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造血細胞移植

最終更新日:2024年1月31日

移植ってどんな治療?

造血幹細胞移植

血液には赤血球や白血球、血小板という異なる役割を担う細胞が存在し、これらは骨髄で造られています(造血)。白血病などの血液疾患になると、骨髄内で異常な細胞が造られるために正常細胞が行き場を失って減少してしまいます。この状態を良くするために化学療法(抗がん剤治療)が行われますが、化学療法のみでは治癒が難しいと予想される場合には造血幹細胞移植を行います。
造血幹細胞移植とは、大量の化学療法や放射線治療(移植前処置)を行うことで、正常細胞も含めて骨髄の中の細胞を死滅させ、正常の造血を回復させるために造血幹細胞を体に戻すという一連の治療のことを指します。移植には自分の造血幹細胞をあらかじめ採取しておき、移植する自家移植と、他人からもらった細胞を移植する同種移植があります。前者は主に難治性の悪性リンパ腫や多発性骨髄腫、後者は急性白血病などで行われます。
同種移植では、健康なドナーさんから造血幹細胞を採取し移植します。血液型や性別などは関係なく移植出来ますが、白血球の血液型であるH L Aが合致するドナーさんを確保することが必要です。H L Aは兄弟姉妹間では1/4の確率で合致します。兄弟姉妹でドナーさんがいなければ、骨髄バンクや臍帯血バンクでドナーさんを探します。
移植をするための移植ソース(移植源)には骨髄、末梢血、臍帯血があり、ドナーさんの有無や病気、患者さんの状態などを踏まえて選択しています。

骨髄移植(B M T)

手術室で全身麻酔をかけて腸骨(骨盤)に針を刺し、約1リットルの骨髄液を吸引します。この骨髄液を点滴で投与すると造血幹細胞が骨髄に辿り着き、造血をするようになります。骨髄バンクの移植ではこの方法を選択することが多いです。

末梢血幹細胞移植(P B S C T)

通常、血液(末梢血)中には造血幹細胞は存在しませんが、G―C S F製剤という注射をすることで成分採血の原理で造血幹細胞を採取でき、約200mlを移植します。麻酔を必要とせず、他の移植よりも造血の回復が速やかというメリットがある反面、移植後の移植片対宿主病(G V H D)が多いというデメリットがあります。当院の血縁者間(兄弟姉妹、親子間)の移植ではこれが選択されることが増えています。自家移植は原則、末梢血幹細胞移植を行います。

臍帯血移植(C B T)

移植ってどんな治療?

臍帯血(へその緒の中の血液)にも造血幹細胞が含まれることが知られており、これを用いて移植を行うことができます。移植する量としては30ml程度です。臍帯血移植のメリットはドナーさんの負担がないこと、G V H Dが少ないこと、迅速にコーディネートできることなどが挙げられますが、一方で感染症の合併が多いことや生着不全(移植したのに造血ができないこと)が他の移植に比べて多いというデメリットがあります。また臍帯血中の造血幹細胞は他の移植に比べて少ないため体格の大きい方では臍帯血を選択することが難しいです。

当院での移植

移植ってどんな治療?

当院ではこれまで200件以上の同種移植を行っています。全国的にも移植の成績は向上してきており、移植関連死亡(再発によらない移植合併症での死亡)は、20年前は30%であったのに対し最近では15%程度まで減ってきています。また、移植前処置を工夫することで高齢者での移植も可能になりつつあり、当院では全身状態や合併症などを踏まえて可能と判断した場合には70歳くらいまでの方に対しても移植を行っています。
ここ数年、国内外でH L A半合致移植(ハプロ移植)が多く行われるようになってきました。従来、移植はH L Aをほぼ全て適合したドナーさんで行うことが必須でしたが、H L A
が半分合致する親子間などでの移植も免疫抑制剤を工夫することで可能となり、当院でもハプロ移植を積極的に行っています。

現在、静岡県中部地区の血液内科では、日本造血・免疫細胞治療学会認定カテゴリー1施設は当院のみです。
そのため当院では移植の必要な患者さんに関して、静岡市立静岡病院や島田市立総合医療センター、静岡済生会総合病院などと連携して治療を行っています。
移植は発展途上の治療方法で移植の成績はまだまだ満足できるものではありません。当院ではスタッフそれぞれが日々技術や知識の向上を図りつつ、医師・看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士・検査技師・歯科衛生士などがカンファレンスを開き、一丸となって治療にあたっています。