が将来英語を勉強していくうえで大変貴重な体験になったと思います。

出発前はアメリカのドクターは漠然とすごいという印象を持っていましたが、実際に行ってみると、同年代の医師のつまずくところはだいたい日本と同じで少し安心したところがありました。ただ、アメリカの研修ですごくよいと思った点が2つありますのでそれを紹介したいと思います。

ひとつは圧倒的に好奇心旺盛です。ある日、病理の先生が婦人科と血液の疾患についてのレクチャーをしてくださったことがありました。内容は結構マニアック。しかし、将来何科を目指しているかに関わらず、アメリカの研修医は熱心に講義を聴き、メモをとっています。私は目の輝きを見てこれは負けていられないと感じました。

研修医の海外研修05-02

もう一つは講義のときの質問がすごくopenです。日本では質問は手をあげてあてられた人がするというのが基本のようなところがありますが、研修医のレクチャーでは思いついた質問をおのおのが言います。もちろん、公式な発表の場ではこのようなことはありませんが、研修医同士がわいわいとやるレクチャーではこのほうが議論が活発でいいなと思いました。中にはかなり的外れな質問もありましたが、間違ってしまって覚えることもたくさんあります。自分もそうですが、つい質問をためらってしまうことが日本ではあるような気がします。

当院では金曜日の朝研修医の勉強会が行われていますが、そこでもわいわい活気がある機論ができればよりよいものになりそうです。

研修医時代にアメリカの病院に行けることはあまりない経験だと思います。帰国後、アメリカの良い点、日本の良い点が見えて日常診療のモチベーションが上がったことは間違いありません。かなりアツい1ヵ月だったと思います。このような機会を与えていただいた病院に感謝しております。また、1ヵ月苦楽をともにした県総の同期山本にも感謝です。この経験を将来の糧にして日々努力していきたいと思います。

平成22年度 参加者の感想

平成22年度初期臨床研修医 2年次:秋山 樹里 医師

研修医の海外研修06

わたしは1カ月間UCLA olive view hospitalの総合内科で研修をさせていただきました。
研修内容は他の研修医の先生と同様です。ここでは私の感じたことについていくつか述べさせていただきます。

まず総合内科は内科系診療科の基盤になっている科で内科疾患全般を診療し、検査に応じて各内科にコンサルトを行ったり、癌の診断がつき次第腫瘍内科に転科をお願いしたりします。これには日本とアメリカにおける医療の発展経路の違いを強く感じましたが、日本において医師不足や医療崩壊がさけばれる中、こうした体制の需要が日本でも高まってきているのは事実だと改めて思いました。

チームについてですが、研修医は非常に勉強熱心で、チームカンファレンスでは積極的に話し合い論文や資料の共有を行っていました。上級医も資料や知識の共有に努め、また指導の良し悪しについて研修医からのフィードバックを求めていたことが印象的でした。また、わたしの配属されたチームのほとんどは女性医師でした。この写真をご覧ください!研修医の半分は女性でしたし、既に家庭を築いている研修医も多くいました。もちろんアメリカにおいても仕事と出産・子育てを両立することは大変とのことですが、病院としても環境作りに力を入れ協力的だと聞きました。いずれの医師も自主性に富み努力家で、教育システムも確立したものがありました。

この研修に参加することでたくさんの刺激を受け、いずれも自分にとって大きな糧となったと思います。

県立総合病院は院内の研修はもちろんのことですが、他病院での研修にもとても協力的だと思います。この場を借りて研修にあたりサポートしていただきました総合診療科の袴田先生をはじめとするたくさんの方々にお礼を述べたいと思います。ありがとうございました。

