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当科の歩み

最終更新日:2018年8月16日
1977年、こども病院開設時に村岡隆介先生が7名のチームを編成し京都大学から参加したのが本院の心臓血管外科の始まりです。いち早く軌道に乗せ確固たる基礎を築かれた5年後、村岡先生(当時副院長)は福井医科大学教授として招聘され、あとを横田通夫先生に任せられました。横田先生は、静岡県の充実した新生児医療体制(動く集中治療室といえる新生児搬送用専用救急車が県内に5台あります)を背景に、新生児重症患者さんを次々と救命し、県内すべての主要病院から患者さんの紹介を受ける体制を確立されました。

その後、少子化の時代となっても循環器科新患数の増加は継続し、心臓外科手術待ち期間の長期化が大きな問題となりましたが、1997年3月新手術室が増築され、手術日が週3日から5日に増えたことで手術待ち期間の短縮、改善が始まりました。
1997年フランス留学から戻った坂本喜三郎先生が科長として着任した後は、更に着実に手術件数が増えることになります。
そして2007年に現在の循環器センター並びに手術室があります西館が竣工し、更にカナダトロント小児病院で修練を積んだ大崎先生を科長とする本邦初の循環器集中治療科を設け、出生直後、心臓カテーテル治療後、そして心臓手術後などのこども達の状態が安定しない時期を専門医が治療し、安定した治療成績を積み上げることにより、国内でも有数の年間300件の小児心臓手術を行う施設となりました。
この間坂本先生は、片側肺動脈低形成に対するintrapulmonary artery septation (IPAS)や、新生児の大動脈弁形成、無脾症候群に代表される房室弁逆流に対する弁形成術など世界に発信できる数々の新しい手術術式を考案し、また循環器科には、小児専門病院としては他に類を見ない、胎児診断を含めた心エコー、カテーテル治療、不整脈治療、成人先天性心疾患、MRIを含めた画像診断の各分野のエキスパートが揃いました。これにより、それまで救命困難と考えられていた特別な心臓病を持つこども達を含めたほとんどのこども達が、循環器科、心臓血管外科、循環器集中治療科そして麻酔科からなる循環器センターの総合力の下、安全かつ迅速に治療を受けていただくことができるようになりました。

更に2017年、坂本先生の病院長就任に伴い、岩手医大心臓血管外科教授であった猪飼秋夫が副院長兼心臓血管外科科長として着任しました。これにより坂本院長、猪飼の2名の執刀医を有する体制となり、今まで以上に、複雑心疾患を有する多くのこども達の手術を常時行えるようになりました。また猪飼は米国Stanford大学での留学経験を生かし、主要体肺動脈側副血行路(MAPCA)に対する外科治療を積極的に行い、これまでこども病院で積極的に行われてきた数々の肺血管に対する治療を、更に充実させています。
また小児気道病変の治療に特化した小児呼吸器外科との連携により気道病変と心疾患を合併したこども達の治療も積極的に行なっています。

静岡県の小児心臓病基幹病院を目指して開設以来、歴代全医師の努力の継続により東海の基幹病院として知られるようになってきましたが、さらに小児循環器領域で日本初のセカンドオピニオン外来開設、循環器センター開設を経てレベルアップし、現在では日本全国から相談をしていただける施設になりました。今後も、静岡県内の小児循環器領域全般、東海地域の情報ネットワーク確立にも自負と責任を持って対応し、治療困難な重症例の相談/治療に関しては日本全国から受け入れられる日本の小児心臓病基幹病院として、今まで以上に先天性心疾患治療の安全性向上に貢献できる体制作り、整備をして行く所存です。


(猪飼 秋夫)