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脳血管内治療について

最終更新日:2020年7月2日
脳血管内治療とは、血管の中に細いカテーテルを挿入し、脳動脈瘤や脳血管狭窄などの治療を行うことです。従来であれば頭を開ける開頭術などが必要でしたが、ここ20年ほどで脳血管内治療は急速に発展しており、頭を開けることなく治療が可能になっています。当院でも積極的にこの治療法を行なっており、ここ数年で治療件数が倍以上に増えています。

治療対象となる疾患には以下のようなものがあります。

脳動脈瘤

破裂によりくも膜下出血の原因になるものですが、カテーテルを脳動脈瘤内に誘導しコイルという金属を瘤内に留置することで破裂の予防をします。動脈瘤の描出を無くすことで破裂の予防が可能です(下図)。
手技を確実にするため、ステントというメッシュ状の筒を補助で使用することがあります。

脳動脈瘤

治療前

脳動脈瘤

治療後

内頚動脈狭窄症

動脈の内部にプラークという脂の塊が貯まることで血管が細くなる病気です。脳梗塞の原因となります。ある程度のものであれば内服薬のみで脳梗塞予防が可能になってきていますが、重度のものでは外科的な治療が必要になります。
血管内治療では、狭窄部位にステントを留置することで狭窄した血管を広げることが可能です(下図)。

内頚動脈狭窄症

治療前

内頚動脈狭窄症

治療後

脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻

脳動脈と静脈が異常に結合した疾患です。脳出血などの原因となるため、外科治療が必要な場合もあります。
脳動静脈奇形は外科摘出が基本になりますが、術前に血管を閉塞させることで手術をやりやすくする方法をとる場合があります。硬膜動静脈瘻は血管内治療で行うことがほとんどです。
脳動静脈奇形や一部の硬膜動静脈瘻で使用するOnyxという塞栓物質があります。本邦では術者限定で使用可能ですが、当院では使用可能になっています。

脳腫瘍

脳腫瘍の手術前に、術中の出血を抑えるため、腫瘍を栄養している血管にカテーテルを誘導し、専用の塞栓物質を注入することがあります。

脳主幹動脈急性閉塞

脳血管のうちで太い血管が閉塞した場合、広範な脳梗塞となり極めて危険な状態になります。これまでは薬剤治療しかなく、思うような効果はありませんでしたが、近年ではカテーテルによる血栓回収療法が登場し、非常に良好な結果が得られています。血管を閉塞させている血栓を専用の器械で取り除き、血管を再開通させる治療法です。
ただ再開通させるだけではなく、1分1秒でも早く再開通をさせる必要があります。院内体制を整備し、少しでも早く再開通させる準備を整えています。

以上のような疾患に対しては、当院では血管内治療でも対応可能です。
身体に負担の無い低侵襲な治療法ですが、100%安全な治療法ではありません。治療の利点と欠点、その他の治療法などを十分に説明した上で、方針を決定します。

静岡県立総合病院 脳神経外科
新井大輔