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検査技術室
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食中毒の原因となる細菌とウイルス

最終更新日:2024年2月27日

食中毒の分類

一口に食中毒と言っても、様々な原因があり、だいたい次のように分類できます。

  1. 細菌による感染症
  2. ウイルスによる感染症
  3. 寄生虫による感染症
  4. 有毒な植物や魚介類、キノコ類の摂取
  5. 殺虫剤など毒性のある化学物質(薬品)や鉛など重金属の摂取

食中毒の原因菌検出は簡単ではありません

微生物検査室では、細菌とウイルスについて検査を担当していますが、食中毒の原因菌は何種類もある上に、細菌の培養には最短でも1~2日かかり、結果がすぐには判明しません。また、受診前に抗菌薬(抗生物質)を服用していると、原因菌が検出不可能になってしまいます。このような場合、原因をある程度推定した上で、症状に応じた治療が開始されることになります。

下記に、代表的な食中毒菌とウイルスについて重要ポイントを簡単にまとめました。

医療機関を受診の際に、このような症状便の状態、原因と思われる食品、海外渡航歴などの情報をなるべく正確に医師に伝えることができれば、原因が推定し易くなり、適切な治療につながると考えられます。ただし、内容はあくまでも典型的な症例の場合なので、全ての人が当てはまるわけではなく、また、食中毒のような症状であっても食中毒以外の疾患である可能性もあります。体調に異常がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

細菌やウイルスが原因だった場合は、ヒトからヒトへ感染することもありますから、自分だけでなく家族や周囲の人にも注意を促してください。

食中毒の原因となる主な細菌

黄色ブドウ球菌
感染してから症状が
あらわれるまでの期間
3~5時間
症状急激なはき気・おう吐・腹痛・下痢
代表的な原因食品おにぎり、弁当(少し時間をおいてから食べる食品)
他の感染要因広く人体や環境中に存在する
便の状態水様便
注意点菌が耐熱性の毒素を出すので、加熱して菌を殺しても食品中に毒素が残ってしまう
サルモネラ
感染してから症状が
あらわれるまでの期間
8~48時間
症状はき気・おう吐・腹痛・下痢・発熱
代表的な原因食品食肉、鶏卵、乳製品
他の感染要因ペット(主にミドリガメ)や野生動物
便の状態水様便粘血便、血便、緑色便、泥状便
注意点乳幼児では少ない菌量でも感染する
カンピロバクター
感染してから症状が
あらわれるまでの期間
1~10日(平均3~5日)
症状はき気・おう吐・腹痛・下痢・発熱・頭痛
代表的な原因食品食肉(特に鶏肉)
他の感染要因ペット(犬・猫・小鳥)や水(井戸水・湧水)
便の状態粘血便・血便、水様便、泥状便
注意点ギランバレー症候群(神経障害)を発症する場合がある
O157などの腸管出血性大腸菌
感染してから症状が
あらわれるまでの期間
2~8日
症状激しい腹痛・血便
代表的な原因食品食肉(焼肉・生肉)、生野菜、水
他の感染要因感染経路不明な場合があるヒトからヒトへの感染あり(特に幼児)
便の状態鮮血便
注意点重症化すると溶血性尿毒症症候群を起こして死亡する危険もある
腸炎ビブリオ
感染してから症状が
あらわれるまでの期間
6~24時間
症状激しい上腹部痛・はき気・おう吐
代表的な原因食品魚介類などの海産物やその加工品
他の感染要因海水中に生息し水温20℃以上で増殖
便の状態水様便粘血便・血便
注意点冷凍でも長期間生存できる
赤痢
感染してから症状が
あらわれるまでの期間
1~5日
症状高熱(39~40℃)、下痢
代表的な原因食品ヒトの糞便や吐物により汚染された食品や水
他の感染要因海外旅行
便の状態粘血便・血便、水様便、泥状便
注意点海外渡航者は要注意
コレラ
感染してから症状が
あらわれるまでの期間
数時間~5日(平均2、3日)
症状大量の水様便、おう吐、脱水
代表的な原因食品ヒトの糞便や吐物により汚染された食品や水
他の感染要因海外旅行
便の状態米のとぎ汁のような水様便
注意点海外渡航者は要注意・高齢者や胃切者は重症化しやすい

食中毒の原因となる主なウイルス

ノロウイルス
感染してから症状が
あらわれるまでの期間
24~48時間
症状はき気・おう吐・下痢
代表的な原因食品二枚貝(主にカキ)
他の感染要因ヒトからヒトへの感染あり。埃についたウイルスが口から入ってしまうこともある
便の状態水様便
注意点非常に感染力が強いので集団感染しやすい
ロタウイルス
感染してから症状が
あらわれるまでの期間
1~3日
症状おう吐・下痢・脱水・発熱
代表的な原因食品汚染された食品や水
他の感染要因ヒトからヒトへの感染あり。埃についたウイルスが口から入ってしまうこともある
便の状態白色水様便(黄色・黄緑・白緑も)
注意点冬季に流行し乳幼児に多発。集団感染あり