グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



診療科
ホーム  > 診療科  > 心臓血管外科  > ハイブリッド手術

ハイブリッド手術

最終更新日:2018年11月21日

ハイブリッド手術室の特徴

ハイブリッド手術は大きく2つの特徴があります。

低侵襲

  1. 体力的に手術治療が不可能な患者
  2. リスクの高い患者(高齢者、腎障害、呼吸障害など)

精密・高難度

  1. 手術のみでは到達困難な部位にカテーテルでアプローチ
  2. カテーテルのみでは治療できない病変に対しても手術を同時に行うことで治療可能

治療対象

1. 胸部大動脈瘤や腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療
2. 閉塞性動脈硬化症に対するバイパスとバルーン拡張の同時施行
3. 大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術

手術室+カテーテル検査室

手術室カテーテル検査室
  • 高度に清潔な構造
  • 高高度な空調
  • 透視可能で、大きく動く片支持手術台
  • 照明(無影燈)
  • 高画質な透視装置
  • 3D画像(ハイスペック・コンピュータ)
  • 放射線遮蔽

具体的には、ハイブリッド手術室は手術室に最先端のカテーテル検査室の機能を持たせたものと言えます。
手術室には、高度に清潔がたもてる建築構造 100万分の1以下にごみを除去できる空調施設、天井からぶら下がった百キロ以上もある無影燈が必要です。カテーテル検査室としてX線透過性で大きく動く片支持の手術台、高画質で、CTや3D画像も構築できるハイスペックコンピュータを備えた透視装置と画像解析装置、部屋全体の放射線遮蔽のため鉛で包まれた構造が必要です。

TAVI:経カテーテル的大動脈弁置換術の取組み

TAVIとは

大動脈弁狭窄症に対して、カテーテルを用いた手法で大動脈弁植込術を行うことを指します。これまで、大動脈弁疾患の治療は、胸骨正中切開(胸の真ん中を約30センチ切開し、胸骨を縦切り)し人工心肺装置を装着したうえ、心臓を停止させ、狭窄弁を新しい人工弁に置換していました。外科手術での人工弁置換は、現在でも標準的な治療方法ですが、高齢、再手術、ステロイド内服、低栄養など、侵襲性の高い手術をうけるには、リスクが高い患者様も実際にはおられます。これまで治療をあきらめなければならなかった患者様でも、カテーテルで弁を治療するTAVIが可能となった今、国内では大きな広がりをみせています。

TAVIは、カテーテルに装填された人工弁を、狭窄して機能不全におちいった自己弁の上に拡張し留置します。当院では、風船拡張の手法で留置する人工弁と形状記憶の特性を生かした自己拡張能を有する人工弁の2種類を用いています。鼡径部の大腿動脈から挿入する経大腿動脈アプローチ法、胸の皮膚の小さな切開から心臓の先の心尖部の動きの少ない部位に挿入する経心尖部アプローチ法、他に鎖骨下動脈や胸部大動脈を経由したアプローチ法が、事前にえられた画像情報により、ハートチームにおける検討のもと、適正に選択されます。

バルーン拡張型人工弁

バルーン拡張型人工弁

自己拡張型人工弁

自己拡張型人工弁

高精細なイメージングモダリティを総合した評価

当院では、安全性の高い治療を提供するために、CTやエコーによる精細な画像解析と検討を行っています。

当院では、安全性の高い治療を提供するために、CTやエコーによる精細な画像解析と検討を行っています。

心臓CT:TAVIを行う際、アプローチ可能な部位を評価します。胸部から骨盤までの大動脈の性状や蛇行の有無、心臓の位置と胸郭の関係を明瞭化することが可能です。また、詳細に大動脈弁の石灰化分布や弁輪サイズを計測し、人工弁の至適なサイズを判断します。

心エコー

心エコー:大動脈弁狭窄症は、弁口面積や通過血流速度などの精密な計測が必須です。最初に、経胸壁心エコー検査を行い重症度を判定します。

手術中の経食道心エコーにより、合併症発生がないかモニタリングを常に行い、大動脈弁と周囲の詳細な評価をすることで、重篤なトラブルを回避し最小限にすることを目標に取組んでいます。

心エコー

3Dエコーにより、手術中の解析から、適正なステントサイズ選択を検証したり、リアルタイムでの形態評価を行うことが可能です。

カテーテル的な人工弁留置の実際

【1】バルーン拡張型人工弁:(1)風船カテーテルの上にかしめた人工弁を弁輪部に配置し、(2)風船を拡張して留置したうえ、(3)風船を縮小させ、回収します。

カテーテル的な人工弁留置の実際

【2】自己拡張型人工弁:(1)カテーテル内に小さく収納した人工弁を弁輪部に配置し、(2)緩徐な展開により、(3)適正な位置に拡張留置します。

自己拡張型人工弁

外科手術で植込まれた生体弁へのTAVIが可能に

大動脈弁閉鎖不全や大動脈弁狭窄症の治療のために、外科手術で生体弁を置換した場合、その耐久性は10~20年とされています。石灰化や硬化により生体弁が狭窄したり、摩耗や変性により閉鎖不全を生じると、人工弁が働きをなさなくなり、胸痛や息切れ、むくみ、失神などの症状を呈することがあります。この状態は、人工弁機能不全と呼ばれ、高度になると、再び弁置換術が必要となります。
一般に、外科的弁置換術を検討されますが、高齢化したり、体力虚弱などが伴うと、再手術の負担が軽視できません。このような場合に、TAVIが応用されるようになってきました。カテーテルを用いて、すでに植え込まれている生体弁の中に、新しい生体弁を植込む治療法は、すでに導入されている国々では革新的な成果をあげています。
日本国内では、この7月から保険償還される見通しとなり、静岡県でも、この治療を受けていただくことが可能となります。

