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内分泌代謝科のおはなし

最終更新日:2024年3月13日

内分泌撹乱化学物質

ダイオキシンなどの環境ホルモンが性ホルモン系を撹乱することが明らかにされ、内分泌撹乱化学物質と定義された。その作用機序も明らかにされつつある。新発見(新たなる化学物質)が生活に便利であるとすぐ現実の生活の中に定着してしまい、習慣となってしまう。内分泌撹乱化学物質の中には先進国の利器として頻用され、その存在があたかも空気のごとく受け入れられる状況になって初めて、人類に有害であることが明らかになったものもあり、いわゆる生活習慣病と似た側面がある。新しい物質にしろ、習慣にしろ、長期間にわたるチェック(歴史上のチェック)を受けていないことを自覚すべきである。それ程現在の生活パターンは、急速に変化しつつあるということである。人は胎内にいる頃から環境因子により多大な影響を受けるが、両親由来の精子卵子は、ともに生命誕生以来の様々な環境因子による影響を内包している。遺伝的障害も環境因子の影響により良くもなれば、悪くもなるということであり、利益を追求する会社の宣伝(いい点ばかりを強調)に踊らされないことが肝要である。

生活習慣病

数十年の短い期間で驚くほど日本人の体重の増加をみた一方で、運動能力は著しく低下した。各年代毎のBMI(体格指数)は年毎に上にシフトしている。従来の日本人の糖尿病患者の特徴は欧米に比して肥満者が少ないという点であり、このため大血管障害(脳梗塞、心筋梗塞など)は少ないと考えられているが、この先今の十代二十代が高齢化した頃には糖尿病の患者数の増加はもちろん大血管障害の合併頻度の増加が危惧される。今後、少子化の傾向も続くとすれば日本の将来は医療経済的側面からも回復の余地はないといわざるを得ない。

糖尿病、高血圧症、高脂血症、高尿酸血症、肥満などは生活習慣病といわれる。これらの疾患がもとで脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こす。日本人の死因の大部分は生活習慣病と関連づけられる。約3人に1人が血管障害(脳心など)で死に約3~4人に1人ががんで死ぬ。したがって、生活習慣病を克服すれば元気に長生きできるが、その道程はそうたやすいものではない。遺伝的因子というやっかいで大きな障害が横たわっているからである。最近の研究によれば環境因子を是正することにより遺伝的障害を克服することは可能であるらしい。要するに先祖代々環境により影響を受けてきたということは、逆に言えば、遺伝的にどうであれ、環境により遺伝子の働きはある程度影響をうけるということであって、人間は周りの環境変化に適応できるということでもある。つまり、糖尿病になりやすい体質の人が例えば運動をすれば糖尿病になりにくい体質になりうるということである。

宇宙生活

77才のグレンさんがスペースシャトルによる宇宙旅行を無事終え帰還したが、この旅行の目的の一つは老化のメカニズムを探り、その防止策を求めるということでした。宇宙では老化が加速することが知られていますが、加齢そのものが生活習慣病を悪化させることもまたよく知られていることです。宇宙生活では様々なホルモンの分泌動態が変化するわけであり、それにより生活習慣病はどのように変化するのか大変興味深いことです。

糖尿病

糖尿病は生活習慣病の代表であり、脳、心臓などの動脈硬化性疾患の各種危険因子と関連が深いことより、糖尿病を征する者は最小血管障害(網膜症、腎症、神経障害)のみならず大血管障害も防止できるはずである。ブドウ糖の消費と供給のバランスが崩れた状態が糖尿病ですが、では、糖の流れはどうなっているのでしょうか。

脳はエネルギー源として、特殊な場合を除いてブドウ糖のみを利用するので生命維持にはブドウ糖は欠かせないものであり、1日に約140gもの糖が脳で消費される。また、1日の生活の中で消費されるブドウ糖の約8割は筋肉で利用される。ブドウ糖の供給は、日中は主に食物より摂取されるが、寝ている間は肝臓でせっせとブドウ糖を産生している(約6g/時間)。飽食、飢餓などの様々な状況に応じて脳へ一定量のブドウ糖を供給するとともに、血中レベルも一定に保つべく、様々なメカニズムが働いているのである。
糖尿病においては、このメカニズムが乱れており、それを正常化するのに正しい生活習慣を身につけることが有効であり、糖尿病を征服する道である。さらに糖尿病は骨粗鬆症とも関連があり、高齢化社会において最も重要な問題である寝たきり老人を作らないという目的の達成にもつながる。

高血圧


糖尿病患者の約3割の患者が高血圧を合併することと、血圧の維持には各種ホルモンが密接に関係することから我々内分泌代謝科の医者は血圧のコントロールも積極的に行っている。
人は生きるために脳を初め各臓器に酸素や栄養素を供給する必要があり、そのためにある程度の血圧を維持しているのである。

生きるだけなら食塩の所要量は1g/日で充分であるが、より旨い物をお腹いっぱい食べたいという食欲を野放図にしたために食塩摂取量は増加し、それにより血圧は必要以上に上昇し血管をボロボロにしているわけである。食事療法は人間の深い欲に関係しており、アートの側面が大きく、単純に科学的に評価できないのも事実だが、21世紀には両面を満足させるような理想的な食事という概念が確立するでしょう。

糖尿病患者は生涯にわたり定期的に外来通院されるわけだから、その間、癌のチェックを怠らなければ、コントロールの良い患者さんは最も健康に長生きすることにつながると思う。以上のように我々内分泌代謝科の医者は患者さんの状態をトータルに診察し、より良い医療を行なうべく日々の診療を行なっています。一度しかない人生を素晴しいものにするための最高の生活習慣(食事、運動など)とは何であるか?それを極める道のりは長いと思いますが、一つ一つ事実を積み上げて明らかにしようと思います。
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