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病理学部

最終更新日:2024年2月20日

スタッフと専門領域

職名氏名出身大学
(卒業年次)
専門領域
学会専門医資格等
病理学部長
病理診断科主任医長
鈴木 誠浜松医科大学
(平成2年)
浜松医科大学大学院
(平成6年)
外科病理
腫瘍病理
検体検査管理
日本病理学会評議員
日本病理学会専門医・指導医
日本臨床細胞学会専門医
日本臨床検査医学会臨床検査管理医
臨床研修指導医
日本病理学会分子病理専門医
分子病理科主任医長新井 一守浜松医科大学
(昭和63年)
外科病理
腫瘍病理
日本病理学会評議員
日本病理学会専門医・指導医
日本臨床細胞学会専門医
臨床研修指導医
病理診断科医長草深 公秀 東京医科歯科大学
(昭和63年)
東京医科歯科大学大学院
(平成4年)
頭頚部・上部消化管
日本病理学会評議員
日本臨床口腔病理学会専門医・理事
日本唾液腺学会評議員・理事
日本臨床分子形態学会評議員
病理診断科医長安田 和世防衛医科大学
(平成14年)
札幌医科大学大学院
(平成25年)
外科病理
腫瘍病理
日本病理学会評議員
日本病理学会専門医・指導医
日本臨床細胞学会専門医
臨床研修指導医
特別嘱託医目黒 史織 浜松医科大学
(平成18年)
-
日本病理学会専門医
細胞診専門医
日本病理学会分子病理専門医
特別嘱託医津久井 宏恵 浜松医科大学
(平成22年)
-
日本病理学会専門医
細胞診専門医
日本病理学会分子病理専門医

認定学会名(施設認定)

  • 日本病理学会研修認定施設
  • 日本臨床細胞学会認定施設

高度医療・先進医療への取組と将来構想(方向)

1.病理診断、とくに組織診断について

病理組織診断は、様々な疾患で起る組織や細胞の病変を顕微鏡で直接観察し、病気の確定診断を行う業務です。当科では、検体をパラフィンに包埋し、千分の数mmに薄切後、組織や細胞の成分を選択的に染色して、顕微鏡で観察しています。病理組織診断には以下のような特色があります。

  1. 病変部の組織や細胞を対象としているので技術的には、疾病の本態に係る蛋白質や遺伝子の大部分が分析できると考えられています。
  2. パラフィン包埋検体は、数十年間使用可能であり、一つの検体から数十~数百枚の顕微鏡標本が作れます。すなわち必要な時に新たな検査が追加できます。

2.高度医療・先進医療への取組と将来構想

1.病理診断結果検索システムの構築
開院以来の病理診断記録を、瞬時に検索できるパソコン・システムを構築し、パラフィン包埋検体の追加検査や悪性腫瘍の再発と新規発生との区別などに活用しています。

2.医療の進歩に対応できる病理組織検体処理の実施
・平成8年から乳癌の固定条件を改め、Hercep testで優れた成果をあげております。
・がんゲノム医療連携病院の指定に伴い、平成31年11月からゲノム医療にも対応した固定法に完全に切り替え、従来よりも厳しく固定時間をチェックしております。
・遺伝子検査が必要となりそうな症例では、腫瘍の含有率や腫瘍細胞の数を病理報告書に記載し、検体の適・不適の情報を臨床医に伝えております。