生体弁を折りたたみ収納されたカテーテルを大動脈まで送り込み、すでに植え込まれている外科生体弁の内側で新しい生体弁をゆっくりと展開させ留置します。

生体弁を折りたたみ収納されたカテーテルを大動脈まで送り込み、すでに植え込まれている外科生体弁の内側で新しい生体弁をゆっくりと展開させ留置します。

静岡県立総合病院のTAVI診療実績 (2015年12月~2018年6月)

超高齢者が、術後1日目でICUを退室し歩行訓練を開始、術後7-10日で在宅復帰します。
入院時に高度虚弱であった場合は、治療後、転院され、リハビリ継続をされています。
患者数117例 (男性32例、女性85例)
平均年齢85歳 (71~97歳)
ICU滞在日数 2日(中央値,2~12日)
自宅退院率自宅退院99例(85%)、リハビリ病院や介護施設等へ転院など18例(15%)
認知機能(MMSE)24(中央値、30点満点で21点以下で認知機能低下)
5m歩行6.9秒(6~7秒以上:虚弱陽性、術前歩行困難例除く)
握力18.5kg(平均値)
ADL(Katz Index)6点(中央値、6点満点、4点は中等度虚弱、2点以下は重度虚弱)
CSHA4(中央値)
その他術後30日までの死亡率0.9%
術後恒久的ペースメーカー植込み率8.5%

経皮的僧帽弁接合不全修復術

僧帽弁閉鎖不全症とは

心臓の構造のなかで、左房と左室の間にある膜状の構造を僧帽弁といいます。僧帽弁の働きで左房から左室に送り出された血液は、左室が収縮した際、一方向性に大動脈へ向かい全身に循環します。しかし、僧帽弁に連なる腱が切れたり、左室や左房が過度に大きくなったりすると、僧帽弁がうまく閉じなくなることがあり、逆流が生じます。その量が増えると、息切れ、むくみといった心不全症状や心房細動という不整脈を呈することがあります。このような病状を僧帽弁閉鎖不全症と呼び、高度になると、薬剤治療は功を奏さず、僧帽弁の修復術や人工弁への置き換えが必要となります。

正常の僧帽弁

正常の僧帽弁

高度の僧帽弁閉鎖不全症

高度の僧帽弁閉鎖不全症

カテーテル手法により僧帽弁逆流を軽減する治療

重症僧帽弁閉鎖不全症に対する治療は、まず外科的に自己弁を修復したり人工弁置換術が可能か、検討されます。外科手術による僧帽弁修復術や弁置換術は、中長期的な治療成績がよく、標準的な治療法です。半面、手術による侵襲や負担が伴います。
しかし、高齢、心機能低下、透析、すでにバイパス術をうけたことがあるなど、外科手術のリスクが大きい場合には、カテーテルによる僧帽弁へのアプローチで修復を試みる治療が応用されるようになりました。
経皮的僧帽弁接合不全修復術は、完全な修復や根治はできないながらも、経大腿静脈アプローチによる侵襲性の低いカテーテル法で、僧帽弁閉鎖不全による逆流を軽減することにより、心不全症状の改善や生活レベルの向上を得ることを目指します。

カテーテルを経由し、左房に持ち込んだクリップを僧帽弁の下(左室側)に差し込み、うまく閉鎖できない弁尖をクリップでとめる手法

カテーテルを経由し、左房に持ち込んだクリップを僧帽弁の下(左室側)に差し込み、うまく閉鎖できない弁尖をクリップでとめる手法です。

日本国内では、この4月から保険償還され、10月からは当院でも、この治療を受けていただくことが可能となりました。

お問合せ

TAVIならびに経皮的僧帽弁接合不全修復術が適応される患者様は、原則として外科手術をうけるにはリスクが高い場合に限定されています。 また、安全に提供させていただくための、適応基準も検討されます。治療に関するご相談、ご質問につきましては、かかりつけの先生と相談の上、お問合せください。
●ご予約・ご相談は
循環器外来のご予約(病診連携室)
Tel 054-200-6270 Fax 054-200-6271 (受付時間 平日8時30分~17時00分)

症例のご相談は代表電話で「循環器センター」へ
Tel 054-247-6111 (循環器内科・心臓血管外科外来受付時間 平日8時30分~17時00分)

ステント・グラフト治療の原理

ステント・グラフと治療

ステントグラフトは、折りたたんだ人工血管を、カテーテルという管を使って血管内に挿入し、傘のように開いて一瞬で人工血管置換術に相当することを行う手技です。

大動脈瘤の3D-CT画像

大動脈瘤の3D-CT画像01

大動脈瘤の3D-CT画像02

術前のCT写真と手術中の透視画像が合成できる

術前の3次元CT画像を、手術中の2次元透視画像に合成し、患者さまの体を移動させても追従できる機能が素晴らしい。

TAVI手術の様子

TAVI

TAVI

TAVI

TAVI

より良い治療を考える

ロダン 考える人

地獄の門のうえで、苦行の人々を真剣に見つめる
全身に力をため、時に詩人の如き美意識すら持ち、正面から、この先を考える

御存じ、県立美術館所蔵の、ロダンの考える人です。地獄の門の正面に据えられ、単品としては詩人という名で公開されました。
長年の願いであった、ハイブリッド手術室が完成し、我々の治療手段は大きく前進しました。しかし、これに満足せず、我々はさらに力をため技を極め、患者さんを想い、次なるより良い治療を考えます。