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ヒルシュスプルング病

最終更新日:2020年5月12日

ヒルシュスプルング病概説図

ヒルシュスプルング病は、腸を動かす腸管神経節細胞が生まれながらに欠損しているため、便がうまく通過しない病気です。この神経節細胞がない腸管を無神経節腸管と呼びますが、無神経節腸管は必ず肛門から連続しておりその範囲によって重症度が違います。無神経節腸管の手前では便が渋滞し、腸が著明に拡張することから先天性巨大結腸症と呼ばれていました。


1. ヒルシュスプルング病の症状

典型的には生まれてすぐに胎便が排泄されない、腹部膨満、胆汁性嘔吐(緑色の嘔吐)がみられます。ただ新生児期に診断されるのは全体の約半数で、1割は軽い便秘で見過ごされ1歳以降に診断されています。これは無神経節腸管の範囲によっても症状・経過が異なりますが、同じ範囲であっても個人差が大きく発症経過が多岐にわたるためです。腹部膨満・嘔吐・慢性的な便秘・腸炎などがみられる場合には本症の可能性があります。

ヒルシュ範囲

2.ヒルシュスプルング病の診断

ヒルシュ診断

新生児・乳児期の嘔吐や便秘は日常的にみられます。そのためまずは問診と診察を行い、本症が疑わしければ注腸検査を行います。注腸検査は肛門から管を挿入し造影剤を口側に向かって流していきます。本症の場合は無神経節腸管が細く、その口側の腸が拡張しているのが特徴です。この所見がみられた場合、確定診断のため直腸粘膜生検を入院して行います。採取した組織内に神経節細胞がみられなければ診断が確定します。

4.ヒルシュスプルング病の治療

手術が必須の病気です。当院ではおよそ生後5か月(6~7kg)を目途に手術を行います。そのため、それまで十分な排便ができるように緩下薬・浣腸の使用、洗腸(肛門から管を挿入して生理食塩水で洗浄)を行います。それでも改善がない場合(約10%の方)には、人工肛門を造設する必要があります。

手術は一般的にDuhamel法あるいはSoave法が行われています。当院では腹腔鏡を併用したDuhamel法を行っています。

腹腔鏡補助下Duhamel法

腹腔鏡Duhamel

Duhamel法の特徴

吻合部狭窄・うっ滞性腸炎になりにくい

うっ滞性腸炎はときに重症化するため、生活の質を落としたり、命に関わる可能性があります。また吻合部狭窄は追加の処置が必要になることがあります。Duhamel法術後の患者様はこのような合併症になりにくいので、通常の内科的な排便管理で十分対応が可能です。
当院ではきちんとした排便習慣が身に付く4歳までは緩下薬や浣腸を用いますが,学童期になれば徐々に離脱でき、患者様みなさん良好な生活を送っております。