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腎臓をお大事に!

最終更新日:2015年10月27日

腎臓をお大事に!

循環器科(腎臓内科)医長 森 典子

健康診断で「血尿」とか「蛋白尿」とかの異常を指摘されても、特に何の自覚症状も無いあなたは一体どういう反応を示しますか。

尿はあなたの飲み食いしたものと身体の代謝の総決算みたいなものです。腎臓は、常に身体の中のバランスを整えるべく、身体にとって不要なもののみが出すべき量だけ含まれ、身体にとって捨てては困るものは入っていないような尿を作っているのです。このために、腎臓には心臓から全身に送られる血液の20%もの血液が常時流れ、瞬時瞬時の身体の中の状況が把握され、それに応じた尿が出来るのです。

腎臓の働きが不十分な状態を腎不全と呼び、その極期を尿毒症と言います。尿毒症はまさにその言葉どおり、尿に出すべき毒素が身体に蔓延した状態のことです。吐気、嘔吐、貧血、動悸、息切れ、むくみ、呼吸困難、意識障害など多彩な症状が規れます。ところが、いよいよ透析が必要となるくらいに悪くなるまで、症状を自覚しないことが多いのです。腎臓は生きていく上でとても大事な臓器ですから、十分な余裕を持った構造に作られていて、多少ダメになったくらいでは(二つのうちの一つを失っても)全く支障無く暮らせるからです。さらに機能の低下の速度がゆっくりの場合は、腎機能が残り一割くらいになるまで「最近疲れっぽい」とか「顔色が冴えない」という訴え程度で暮らせてしまうのです。

ですから、腎臓病の早期発見には健康診断の検尿が欠かせないのです。

こぼれては困る血液が尿に混じったものが「尿潜血」、本当は身体の栄養となるべき蛋白質やブドウ糖が漏れ出てしまったものが「尿糖」や「尿蛋白」として検出されるのですから、いずれの場合も身体にとって好ましくない状態の兆しと考えて過言ではありません。腎臓だけの病気に限らず、糖尿病や膠原病などの全身性の病気の発見につながることもしばしばです。健診での尿異常は、真摯に警鐘と受けとめて受診されることをお奨めします。

幸い、腎不全となってしまっても我が国には人工透析の医療サービスが完備しており、腎不全、即、死では無くなつています。現に16~17万人余りの患者さんが透析を命の綱としています。我が国の腎不全に関する医療は世界に冠たるもので、腎不全患者さんの生命予後が欧米各国に比べて抜群に良いばかりか、多くの患者さんが週三回の透析に通ったり、毎日毎日自分の手で腹膜透析をしながらも社会で活躍されています。

しかし、どんなに優れた人工透析も、神様が造って下さった腎臓にはとてもとてもかなうものではなく、性能的にも本物の腎臓の一割に足らない程度でしかないのです。このために、一見元気そうに見える人工透析患者さん達も、食事や生活の厳しい制限を強いられているにもかかわらず、関節が痛んだり、骨がもろくなったり、繰り返す心不全で呼吸困難になったり、感染に弱かったり、睡眠障害のために昼間の集中力に欠けたり、諸処の症状に悩まされています。

そこで、より元気になるために献腎移植を待ち望む訳です。去る平成9年10月16日に臓器移植に関する法律が施行され、移植に関する国民の意識も少しずつ喚起されつつあります。臓器提供に関する意思表示カードも普及しつつあります。奉仕の精神に基づく臓器提供により、まさに死と直面している複数の患者さんの運命が変わるのです。皆様も臓器不全に悩む患者さんの苦悩を少しでも理解していただき、意思表示カードに提供の賛否を明記していただければと思います。
最後に、くれぐれもあなたの大切な腎臓をお大事にして下さい。

臓器提供意思表示カード