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心臓血管外科


ごあいさつ

静岡県立こども病院心臓血管外科ホームページにようこそ。
2007年6月、小児循環器センターがオープンしました。今度のセンターは、“専属医師を配置した小児循環器集中治療ユニット(CCU)”と“世界中とIT連携が可能なネット会議室”を備え、広域連携を可能にする体制(ハード)を整えました。
しかし私どもは、技術革新によるハードが進む現在だからこそ、今まで以上に大切にしなければならないものがあると考えています。
人間として、医師としての基本姿勢(ソフト)です。私どもの変わらない基本姿勢を再掲させていただきます。

当院当科では一貫して「あきらめない」をモットーに、いかなる状況においても最善・最高の治療を提供すべく努力を続けております。また、提供するだけでなく、治療への理解を深めていただくために丁寧な説明を心がけております。
対象となる疾患群は先天性心疾患においてはすべてにおいて対応可能と考え、全力で治療にあたります。いわゆる欠損部を閉鎖する手術から心臓全体の構造を変化させる手術まで幅広く対応します。また、別臓器疾患との合併や、同時手術などにも積極的に取り組んでおります。

当科の歩み

1977年、こども病院開設時に村岡隆介先生が7名のチームを編成し京都大学から参加したのが本院の心臓血管外科の始まりです。いち早く軌道に乗せ確固たる基礎を築かれた5年後、村岡先生(当時副院長)は福井医科大学教授として招聘され、あとを横田通夫先生に任せられました。横田先生は、静岡県の充実した新生児医療体制(動く集中治療室といえる新生児搬送用専用救急車が県内に5台あります)を背景に、新生児重症患者さんを次々と救命し、県内すべての主要病院から患者さんの紹介を受ける体制を確立されました。

その後、少子化の時代となっても循環器科新患数の増加は継続し、心臓外科手術待ち期間の長期化が大きな問題となりましたが、1997年3月新手術室が増築され、手術日が週3日から5日に増えたことで手術待ち期間の短縮、改善がなされました。加えて1997年フランス留学から戻った坂本喜三郎先生が科長として着任した後は、更に手術件数が増えることになりました。
そして2007年に現在の循環器センター並びに手術室があります西館が竣工し、更にカナダトロント小児病院で修練を積んだ大崎先生を科長とする本邦初の循環器集中治療科を設け、出生直後、心臓カテーテル治療後、そして心臓手術後などのこども達の状態が安定しない時期を専門医が治療し、安定した治療成績を積み上げることにより、国内でも有数の年間300件の小児心臓手術を行う施設となりました。

この間坂本先生は、片側肺動脈低形成に対するintrapulmonary artery septation (IPAS)や、新生児の大動脈弁形成、無脾症候群に代表される房室弁逆流に対する弁形成術など世界に発信できる数々の新しい手術術式を考案し、また循環器科には、小児専門病院としては他に類を見ない、胎児診断を含めた心エコー、カテーテル治療、不整脈治療、成人先天性心疾患、MRIを含めた画像診断の各分野のエキスパートが揃いました。これにより、それまで救命困難と考えられていた特別な心臓病を持つこども達を含めたほとんどのこども達が、循環器科、心臓血管外科、循環器集中治療科そして麻酔科からなる循環器センターの総合力の下、安全かつ迅速に治療を受けていただくことができるようになりました。

また、当院をはじめとした日本全国の施設における小児心臓外科手術成績の改善とともに、患者さんが成長され成人になるにつれ、小児病院を卒業して成人系病院に移る移行期医療や、成人期になり発生する問題に対する手術介入なども必要性が増しています。成人には確立されているカテーテル治療とのコラボレーションも重要な問題です。当院では約2キロの距離にある静岡県立総合病院と連携し、手術やカテーテル治療、集中治療含めた救急体制に加え、遠隔期外来診療・移行期医療ができる体制を整えております。実際の手術も、双方の病院で受けることも可能で、かつ外科医自体もお互いの病院に出張し、協力する体制ができております。

