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腎臓内科:診察Q&A

最終更新日:2017年6月2日

※問2~問7は、静岡新聞の診療室に掲載されたもので、本院の医師が回答したものです。


問1 たばこは腎臓にも害がありますか

答:あります。たばこは腎臓の機能が悪化するスピードを早めてしまいます

たばこは様々なメカニズムによって腎臓に悪影響を与えることが知られています。

  1. 煙の中の物質により直接腎臓が障害される
  2. 喫煙によって高血圧となり、高血圧が腎臓に悪影響を与える
  3. 喫煙は腎臓を栄養する血液の量を低下させ、腎臓の栄養不足により腎臓が障害される

実際に喫煙者の方が非喫煙者と比べて腎臓の機能が悪化するスピードを早めてしまうことが知られています。我々日本人においても、喫煙自体が慢性腎臓病のリスクになることが示されています。さらには、喫煙はある種の高血圧治療薬の効果を弱めてしまう働きもあります。
上記より、当科外来では皆様に禁煙を行って頂くようお話しております。腎臓を守る「治療」として、禁煙をお願い致します。

問2 健診で尿潜血陽性の診断

45歳の女性。4年前から健診で尿潜血が陽性と診断されます。3年続けて+、2+、+でしたが、一昨年は-、今年はまた+でした。排尿に関しても無症状です。このままほおっておいて大丈夫ですか。

答:腫瘍や腎炎の可能性含め精査

血尿とは尿が腎(じん)臓で作られてから尿道から排せつされるまでのどこかで、血液が混じってしまった尿です。正常の尿は血液は混じっていませんので、血尿が出るということはどこかに異常があるということになります。血尿の原因として挙げられるのは、結石症や腫瘍(しゅよう)(悪性、良性)などの尿が流れる過程の異常(泌尿器科疾患)と、腎炎・腎症など尿を作る過程での異常(腎臓内科的疾患)があります。尿に混じった血液などの量と形を観察しますと、異常の場所がおおよそ見当がつきますので、病院や医院ではまず顕微鏡的に尿を診る尿沈渣(にょうちんさ)を行います。そして手軽な超音波断層やレントゲンで腎臓や尿管、膀胱(ぼうこう)に異常が無いかどうかを調べます。怪しいと思われますと尿中の悪性細胞を診るため尿細胞診をしたり、CTやMRIを撮って詳しく調べます。また、腎臓内科的疾患が疑われる場合は腎臓の働きが鈍っていないかどうか、腎臓を傷めるような全身的な病気が無いかどうかを併せて調べます。血尿で気がつく病気の中には、早めに対処したほうがいい疾患が含まれていますので、血尿と診断されましたら、かかりつけ医に相談の上、腎臓内科もしくは泌尿器科を受診することをお勧めします。

問3 尿潜血陽性、自覚症状なく心配

73歳の女性。健康診断の尿検査をしたところ、潜血陽性でぼうこうの方から、とのことでした。自覚症状がないため心配です。

答:正確に中間尿を検査して…

特に自覚症状もない尿潜血陽性が健康診断の検尿で指摘されたとのことですが、目に見えるほどの血尿ではなかったものとしてご説明いたします。尿潜血は慢性腎(じん)炎や全身疾患由来の腎疾患(膠原=こうげん=病、動脈硬化、糖尿病など)でも見られるほか、尿が流れ出る経路の途中で混じる微量の血液でも陽性となります。すなわち腎臓だけでなく、尿管やぼうこう、尿道さらに外陰部の病変による血尿のこともあり、しかも直接の原因が石や腫瘍(しゅよう)や炎症など、多岐にわたっています。そのせいか60歳以上の女性では5.8%で尿潜血陽性ですが、特に性器からの分泌物の混入があるため、正確に中間尿を検査しないと意味がありません。今一度尿の採取方法を確認しましょう。正確に採取した尿の潜血が陽性である場合は、一般的にその程度(頻度と量)をみながら尿潜血を来している病変の特定をするために、採血、尿沈査(尿の中にある細胞などの固形成分を遠心分離して顕微鏡で見る検査)、腹部超音波断層検査などをルーティンに行いますが、状況に応じてレントゲン、CT、尿の細胞診等を追加します。また、ぼうこう腫瘍など疑う場合はぼうこう鏡も早急に行います。
本例のような無症候性の顕微鏡的血尿の場合でも約20%に腎臓の疾患が、約16%に泌尿器科的疾患が見られます。良性、悪性の腫瘍の頻度は1.2%と少ないのですが、主治医と相談されるがよろしいかと存じます。

問4 健診で微量の尿潜血

41歳の女性。健診で尿潜血と言われ検査したところ、潜血2+、沈渣・赤血球1-2/HPFといわれました。しかし、顕微鏡で見ても赤血球は見当たらず、心配ないといわれました。ならば潜血2+とはどういうことなのでしょうか。

答:原因同定しにくいこと多い…

一般的に尿潜血陽性は血尿があると考え、血尿をきたす腎尿管などの結石、悪性や良性の腫瘍、炎症による「ただれ」など泌尿器科的な病気のほか、慢性急性の腎炎、出血傾向、膠原病などの全身疾患などを疑って検査を進めます。尿潜血は赤血球の中のヘモグロビンという赤い色素が持つ性質を利用して検出するのですが、必ずしも尿中に赤血球が存在しなくても陽性になることもあります。そこでまずは尿沈渣で赤血球の存在と数と形を顕微鏡で観察します。ついでにそのほかの異常なものが尿に混じっていないかどうかも見て、疾患の存在を憶測します。尿潜血反応は、腎炎の初期に見られるようなわずかな血尿も見逃さないために非常に鋭敏な検査としているため、この方のように沈渣では1-2/HPF(顕微鏡の四百倍の視野に1、2個)というごくわずかな血尿でも尿潜血は陽性となります。このようなわずかな血尿は原因が同定しにくいことが多く、大まかに原因となりそうな疾患の有無を調べ、それでもはっきりしなければ、腎臓の働きがよければ良しとします。
しかし大事なのは、1回大丈夫といわれただけでその翌年からも過信してしまわないことです。中には徐々に病気が進行していても過信のあまり、尿毒症とか進行がんとなるまで来院されない方もいらっしゃいます。毎年の検診結果は謙虚に受け止め、その都度来院していただきたいです。

問5 多発性囊胞腎は軽い運動も駄目?

