脳の様々な病気で脳血流に異常が起きますが、最も多いのが脳梗塞や出血などの脳血管障害です。脳循環代謝PET検査では、血流の低下とそれによる酸素不足の状態を観察することが可能です。脳に血液を送る血管が細くなったり塞がったりしていた場合、その部位の脳血流と代謝状態を調べて、血管の手術が必要かどうかを決める参考にしたり、手術後の効果を見たりします。(保険適応)
脳細胞はそのエネルギー源のほぼ100%をブドウ糖に頼っています。脳のエネルギー代謝は、神経細胞の活動が盛んな部位で高く、活動が衰えた部位では低くなります。FDGを用いた脳PET検査では、てんかん(保険適応)、外傷(保険適応外)などにおける局所脳代謝の異常が分かります。また認知症がある場合には、それが脳血管障害によるものか、アルツハイマー型のものかなども代謝異常のパターンから分かるようになってきました(保険適応外)。
アルツハイマー認知症患者のFDG脳代謝画像:機能低下が好発する側頭後頭部(矢印)においてFDGの集積低下を認める。