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当院をご利用される方

ヘルニア外来

最終更新日:2025年4月18日

1. そけい部ヘルニアとは

股関節の上あたり(足の付け根)をそけい部(鼠径部)といます。そけい部ヘルニアは、一般的に「脱腸(だっちょう)」とも呼ばれる病気で、お腹の中の腸などの臓器が、本来あるべき腹腔(ふくくう)という空間から飛び出してしまう状態のことを指します。特に、足の付け根(そけい部)の筋肉の隙間から飛び出すものを「そけい部ヘルニア」といいます。
原因として、加齢(筋肉が弱くなるため)、男性(解剖、発生上の理由)、重いものを持つことが多い方(腹圧がかかるため)などがあり、腹圧が過度にかかるスポーツ選手にもよく発症することが知られている、誰にでも起こりうる病気です。

2. そけい部ヘルニアの分類

1) 外そけいヘルニア
男性の場合には精管や精巣動静脈、女性の場合には子宮を支える靱帯が腹壁を貫通する部分にそけい管と呼ばれる腹壁の穴があります。通常は腹壁の筋肉によりその穴は閉じていますが、高齢者の外そけいヘルニアでは筋力の低下に伴いそけい管を通って腹腔内臓器(小腸など)が脱出します。若年者の外そけいヘルニアは、小児ヘルニアと同様に腹膜鞘状突起(胎生期に睾丸が腹腔内から陰嚢に移動する際に引き込まれた腹膜)の遺残が原因であることが多いです。

2) 内そけいヘルニア
内そけい輪(そけい管の腹腔内開口部)の内側の腹壁の筋肉の脆弱部から腹腔内臓器(小腸など)が脱出します。高齢者に多くみられます。

3) 大腿ヘルニア
鼠経靱帯の背側にある大腿輪と呼ばれる血管の通り道を通って腹腔内臓器(小腸など)が突出します。中年以降の女性に多く見られ、嵌頓(かんとん)のリスクが高く注意が必要です。

4) 併存型ヘルニア
上記2種類以上のヘルニアが合併した病態です。

鼠径ヘルニア

鼠径部ヘルニアの種類

3.そけい部ヘルニアの症状

1) そけい部の膨隆
脱出した腸管などを皮膚越しに触知します。

2) 下腹部不快感
膨隆がない状況でも不快感があることもあります。

3) そけい部や腹部の疼痛
腹腔内臓器が脱出した際に生じます。臥床しそけい部を圧迫することにより臓器内臓器を還納できれば改善します。

4) 嵌頓(かんとん)
脱出した臓器が元に戻らなくなった状態を指します。腸閉塞や腸管の血流障害による腸管壊死、腹膜炎を起こすことがあります。稀ですが重篤な状態です。そけい部の膨隆や疼痛、腹痛、嘔吐などを来します。臥床しそけい部を圧迫しても還納できない場合は、速やかに医療機関を受診してください。

鼠径ヘルニア

4.治療法

嵌頓せず、不快感や疼痛が我慢できるようなら経過観察も可能です。ただ、自然軽快することはなく、徐々に増大するため、仕事などの都合が良いときに手術を行うことをお勧めします。臥床し用手圧迫しても膨隆が戻らず、強い痛みのある際には嵌頓の可能性が高いため、速やかに受診をしてください。

当院では主に、腹腔鏡下そけいヘルニア根治術(TAPP)やそけい部切開法(リヒテンシュタイン法)でのメッシュを留置する再発率の低い手術を行っています。嵌頓状態における緊急手術においては、メッシュを用いない自家組織のみによる修復法(McVay法など)や、初めに嵌頓解除術のみを施行し、二期的にメッシュを用いた根治手術を行います。


当院で施行している主なヘルニア根治術の術式

鼠径ヘルニア

5.治療日程

1) 術前(通常外来受診1-2回)
外来にて、問診、診察、腹部超音波検査、血液検査、尿検査、胸部腹部レントゲン検査、心電図検査(場合によっては呼吸機能検査)を行い、そけい部ヘルニアの診断、手術に問題となるような併存症の検査を行います。手術施行に際し特に問題がなく、ヘルニア手術を希望されるようでしたら、手術について説明させていただき、入院の手続きを行います。

2) 入院(手術前日または手術当日)
基本的に手術翌日に退院可能です。ある程度の創部痛がありますので、内服の鎮痛剤を処方いたします。

3) 術後
ランニング程度の運動は可能ですが、術後3週間10kgの以上のものを持つなど腹圧のかかることは避けることをお勧めします。その他の制限はなく、入浴も退院日から可能です。術後1ヶ月目に外来を受診していただきます。特に問題がなければ、外来は1-2回で終了です。

6.問い合わせ先

静岡県立総合病院 (代表)054-247-6111
平日日中 消化器外科外来
休日・時間外 救急外来

手術説明動画



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