3.治療に直結した分子病理診断
近年、遺伝子やタンパク質の情報を元に、個々のがんのもつ腫瘍形質に対応した治療(オーダーメード医療)が提唱され、特定のタンパク異常や遺伝子異常に対応した分子標的薬が続々と研究開発されております。
当科も、多種多様ながんの細胞の形質をタンパク染色(免疫染色)によって分析し、治療方法の決定に貢献しております(乳癌のハーセプテスト・ホルモンレセプター ほか多数)。とりわけオーダーメード医療が強く提唱されるようになった平成 20年以降は、診療各科の要請・協力のもと、治療に直結した遺伝子変異の報告(解析は外注)やコンパニオン診断を積極的に導入しております(詳細は下記)。
代表的なものとして、平成 29年 3月には、静岡県下でいち早く肺癌のPD-L1コンパニオン診断を導入し、平成 31年 3月からは、種々の固形癌に対するマイクロサテライト不安定性検査を開始しました。さらに令和元年 10月からは、肺癌の主たる遺伝子異常を検出するためのオンコマインDx Target Testマルチ CDxシステム(外注)を導入しました。また、課題であった乳癌や胃癌におけるHER2遺伝子検査の蛍光 in situ hybridization(FISH)も、画像解析システムを応用することで院内での実施を開始し、当部署で精度管理ができるようになりました。
今後は他の遺伝子検査の院内実施やがんゲノム医療プロジェクトへの対応に向け、関係部門と協力し積極的に取り組んでいきたいと考えています。
免疫染色については、コンパニオン診断はもとより通常の病理診断に必要な抗体も随時、新規で揃え、現在は200種類を超える抗体を保有しております。
細胞診に関しても、平成22年より、子宮頚部検体の判定にベセスダシステムを導入しました。このシステムは、世界基準の判定法で、子宮頚癌の発生に深く関わるヒトパピローマウイルス(HPV)の核酸同定検査(本院は検査施設認定)とも直結しております。また、令和元年から若手の細胞検査士を増員しました。彼らも上述の分子病理診断の一翼を担っております。さらに、令和 5年から新たに 3名の若手病理技師が加わりました。今後は、かれらの技術や学術面の向上にも力を注ぎ、次代を担う人材の育成にも努めます。

<治療に直結した遺伝子変異の報告や免疫染色の導入>
・平成20年~; 肺癌の EGFR遺伝子変異
・平成 21年~; 大腸癌の EGFR染色と K-Ras遺伝子変異
・平成23年~; 進行胃癌のHercep test(免疫染色)
・平成 24年~; 肺癌の ALK免疫染色
・平成 28年~; 肺癌の EGFR耐性変異 T790Mのコンパニオン診断
・平成 29年~; 肺癌のPD-L1コンパニオン診断(免疫染色)
・平成 30年~; 肺癌 ROS1融合遺伝子
・平成 31年~; 肺癌の BRAF V600遺伝子変異のコンパニオン診断
・平成 31年~; 種々の固形癌に対する、マイクロサテライト不安定性検査
・令和 元年~; 肺癌の ALK融合タンパクのコンパニオン診断(免疫染色)
・令和 元年~; 肺癌の オンコマインDx Target Testマルチ CDxシステム
・令和 元年~; 乳癌のPD-L1コンパニオン診断(免疫染色)
・令和 2年~; 乳癌 HER2遺伝子 FISHの院内実施
・令和 2年~; 当院のがん関連遺伝子変異の網羅的解析(Foundation One)への協力
・令和 3年~; 胃癌 HER2遺伝子 FISHの院内実施
・令和 3年~; 悪性リンパ腫における BCL2, BCL6, MYC遺伝子 FISHの院内実施
・令和 3年~; 肺癌 Amoy マルチ遺伝子 PCRパネル
・令和 3年~; 脳の悪性グリオーマの del (1)/ del (19)欠失の検査

4.がんゲノム医療連携病院
平成 30年 4月に、本院は、がんゲノム医療連携病院(京都大学 拠点・令和2年4月からは静岡がんセンター拠点)に指定されました。がんゲノム医療は、次世代シークエンサーを用いてがん組織中のがん関連遺伝子の変異を網羅的に解析しオーダーメード医療を推進する、国家的プロジェクトです。病理組織(パラフィン包埋標本、凍結組織)を用いることから、当科の果たす役割は極めて大きく、今後は、検体の処理から保管まで、ゲノム医療を踏まえた精度管理が重要目標となります。

5.治験・多施設共同研究
当科は、乳癌、胃癌 等、種々の癌に対する国際的治験に参加しております(年平均 4件)。
加えて、JCOG研究を含む国内の多施設共同研究にも積極的に協力しております(年平均 7件)。

地域医療への貢献実績・地域医師への希望

他院からの病理検体の診断:市内開業医を含め他施設からの組織検体の診断と病理標本のコンサルテーションを行っています。必要な場合には、他院から組織ブロックをお借りし、上述のコンパニオン診断や遺伝子検査を行っております。