グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



診療科
ホーム  > 診療科  > 心臓血管外科  > ハイブリッド手術  > 経皮的卵円孔開存閉鎖術

経皮的卵円孔開存閉鎖術

最終更新日:2024年2月20日

卵円孔開存へのカテーテル治療により脳梗塞再発を予防する

卵円孔開存(patent foramen ovale: PFO)とは、心房中隔にみられることのある、隙間のような孔です。出生前(図1)は、この孔を通して、胎生期の循環が成立していますが、出生後(図2)は、肺循環が開始されるとともに左房内圧が高まり、卵円孔が閉じます。しかし、成人になっても、4-5人に1人の割合で、この孔の交通が残っていることが知られています(図3)。

経皮的卵円孔開存閉鎖術

交通が残っていても、治療を要さず、寿命を全うされることがほとんどですが、咳や排便時のいきみなど、右心房圧が上昇する状態が起きると、右心房から左心房へ血流が流れ込むことがあり、その際に開存している卵円孔に、下肢静脈などで発生した血栓が右房に流れ着いて、引き込まれると、血栓が左房内に移動し、脳梗塞の原因になるのです。本邦においては、急性期脳梗塞のうち、PFOが関連していると考えられる症例は5%以上との報告があり、年間20万人に発症する脳梗塞症例のうち、約1万人がPFOを介した奇異性脳梗塞である推計になります。
脳梗塞を予防する薬として、血液をさらさらにする薬(抗凝固薬や抗血小板剤)による治療は、広く普及しています。しかし、消化管出血や脳出血、女性の場合、生理出血などを伴うと、止血に影響する薬はつづけにくいことがあります。こういった背景から、近年、卵円孔開存が関与したと考えられる脳梗塞の再発予防として、卵円孔開存を閉鎖するためのカテーテルによる治療の有効性が示され、本邦でも保険診療が開始されています。

カテーテルを用いた卵円孔開存の閉鎖術

足のつけねにある静脈から、カテーテルを挿入し、右心房から左心房へ、カテーテルを経由し閉鎖します。心房中隔に留置されると、表面は、徐々に内膜におおわれ、3か月ほどで、被膜化されます。抗脳梗塞の再発リスクを低減させるとともに、抗凝固薬や抗血小板剤を終了することが考慮可能となる治療です。

卵円孔開存閉鎖術の適応

2021年日本脳卒中学会により示された脳卒中治療ガイドラインでは、60 歳未満の卵円孔開存の関与が疑われる潜因性脳梗塞例に対して、経皮的卵円孔開存閉鎖術を行うことの妥当性、特に 再発リスクの高い卵円孔開存(シャント量が多い、心房中隔瘤合併等)を有する場合、高い推奨度で経皮的卵円孔開存閉鎖術が勧められると、積極的な治療の適応が検討されると、改訂されました。

卵円孔開存に対するカテーテルを用いた閉鎖術は、以下の項目に該当する方が対象となります。

1.必須条件:下記の条件をすべて満たす場合に本治療の施行が検討される
◆卵円孔開存の関与があり得る潜因性脳梗塞の診断基準に合致した患者
◆閉鎖術施行後一定期間の抗血栓療法施行が可能と判断される患者
◆原則として,60 歳未満の患者
◆(女性の場合)妊娠していない、かつ 1 年以内の妊娠を希望しない患者
2.推奨基準:必須条件を満たし,かつ下記のいずれかの条件に当てはまる場合には、本治療の施行が推奨されます
◆下記のような機能的・解剖学的に高リスクの卵円孔開存を有する場合
✓シャント量が多い
✓心房中隔瘤(atrial septal aneurysm:ASA)の合併
✓下大静脈弁(Eustachian valve:EV)の合併
✓キアリ網(Chiari network)の合併
✓安静時(非バルサルバ負荷下)右左シャントを有する
✓長いトンネルを有する卵円孔開存
◆適切に施行された抗血栓療法中に上記潜因性脳梗塞を発症した場合

お問合せ

TAVI、経皮的僧帽弁接合不全修復術を含む、構造的心疾患の経カテーテル的な治療が適応される場合、解剖学的な条件など、安全に提供させていただくために、適応基準が検討されます。治療に関するご相談、ご質問につきましては、かかりつけの先生と相談の上、お問合せください。
●ご予約・ご相談は
循環器外来のご予約(病診連携室)
Tel 054-200-6270 Fax 054-200-6271 (受付時間 平日8時30分~17時00分)
※ご紹介の際は、循環器内科医師 坂本裕樹(水曜日)または、竹内泰代(月曜日)宛にお願いします。

症例のご相談は代表電話で「循環器センター」へ
Tel 054-247-6111 (循環器内科・心臓血管外科外来受付時間 平日8時30分~17時00分)