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TAVI:経カテーテル的大動脈弁置換術

最終更新日:2024年2月20日

TAVIとは

大動脈弁狭窄症に対して、カテーテルを用いた手法で大動脈弁植込術を行うことを指します。これまで、大動脈弁疾患の治療は、胸骨正中切開(胸の真ん中を約30センチ切開し、胸骨を縦切り)し人工心肺装置を装着したうえ、心臓を停止させ、狭窄弁を新しい人工弁に置換していました。外科手術での人工弁置換は、現在でも標準的な治療方法ですが、高齢、再手術、ステロイド内服、低栄養など、侵襲性の高い手術をうけるには、リスクが高い患者様も実際にはおられます。これまで治療をあきらめなければならなかった患者様でも、カテーテルで弁を治療するTAVIが可能となった今、国内では大きな広がりをみせています。

TAVIは、カテーテルに装填された人工弁を、狭窄して機能不全におちいった自己弁の上に拡張し留置します。当院では、風船拡張の手法で留置する人工弁と形状記憶の特性を生かした自己拡張能を有する人工弁の2種類を用いています。鼡径部の大腿動脈から挿入する経大腿動脈アプローチ法、胸の皮膚の小さな切開から心臓の先の心尖部の動きの少ない部位に挿入する経心尖部アプローチ法、他に鎖骨下動脈や胸部大動脈を経由したアプローチ法が、事前にえられた画像情報により、ハートチームにおける検討のもと、適正に選択されます。

バルーン拡張型人工弁

バルーン拡張型人工弁

自己拡張型人工弁

自己拡張型人工弁

高精細なイメージングモダリティを総合した評価

当院では、安全性の高い治療を提供するために、CTやエコーによる精細な画像解析と検討を行っています。

当院では、安全性の高い治療を提供するために、CTやエコーによる精細な画像解析と検討を行っています。

心臓CT:TAVIを行う際、アプローチ可能な部位を評価します。胸部から骨盤までの大動脈の性状や蛇行の有無、心臓の位置と胸郭の関係を明瞭化することが可能です。また、詳細に大動脈弁の石灰化分布や弁輪サイズを計測し、人工弁の至適なサイズを判断します。

心エコー

心エコー:大動脈弁狭窄症は、弁口面積や通過血流速度などの精密な計測が必須です。最初に、経胸壁心エコー検査を行い重症度を判定します。

手術中の経食道心エコーにより、合併症発生がないかモニタリングを常に行い、大動脈弁と周囲の詳細な評価をすることで、重篤なトラブルを回避し最小限にすることを目標に取組んでいます。

心血管超音波検査室の取り組み

心エコー

3Dエコーにより、手術中の解析から、適正なステントサイズ選択を検証したり、リアルタイムでの形態評価を行うことが可能です。

カテーテル的な人工弁留置の実際

【1】バルーン拡張型人工弁:(1)風船カテーテルの上にかしめた人工弁を弁輪部に配置し、(2)風船を拡張して留置したうえ、(3)風船を縮小させ、回収します。

カテーテル的な人工弁留置の実際

【2】自己拡張型人工弁:(1)カテーテル内に小さく収納した人工弁を弁輪部に配置し、(2)緩徐な展開により、(3)適正な位置に拡張留置します。

自己拡張型人工弁

外科手術で植込まれた生体弁へのTAVIが可能に

大動脈弁閉鎖不全や大動脈弁狭窄症の治療のために、外科手術で生体弁を置換した場合、その耐久性は10~20年とされています。石灰化や硬化により生体弁が狭窄したり、摩耗や変性により閉鎖不全を生じると、人工弁が働きをなさなくなり、胸痛や息切れ、むくみ、失神などの症状を呈することがあります。この状態は、人工弁機能不全と呼ばれ、高度になると、再び弁置換術が必要となります。

一般に、外科的弁置換術を検討されますが、高齢化したり、体力虚弱などが伴うと、再手術の負担が軽視できません。このような場合に、TAVIが応用されるようになってきました。カテーテルを用いて、すでに植え込まれている生体弁の中に、新しい生体弁を植込む治療法は、すでに導入されている国々では革新的な成果をあげています。
日本国内では2018年から保険償還され、当院でもこの治療を受けていただくことが可能となり、治療提供が開始されました。

生体弁を折りたたみ収納されたカテーテルを大動脈まで送り込み、すでに植え込まれている外科生体弁の内側で新しい生体弁をゆっくりと展開させ留置します。

生体弁を小さく折りたたみ収納したカテーテルを大動脈まで送り込み、すでに植え込まれている外科生体弁の内側で新しい生体弁をゆっくりと展開させ留置します。

実績

静岡県立総合病院のTAVI診療実績

超高齢者が、術後1日目でICUを退室し歩行訓練を開始、術後7-10日で在宅復帰します。
入院時に高度虚弱であった場合は、治療後、転院され、リハビリ継続をされています。
1.治療実績(2015年12月~2019年9月)
患者数203例 (男性60例、女性143例)
その他術後30日までの死亡率0.99%
術後恒久的ペースメーカー植込み率8.9%

2.虚弱度の背景(2015年12月~2018年6月)
患者数117例(男性32例、女性85例)
平均年齢85歳(72~97歳)
ICU滞在日数2日(中央値、2~12日)
自宅退院率自宅退院99例(85%)
リハビリ病院や介護施設等へ転院など18例(15%)
認知機能(MMSE)24(中央値、30点満点で21点以下で認知機能低下)
5m歩行6.9秒(6~7秒以上:虚弱陽性、術前歩行困難例除く)
握力18.5kg(平均値)
ADL(KatzIndex)6点(中央値、6点満点、4点は中等度虚弱、2点以下は重度虚弱)
CSHA4(中央値)

TAVI手術の様子

TAVI

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お問合せ

TAVI、経皮的僧帽弁接合不全修復術を含む、構造的心疾患の経カテーテル的な治療が適応される場合、解剖学的な条件など、安全に提供させていただくために、適応基準が検討されます。治療に関するご相談、ご質問につきましては、かかりつけの先生と相談の上、お問合せください。
●ご予約・ご相談は
循環器外来のご予約(病診連携室)
Tel 054-200-6270 Fax 054-200-6271 (受付時間 平日8時30分~17時00分)

症例のご相談は代表電話で「循環器センター」へ
Tel 054-247-6111 (循環器内科・心臓血管外科外来受付時間 平日8時30分~17時00分)