平成22年度初期臨床研修医 2年次:有馬 大輔 医師

2010年5月1日から30日まで、University of California Los Angeles,Olive-View Medical Center,ICUで研修させていただきました。
集中治療(ICU)管理に興味があり、Intensivistの働きを実際に見てみたいと強く望んでいたので、このような機会に恵まれたことを感謝しています。
ICU(内科系)の朝は8時からレジデントの勉強会から始まり、午前中はカンファレンスと回診、午後は処置、カルテ記載、ICU入室患者の診察が主な流れです。
ICUには各内科、救急科から患者入室依頼があって、ICU入室期間だけはICU科が主体で診療を行っています。ICUから退室するとStep Downと呼ばれるICUよりスタッフが少ないものの一般病棟より手厚い看護が受けられる病棟に移床します。
ICUは全18床あり、平均入室期間5日、看護師:患者比は1:2入室理由は、敗血症、急性腎障害、急性膵炎、COPD急性増悪といったものが多く、人工呼吸器、CHDF、循環モニター管理が必要な患者から救急からの経過観察目的の患者までいろいろです。
カンファレンスと回診にウェイトを置いており、各患者の病態、検査結果、人工呼吸器の設定をその都度確認しながら最良な治療方針を決めています。
こんなにもしっかりとアセスメントし、プランニングするカンファレンス、回診は初めてでした。
またARDSの呼吸管理や人工呼吸器のWeaning法も上級医から教えて頂くだけでなく、実際に見聞できたのが何よりも勉強になりました。
研修制度に関しては多くの方が述べているように非常に充実したもので、レクチャー、カンファレンスの頻度(出席率も驚くほど高い!!)やディベートの白熱ぶりは見ていて圧巻です。
アメリカの医療に触れるのはもちろん、アメリカの文化に飛び込んだこともこれが初めてでしたので、見るもの聞くものが全てが新鮮で大変有意義な1ヶ月でした。ありがとうございました。

平成22年度初期臨床研修医 2年次:松井 雄哉 医師

研修医の海外研修07

2010年11月2日~11月30日までOlive-View-UCLA-Medical-CenterのGIM(総合内科)にて研修をさせていただきました。

まず、米国の総合内科は、内科全般にわたって患者さんの診療に携わるため、科としての規模も院内で最も大きいものとなっています。いわゆる循環器科、消化器科などからは独立しており、必要に応じて総合内科からコンサルトを行います。

この病院の総合内科では、residentが患者さんの主治医となり診療を行っています。毎日1~2時間ほどのカンファレンスが行われますが、そこでresidentはattending doctorにプレゼンテーションを行い、適宜治療内容を修正するといった形式がとられています。

私が実感したのは、病院全体でdoctorたちは非常に活気があるということです。residentは誰もが皆溌剌としており、上級医たちは非常に教育熱心です。

doctorたちのカンファレンスで話すスピードは速く、英語に慣れていない私にとって彼らについていくのは困難でしたが、彼らはこちらから聞けば何を話していたか親切に教えてくれます。

今回の研修で、私は米国の診療体制や実際の医療現場など様々なことを勉強することができました。同様に、英会話のトレーニングにもなったと思います。聞くのも話すのもあれほど必死になったことはなかったと思います。非常に有意義な機会を得られたことに感謝します。

平成22年初期臨床研修医 2年次:野村 明芳 医師

2010年6月2日~28日まで、アメリカのカリフォルニア州のUCLA olive view medical center で研修させていただきました。前半の2週間はICU、後半2週間は消化器内科で研修することとなりました。

ICUではレジデントが3チームに分かれて、担当患者の治療にあたっています。そのため、3日に一回当直をするといった病院の中でも一番過酷とされている科でもあります。基本的には日本のICUの患者層と変わりはありませんが、感染症、とくに敗血症などでは状態の善し悪しにかかわらずICU入室をし、入室の敷居が低いように感じました。敗血症の治療に関してはガイドラインに沿って全例に動脈ライン、中心静脈ラインを確保し、抗生剤の大量投与を初期から行います。つまり一人一人のオリジナルの考え方で治療というわけではなく、だれが担当しても均一な医療を提供できるようになっています。

消化器内科では、炎症性腸疾患の患者さんが多くみられました。クローン病や潰瘍性大腸炎は若年性の疾患であるため、入院患者のほとんどは若い印象があります。また特に消化器疾患でかかる人は、金銭的に貧しい人が多いとのことで癌などではかなり進行した状態で、肝硬変では非代償性の状態で初診ということも珍しくはありませんでした。

今回の研修では、やはり金銭面での患者層の変化が特に感じられました。入院期間の短縮や初診の時期の遅さなどがあります。そのようなことは確かに情報として認知はしていましたが、現地で働くことでより深く理解し、価値観にも影響を与えるものと思います。

また、均一な医療を提供するために教育にかなりの力を入れています。レジデント同士の教育カンファレンスや指導医のミニレクチャーなど一日の中で何度もみられました。病院全体のシステムとしてなければ、これだけの教育は難しいと思います。