静岡県の小児心臓病基幹病院を目指して開設以来、歴代全医師の努力の継続により東海の基幹病院として知られるようになってきましたが、さらに小児循環器領域で日本初のセカンドオピニオン外来開設、循環器センター開設を経てレベルアップし、現在では日本全国から相談をしていただける施設になりました。
今後も、静岡県内の小児循環器領域全般、東海地域の情報ネットワーク確立にも自負と責任を持って対応し、治療困難な重症例の相談/治療に関しては日本全国から受け入れられる日本の小児心臓病基幹病院として、今まで以上に先天性心疾患治療の安全性向上に貢献できる体制作り、整備をして行く所存です。

最近の当科治療傾向と特徴

肺動脈形成

当科では、肺動脈形成術の中でも、特に主要大動脈肺動脈側副血行路(MAPCA)に対する肺動脈統合手術(Unifocalization)を積極的に行っております。

2020年から2025年の間に22例の患児に本術式を施行しており、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損(VSD)にMAPCAを合併した複雑心疾患の患者さんが、全国各地から当院に紹介されています。

当科の治療方針は、できる限り乳児期に一期的な肺動脈統合(Unifocalization)を行い、可能であれば同時にVSD閉鎖を含む心内修復術を実施することで、チアノーゼの早期是正を目指す点にあります。

当院において、肺動脈を成長させることが生涯にわたる右室不全やフォンタン不全を防げると考え、かなり細い領域まで含めた肺動脈への積極的な介入を行ってきました。主なものとして、中心肺動脈形成、肺動脈内分離手術主要体肺動脈側副血行路に対する治療戦略の3つを紹介します。

中心肺動脈形成(central pulmonary artery plasty)

単心室症に合併した肺動脈縮窄症に対し、縮窄部をすべて切除し、主肺動脈成分を使って中心肺動脈形成を行う手技です。通常のシャント術と比較し、肺動脈の形態がよく成長が得られる手技で多くがフォンタン手術に到達できています。

肺動脈内分離手術(intra-pulmonary septation, IPAS)

左心低形成症候群をはじめとする単心室症では肺動脈の成長が重要となるのは上述した通りですが、特に左右の肺動脈の成長に偏りがある場合は、フォンタン術後も一方にしか血流が流れない場合高い静脈圧が予測され、いいフォンタン循環を得られないことになります。そのような症例で、中心肺動脈内で分離を行い、健側はグレン(またはフォンタン)、患側はBTシャントによる血流を維持する術式(IPAS)を行っております。肺動脈の成長のためには血流が必要ですが、高肺血流は心不全を引き起こすため慎重な対応が必要です。
MAPCAを合併した肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症に対する治療は大変困難でその方法については常に論争の対象となります。当院ではMAPCAを1回で統一(unifocalization)し、さらに術中に肺血流テストを行い、根治術(心室中隔欠損閉鎖)まで行う方法をとっております。この方法は長時間手術となり侵襲も小さくないですが、術後の肺動脈に適切な肺血流を適切な血圧で流すことでよい成長が得られると考えられます。

大動脈弁形成

当科では、大動脈弁形成術を2020年から2025年の間に43例に実施しており、弁置換やRoss手術ではなく、成長を見据えて自己弁を温存する弁形成術を積極的に採用している点が特徴です。

弁尖短縮を伴う大動脈弁狭窄症に対しても、自己心膜を用いた補填による弁形成術を行い、将来的な弁置換やRoss手術の時期をできる限り遅らせることを目指しています。また、症例に応じては全弁尖を自己心膜で再建する弁尖置換術を、低年齢児においても実施しています。

手術症例の内訳は以下の通りです
  • 大動脈弁狭窄症:24例
  • 大動脈弁閉鎖不全症:19例
    (うち、大血管転位術後(Jatene術後)3例、Norwood術後3例、総動脈幹症6例 を含む)

手術時の年齢および体重の平均(±標準偏差)は以下の通りです
  • 年齢:4.6 ± 4.5歳
  • 体重:15 ± 13kg

このうち、新生児が3例、3ヵ月未満が4例、1歳未満が5例を占めており、乳児・幼児に対する繊細な手術にも対応しています。
将来的な成長や再手術の可能性を考慮した上で、長期的な機能温存と生活の質の向上を目指す治療方針が当科の大きな特徴です。

“open sleeve”法を用いた大動脈弁形成術

単一大動脈弁尖に対する新生児期大動脈弁狭窄症に対し、弁基部下まで切り込み、そこに三角形の自己心膜パッチを補填し新しい交連を形成する方法です。

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