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食道癌に対するロボット手術

最終更新日:2019年2月14日

「当院におけるロボット支援下食道亜全摘術」

「当院におけるロボット支援下食道亜全摘術」

食道癌と診断された患者さんには、検査の結果により、手術、化学療法、(化学)放射線療法、内視鏡治療の中から適切な治療法を検討、提案します。

手術が必要と判断された場合には病変の部位や進行度により適切な術式を検討しますが、多くの場合に開胸手術を必要とします。従来の方法では右側の胸部、腹部、頸部を大きく切開する必要があり、体の負担が非常に大きい手術となります。そのために近年では大きな切開の代わりに右胸の小さな傷からカメラと道具を入れて行う胸腔鏡下手術が行われることが多くなってきました。
胸腔鏡下手術の利点として、従来の手術より術後の創(きず)の痛みが軽減されること、カメラで拡大視することで精緻な手術ができること、美容上の美しさ、などが挙げられます。しかし手術の難易度が高いため、手技に習熟を要します。当院では2011年より胸腔鏡下食道亜全摘術を導入しており、現在では食道癌患者さんの多くが胸腔鏡下手術を受けています。

今回、2018年の4月より食道癌に対して新しい方法であるロボット支援下手術が保険適応になりました。
ロボット支援による食道亜全摘術は、これまでの胸腔鏡下手術に比べてより繊細で、正確な手術を行うことができると考えられています。胸腔鏡下手術では右胸に開けた小さい穴から手術器具を差し込んで手術をしますが、手術器具はまっすぐですから胸の中で曲げることができません。ロボットには関節が付いているので、胸の中でも手術器具を自由に曲げることができます。そのためにこれまでの胸腔鏡下手術では不可能であった複雑な操作を容易に行うことができます。また人間はいわゆる「手ぶれ」をしますが、ロボットには操作する医師の手ぶれを補正する機能が付いています。一般に胸腔鏡下手術は二次元の画面を見て操作することが多いですが、ロボットの操縦席モニターには高画質・高倍率の3D画像が映し出されます。そのために通常の胸腔鏡下手術よりも精度の高い動きが可能となり、合併症の軽減、出血量の減少等が期待できます。創の大きさや数は通常の胸腔鏡下手術とほとんど変わりありません。

当院では、食道癌に対するロボット手術を2018年10月から開始しました。ロボット食道亜全摘術は日本や海外の報告で、通常の胸腔鏡下手術よりも合併症を減らす可能性があることが示されています。しかし、ロボット手術の有用性についてはまだわかっていないこともあります。

治療の詳細に関する説明をご希望の方は担当医にお聞きください。

静岡県立総合病院 消化器外科

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