ぜひとも研修を通してたくさんの人に違う文化からの医療を体感してほしいと思います。

平成22年度初期臨床研修医 2年次:高木 航 医師

研修医の海外研修08

2010年6月の1カ月間、静岡県立総合病院のプログラム外研修としてUCLA Olive-View Medical CenterのGastrointesitinology Service(GI)で実習して参りました。とても温かく親しみやすいスタッフに歓迎され、教育体制や医療に対する考え方などに毎日驚かされ感心させられた、非常に濃密で刺激的な1ヶ月間でした。

同院の研修責任者であるDr.Waliに初日に言われたことは、(1)常に笑顔でいなさい。日本人はみんなすぐに照れて下を向いちゃうけどそれじゃだめよ!(2)ここでは大変な思いをするだろうけど、それは単に言葉の違いだけなんだから、がんばって乗り越えなさい。1カ月間は日本語使っちゃだめ!うちには学ぶべきことがたくさんあるわよ!!・・・ということでした。たぶん。日本を離れてわざわざ勉強しに来たからには、得られるものを最大限に吸収して帰ろうと心に決めたものの、普段使いなれているはずの用語ですらなかなか聞きとることができずに最初はずいぶんと苦労しました。誰かの言ったジョークに皆が笑う中ぽつんと取り残されさびしい思いもしました。しかしめげずに笑顔で喰らいつくこと1ヶ月間、涙なみだの最終日まであっという間に過ぎてしまいましたが本当にすばらしい経験ができました。日本へ持ち帰ったのはディズニーランドのお土産だけではありません!

当地での具体的な事柄については優秀な先輩方や同期がわかりやすく報告してくれていますので参考にしてください。これから当院で研修を行う先生方には是非とも貴重な機会を逃さずに自身の目で見て肌で感じてきてほしいと思います。いつもの風景が少し違って見えますよ!

平成22年度初期臨床研修医 2年次:森田 敏広 医師

研修医の海外研修09-01

2010年7月に1ヶ月間、UCLA olieve view medical centerのinternal medicineおよびgastrointestinal departmentで研修を受ける機会を頂いたので報告させていただきます。

私が、1カ月の研修期間の中でまず感じたのはアメリカの研修制度の充実ぶりと、ドクターたちの教育に対する熱意です。

Internal medicineではすべての患者の診察を1,2年目のresidentたちが最初に行います。residentは各患者の診断および治療方針を自分なりに考え、それを同じチームのsenior residentと上級医に対し治療方針に対するプレゼンを行っていきます。アメリカの入院期間は日本に比べて短く、患者さんの回転はとても速いものでした。こうして毎日診断とプレゼント行うことで、適切な診断能力とプレゼン能力を身につけることができます。

プレゼンを行った後、治療方針をチーム全体で議論して決めていきます。チーム内の議論はとても活発で、全員で治療を決めようという意識を強く感じました。

上級医による教育も非常に熱心であり、時にレクチャーや身体診察などを交えながらチームの疑問に対して的確なアドバイスを行っていました。このようなフィートバックを毎日受けることで、診断方法や考え方が自然と身についていくと感じました。また、チーム全体で決めた方針なので、自信を持って治療を行うことができます。

研修医の海外研修09-02

Residentに対するレクチャーも充実しており、病棟の症例報告や各科ドクターによるレクチャーなどが行われていました。どれも一方的に知識を押しつけるといったものでなく常にresidentと議論を大切にしておりresidentも考えながら真剣に参加をしている印象でした。またinternal medicineで診る症例は日本での内科領域全般にわたっており、多くの症例を経験することでより幅広い知識と見識を持ったドクターが生まれると感じました。

Gastrointestinal departmentではおもにinternal medicineからコンサルトを受けた患者の診察、内視鏡などの手技について学びました。また一般の病院でありながら治験や研究が活発に行われていたのが印象的でした。

もう一つ紹介したいのがchief residentの存在です。chief residentは3年間のresidency終了後さらに1年間residentの代表として研修を行うドクターのことで、学年から2名投票とスタッフからの推薦によって選ばれます。彼らは1年間、医療行為を行わずresidentの代表として彼らのスケジュールの管理やレクチャーなどを行います。アメリカではこのように、医師には患者を診察する能力だけでなく組織を運営・管理する“administrative skill”も求められているということを感じました。

1か月という短い間でしたが、アメリカとの医療・教育システムの違いや考え方について見識が深まり非常に有意義な研修を行うことができました。後輩達にも、この機会を利用し、日本と違う研修システムを肌で感じていただければと思います。

