2022年、世界で推定1060万人が結核に罹患しました。結核はすべての国と年齢層に存在します。世界的に見て、結核はCOVID-19に次ぐ第二位の感染症の死因(HIVやエイズよりも上)となっており、2022年には結核で130万人が死亡しました。
2021年に人口10万人あたりの結核罹患率(以下、罹患率)は9.2となり、結核低蔓延の水準である罹患率10以下を達成し結核低まん延国となりました。2022年に日本で結核と診断され登録された患者数は10,235人であり、罹患率は8.2となっています。2022年の罹患率も結核低蔓延の水準を維持し、さらに減少しています。
結核にかかっていても気づかず、やがて重症になり咳等によって排菌すると空気中にフワフワしていて、まず家族が感染し、やがて学校や職場に結核菌が広がり集団感染に進むこともあります。また、空気循環の悪い場所等による集団発生も報告されています。
結核菌は抗酸菌という細菌のグループに属します。細長い桿菌で細胞壁は脂質を多く含んでいるため消毒薬や乾燥に強い細菌です。他の細菌に比べて発育が遅く、培養に時間がかかります。
また、現在日本では結核菌以外の抗酸菌が肺に感染して起こる肺非結核性抗酸菌症が急増しており、世界で最も罹患率が高い国といわれています。
また、現在日本では結核菌以外の抗酸菌が肺に感染して起こる肺非結核性抗酸菌症が急増しており、世界で最も罹患率が高い国といわれています。
結核菌(マイコバクテリウム・ツベルクローシス)に代表され、ヒトに様々な病気を起こす菌群を抗酸菌といいます。抗酸菌の検査には、塗抹、培養、遺伝子検査があり最終結果がでるのに1~2ヶ月かかります。
- 塗抹検査:ガラスに喀痰を塗りつけ、染色して顕微鏡で観察します。もし菌がいれば、蛍光染色では光って、チール・ネルゼン染色では赤く染まってみえます。しかし、これだけでは結核菌かどうかはわかりません。
- 培養検査:培地に喀痰等検体液を広げて、37゜Cで培養し菌の発育を観察していくため、結果が判明するのに4週以上を要します。
近年、遺伝子を用いた抗酸菌同定検査の迅速法が開発され、より感度の高い検出、同定が可能となり、早期診断・治療に有用な検査となっています。
結核感染の診断には従来、ツベルクリン反応検査が行われてきましたが、特異度が低くBCG接種や非結核性(非定型)抗酸菌感染でも陽性を示すため、これらの影響を受けない新たな検査法が開発されました。結核菌に特異的な蛋白を抗原とし、全血中に添加することで放出されるインターフェロンγを定量する方法で結核菌感染の診断を行います。