63歳の男性。多発性囊胞腎と診断され、母も妹も同じ病気です。母は65歳から人工透析を受け、私もいずれそうなるといわれました。この病気は遺伝といわれていますが、子供たちには出ていません。重労働は駄目だといわれましたが、軽い運動も控えた方がいいでしょうか。

答:ストレッチやウォーキングはお勧め…

囊胞腎とは腎臓の尿を作る部分に小さい袋が数限りなくできる病気で、その中に液体がたまって大きくなることにより尿を作る部分が圧排されて、だんだんに腎臓の働きが低下する先天性の疾患です。専門的ですが、常染色体優性の遺伝であることがほとんどです。一人ひとりの子供に遺伝する確率は50%となります。したがって一人も遺伝しないこともあれば、子供全部に遺伝することもあるのです。囊胞は大きくなると腎臓全体が膨らんできて、おなかが張って邪魔なだけではなく、外力によって破裂したり、出血したり、正常に機能している部分の尿の流れを妨げたり、また、たまった液に感染を起こしやすくなります。また、中には脳動脈瘤になりやすい家系もありますので、心当たりがある場合は脳神経外科などの受診をお勧めします。
胃機能が悪くなるスピードと程度は人それぞれですが、同じ家系の中では似たような経過をとる場合が多いように思います。平均しますと60歳までに透析を受けるようになる確率は約45%と言われています。腎不全への進行は遺伝子のみによって決まるのではなく、高血圧、囊胞(ふくろ)の中への感染、尿の流れ出る経路の閉塞などの合併の有無によって決まります。したがって、腎機能を長持ちさせる秘訣は、血圧をしっかりとコントロールし、おなかをぶつけるような運動や仕事を避け、多めの水分を取り、多めの尿を出しておくことです。また運動はストレッチやウオーキングなどの軽い運動はむしろお勧めします。

問6 心雑音あるといわれ検査では異常なし

28歳の女性です。心雑音があるといわれ、心電図、エコー、レントゲン検査をしましたが、異常ありませんでした。原因は?日常生活で気を付けることは?妊娠中毒症になってからいまだに血圧が上150、下90と高めで、心拍数も100と多めです。

答:高血圧の治療含め医師に相談…

心雑音は血液の乱流が生じた時に生じます。川はゆっくり流れている時にはあまり音がしませんが、速く流れると大きな音がしますね。心雑音も同じで、心臓の弁の病気や先天的に心臓の構造に異常がある場合と、心臓自体には病気がないが活発に大血管に血液を送り出している場合に生じます(若い人によくある)。
あなたの場合、心エコー図などで異常がなかったのですから後者にあたると考えます。従って心雑音自体はあまり気にすることはありませんが、やはりあなたの血圧と脈拍数はやや高めです。あなたの年齢なら血圧は上が120-130、下は80-85日以下、脈拍数は毎分60-80日回です。高血圧の原因ですが妊娠中毒症を経験されていますので、いわゆる本態性高血圧が早期に現れた可能性が高いと考えます。ご両親などの肉親に高血圧の方はおられないでしょうか?可能性は低いですが甲状腺などの内分泌系の病気や軽い腎障害の影響も考えておく必要があると思います。なお高血圧の治療ですが原因によりますが、すぐに薬をのむのではなく、塩分制限や運動療法や生活習慣の改善も非常に大切です。いずれにしろかかりつけ医にご相談されることをお勧めします。

問7 尿素窒素値を正常にしたい

76歳の男性。2年前から腎疾患で服薬中ですが、検査で尿素窒素値が33.1でした。正常に戻す方法は

答:タンパク質減らし水分多めに…

腎疾患についての血液検査データとして主なものは尿素窒素、クレアチニン、尿酸です。正常値は私どもの病院では、それぞれ8~22mg/dl、0.5~1.1mg/dl、3.7~7.9(男性)mg/dlです。
いずれも腎臓の尿を作る働きが落ちると上昇するデータです。特にクレアチニンは、筋肉量によって多めの人と少なめの人がいますが、時間とともに上がることは腎機能の低下を意味します。しかし、尿酸や尿素窒素は腎機能以外の要因でも上がることがよくあります。なかでも、尿素窒素は大量のタンパク質を食べた時、逆に長期にわたって食事量が十分取れないとき、長期の炎症があるとき、脱水、胃や腸に出血があるときなど、大幅に上昇します。ですから、尿素窒素はその時々によってかなり上下しますので、1回の値のみで腎機能を判断しないほうがいいでしょう。もっとも、持続的に30以上では軽度の腎機能低下があると思います。
尿素窒素を下げるためにはまずは上がっている原因を調べ、特に原因がはっきりしなければ、食事中のタンパク質を減らして、心臓に異常がないといわれている方は水分を多めに取っていただければと思います。
その他分からないことがあったら、積極的に主治医に相談しましょう。