平成20年度 参加者の感想

平成20年度初期臨床研修医 2年次:藪崎 肇 医師

研修医の海外研修10-01

UCLA olive view medical centerでの実習
2008年10月2日~10月31日まで、アメリカのカリフォルニア州にあるUCLA olive view medical centerで実習をさせていただく機会を得ました。

この病院の特徴として、Community hospitalであり保険をもたない患者も受け入れて治療しているために症例の種類が幅広く数も豊富であること、またレジデントやフェロー(日本でいう初期研修医と後期研修医に相当します)が主に診療を行っていることなどがあると思います。スタッフドクター(日本でいう指導医)は教育を仕事と考えているためか教育熱心な先生が多く、とても活気のある病院です。

実習するにあたり、日本では専門家の数が少ない分野を学びたいと考え、感染症科と集中治療科(内科系)で研修をさせていただくことにしました。

ここからは、少しだけむこうでの日常を紹介します。

どちらの科でも、まずはレジデントによる診察、カルテ記載から一日が始まります。次にカンファレンスでレジデントが診察所見、検査値などをプレゼンし、それをもとにスタッフドクターが方針を決定します。この際に疾患、病態生理などに対するミニレクチャーが入ることもあります。カンファレンス終了後、全員で回診をして、診察所見、治療などを再度確認して終了です。

研修医の海外研修10-02

これ以外に、noon conference(昼食時に行わる、レジデント向けの小講義)や、週1~2回のケースカンファレンスなど、臨床現場での実際の診療経験と、教育がバランスよく行われていると感じました。

行ってみて、医療の知識、経験だけでなく、医療制度や海外の文化を学ぶという意味でも、本当にたくさん考え、勉強する機会となりました。日本での研修では弱くなりがちな分野を相補的に学ぶという意味でもとてもいい機会です。スペースの関係ですべてをここに書くことはできませんが、やはり実際に自分で行って感じてみることに勝るものはないと思います。ぜひ、この機会を利用して、将来につながるすばらしい経験をしてみてください。

平成20年度初期臨床研修医 2年次:西川 豪 医師

研修医の海外研修11-01

研修病院/研修科:UCLA Olive-View Medical Center、Hematology/Oncology
2008年10月に一ヶ月間、アメリカのUCLA Olive-View Medical CenterのHematology/Oncology(血液腫瘍内科)にて研修をしてきましたので、その報告をさせていただきます。

まず、なぜ血液腫瘍内科を選択したかという理由ですが、それはこの分野が現在日本にはまだ確立されていないためです。日本では癌は臓器別に診療がなされているのが現在でも主流です。

一ヶ月間研修してみて最も実感したのは、教育環境の充実です。よりよい教育が、結果的にはよりよい患者のケアにつながる、とアメリカでは考えられているようです。内科系では6年間、一人前になるまでは上級医による徹底的な教育を受けます。そしてそれは上からの一方的なものではなく、自立した研修を求められるのに加え、さらに日本の上級医から受ける以上の教育やフィードバックを受けることができる、という印象でした。

実際、私は研修期間中、主に病棟患者を受け持っていたが、日々の様子は以下の様でした。午前中のうちに患者に会いにいき、問診・身体所見をとり、自分なりの方針を決め、まとめて上級医にプレゼンします。鑑別疾患を念頭に置いた整理されたプレゼンをする必要があり、少しでも順序が違ったり、こちらの意図していることが伝わりづらい内容になった時は上級医によってすぐさま中断され、その場ですぐさまアドバイスを受けます。外来でも教育方針は同様でした。

研修医の海外研修11-02

その他、モーニングレポートといった症例提示やレクチャーも日々行われていますが、どれもが研修医にとってどういった教育が必要か?、といった視点に立って作られているものであると強く感じられました。アメリカの研修病院では研修医の研修内容を充実させることだけを考えるチーフレジデント(その研修プログラムを卒業した4年目医師)という役職があることからも、教育への力の入れ様は明らかだろうと思います。

このような研修を行うことで6年後には一人前の医師ができあがりますが、日本と比べれば医師全体のレベルの底上げされた、より治療方針が統一されたものとなるのは当然であろうと思います。

今回の研修を通して、現地の文化を肌で感じながら、より効率を求めた、より洗練された教育環境、医療環境を実感することができ、とても貴重な経験をさせていただきました。皆さんもこの機会をぜひ利用し、世界基準の視点で医療に携っていってはどうでしょうか。