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診療科

【病理学部】高度医療・先進医療への取組と将来構想



1. 病理診断結果検索システムの構築

開院以来の病理診断記録を、瞬時に検索できるパソコン・システムを構築し、パラフィン包埋検体の追加検査や悪性腫瘍の再発と新規発生との区別などに活用しています。

2. 医療の進歩に対応できる病理組織検体処理の実施

  • 1996年から乳癌の固定条件を改め、Hercep testで優れた成果をあげております。
  • がんゲノム医療連携病院の指定に伴い、2019年11月からゲノム医療にも対応した固定法に完全に切り替え、従来よりも厳しく固定時間をチェックしております。
  • 遺伝子検査が必要となりそうな症例では、腫瘍の含有率や腫瘍細胞の数を病理報告書に記載し、検体の適・不適の情報を臨床医に伝えております。

3. 治療に直結した分子病理診断

近年、遺伝子やタンパク質の情報を元に、個々のがんのもつ腫瘍形質に対応した治療(オーダーメード医療)が提唱され、特定のタンパク異常や遺伝子異常に対応した分子標的薬が続々と研究開発されております。
当科も、多種多様ながんの細胞の形質をタンパク染色(免疫染色)によって分析し、治療方法の決定に貢献しております(乳癌のハーセプテスト・ホルモンレセプター ほか多数)。とりわけオーダーメード医療が強く提唱されるようになった2008年以降は、診療各科の要請・協力のもと、治療に直結した遺伝子変異の報告(解析は外注)やコンパニオン診断を積極的に導入しております(詳細は下記)。
代表的なものとして、2017年 3月には、静岡県下でいち早く肺癌のPD-L1コンパニオン診断を導入し、2019年3月からは、種々の固形癌に対するマイクロサテライト不安定性検査を開始しました。さらに2019年 10月からは、肺癌の主たる遺伝子異常を検出するためのオンコマインDx Target Testマルチ CDxシステム(外注)を導入しました。また、課題であった乳癌や胃癌におけるHER2遺伝子検査の蛍光 in situ hybridization(FISH)も、画像解析システムを応用することで院内での実施を開始し、当部署で精度管理ができるようになりました。
今後は他の遺伝子検査の院内実施やがんゲノム医療プロジェクトへの対応に向け、関係部門と協力し積極的に取り組んでいきたいと考えています。
免疫染色については、コンパニオン診断はもとより通常の病理診断に必要な抗体も随時、新規で揃え、現在は200種類を超える抗体を保有しております。
細胞診に関しても、2010年より、子宮頚部検体の判定にベセスダシステムを導入しました。このシステムは、世界基準の判定法で、子宮頚癌の発生に深く関わるヒトパピローマウイルス(HPV)の核酸同定検査(本院は検査施設認定)とも直結しております。また、2019年から若手の細胞検査士を増員しました。彼らも上述の分子病理診断の一翼を担っております。さらに、2023年から新たに 3名の若手病理技師が加わりました。今後は、かれらの技術や学術面の向上にも力を注ぎ、次代を担う人材の育成にも努めます。

治療に直結した遺伝子変異の報告や免疫染色の導入

2008年~ 肺癌の EGFR遺伝子変異
2009年 大腸癌の EGFR染色と K-Ras遺伝子変
2011年 進行胃癌のHercep test(免疫染色)
2012年 肺癌のALK免疫染色
2016年 肺癌のEGFR耐性変異 T790Mのコンパニオン診断
2017年 肺癌のPD-L1コンパニオン診断(免疫染色)
2018年 肺癌 ROS1融合遺伝子
2019年 肺癌の BRAF V600遺伝子変異のコンパニオン診断
2019年 種々の固形癌に対する、マイクロサテライト不安定性検査
2019年 肺癌の ALK融合タンパクのコンパニオン診断(免疫染色)
2019年 肺癌の オンコマインDx Target Testマルチ CDxシステム
2019年 乳癌のPD-L1コンパニオン診断(免疫染色)
2020年 乳癌 HER2遺伝子 FISHの院内実施
2020年 当院のがん関連遺伝子変異の網羅的解析(Foundation One)への協力
2021年 胃癌 HER2遺伝子 FISHの院内実施
2021年 悪性リンパ腫における BCL2, BCL6, MYC遺伝子 FISHの院内実施
2021年 肺癌 Amoy マルチ遺伝子 PCRパネル
2021年 脳の悪性グリオーマの del (1)/ del (19)欠失の検査

4. がんゲノム医療連携病院

2018年4月に、本院は、がんゲノム医療連携病院(京都大学 拠点・2020年4月からは静岡がんセンター拠点)に指定されました。がんゲノム医療は、次世代シークエンサーを用いてがん組織中のがん関連遺伝子の変異を網羅的に解析しオーダーメード医療を推進する、国家的プロジェクトです。病理組織(パラフィン包埋標本、凍結組織)を用いることから、当科の果たす役割は極めて大きく、今後は、検体の処理から保管まで、ゲノム医療を踏まえた精度管理が重要目標となります。

5. 治験・多施設共同研究

当科は、乳癌、胃癌 等、種々の癌に対する国際的治験に参加しております(年平均 4件)。
加えて、JCOG研究を含む国内の多施設共同研究にも積極的に協力しております(年平均 7件)。
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