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ハイブリッド手術

最終更新日:2017年9月1日

最良の治療を

~最先端の技術(テクニック)と科学(テクノロジー)の融合~
ハイブリッド手術室は最良の治療を行うために、最先端の技術と科学の融合を持って、設計された手術室です。


ハイブリッド手術室の特徴

ハイブリッド手術は大きく2つの特徴があります。

低侵襲

  1. 体力的に手術治療が不可能な患者
  2. リスクの高い患者(高齢者、腎障害、呼吸障害など)

精密・高難度

  1. 手術のみでは到達困難な部位にカテーテルでアプローチ
  2. カテーテルのみでは治療できない病変に対しても手術を同時に行うことで治療可能

治療対象

1. 胸部大動脈瘤や腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療
2. 閉塞性動脈硬化症に対するバイパスとバルーン拡張の同時施行
3. 大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術

手術室+カテーテル検査室

手術室カテーテル検査室
  • 高度に清潔な構造
  • 高高度な空調
  • 透視可能で、大きく動く片支持手術台
  • 照明(無影燈)
  • 高画質な透視装置
  • 3D画像(ハイスペック・コンピュータ)
  • 放射線遮蔽

具体的には、ハイブリッド手術室は手術室に最先端のカテーテル検査室の機能を持たせたものと言えます。
手術室には、高度に清潔がたもてる建築構造 100万分の1以下にごみを除去できる空調施設、天井からぶら下がった百キロ以上もある無影燈が必要です。カテーテル検査室としてX線透過性で大きく動く片支持の手術台、高画質で、CTや3D画像も構築できるハイスペックコンピュータを備えた透視装置と画像解析装置、部屋全体の放射線遮蔽のため鉛で包まれた構造が必要です。

TAVI:経カテーテル的大動脈弁置換術の取組み

TAVIとは

大動脈弁狭窄症に対して、カテーテルを用いた手法で大動脈弁植込術を行うことを指します。これまで、大動脈弁疾患の治療は、胸骨正中切開(胸の真ん中を約30センチ切開し、胸骨を縦切り)し人工心肺装置を装着したうえ、心臓を停止させ、狭窄弁を新しい人工弁に置換していました。外科手術での人工弁置換は、現在でも標準的な治療方法ですが、高齢、再手術、ステロイド内服、低栄養など、侵襲性の高い手術をうけるには、リスクが高い患者さんが実際にはおられます。これまで治療をあきらめなければならなかった患者さんでも、カテーテルで弁を治療するTAVIが可能となった今、国内では大きな広がりをみせています。

TAVIは、風船カテーテルに装填された人工弁を、狭窄して機能不全におちいった自己弁の上に拡張し留置します。鼡径部の大腿動脈から挿入する経大腿動脈アプローチ法、胸の皮膚の小さな切開から心臓の先の心尖部の動きの少ない部位に挿入する経心尖部アプローチ法があります。

高精細なイメージングモダリティを総合した評価

当院では、安全性の高い治療を提供するために、CTやエコーによる精細な画像解析と検討を行っています。

当院では、安全性の高い治療を提供するために、CTやエコーによる精細な画像解析と検討を行っています。

心臓CT:TAVIを行う際、アプローチ可能な部位を評価します。胸部から骨盤までの大動脈の性状や蛇行の有無、心臓の位置と胸郭の関係を明瞭化することが可能です。また、詳細に大動脈弁の石灰化分布や弁輪サイズを計測し、人工弁の適正なサイズを判断することが可能です。

心エコー

心エコー:大動脈弁狭窄症は、弁口面積や通過血流速度などの精密な計測が必須です。また、大動脈弁閉鎖不全症において行う3D解析を用いた形態評価では、詳細の再現が可能です。矢印は、大動脈弁に生じている皺状ひだ(Partial bending)という構造が、確認されています。

心エコー

カテーテル的な人工弁留置の実際

風船カテーテルの上にかしめた人工弁を弁輪部に配置し、風船を拡張して留置したうえ、風船を縮小させ、回収します。

カテーテル的な人工弁留置の実際

静岡県立総合病院のTAVI診療実績 (2015年12月~2016年12月)

超高齢者が、術後1日目でICUを退室し歩行訓練を開始、術後7-10日で在宅復帰します。
入院時に高度虚弱であった場合は、治療後、転院され、リハビリ継続をされています。
患者数19例(男性3例、女性16例)
平均年齢84歳(71歳~93歳)
ICU滞在日数 2日(中央値、2~9日)
自宅退院率自宅退院15例(79%)、回復期リハビリテーション病院等へ転院4例(21%)
認知機能(MMSE)28(中央値、30点満点で21点以下で認知機能低下)
5m歩行7.4秒(6~7秒以上:虚弱陽性)術前歩行困難症例3例
握力17.8kg(平均値)
ADL(Katz Index)6点(中央値、6点満点、4点は中等度虚弱、2点以下は重度虚弱)
CSHA4(中央値)

お問合せ

TAVIが適応される患者さんは、原則として外科手術をうけるにはリスクが高い場合に限定されています。 また、安全に提供させていただくための、適応基準も検討されます。TAVIに関するご相談、ご質問につきましては、かかりつけの先生と相談の上、お問合せください。
●ご予約・ご相談は
循環器外来のご予約(病診連携室)
Tel 054-200-6270 Fax 054-200-6271 (受付時間 平日8時30分~17時00分)

症例のご相談は代表電話で「循環器センター」へ
Tel 054-247-6111 (循環器内科・心臓血管外科外来受付時間 平日8時30分~17時00分)

ステント・グラフト治療の原理

ステント・グラフと治療

ステントグラフトは、折りたたんだ人工血管を、カテーテルという管を使って血管内に挿入し、傘のように開いて一瞬で人工血管置換術に相当することを行う手技です。

大動脈瘤の3D-CT画像

大動脈瘤の3D-CT画像01

大動脈瘤の3D-CT画像02

術前のCT写真と手術中の透視画像が合成できる

術前の3次元CT画像を、手術中の2次元透視画像に合成し、患者さまの体を移動させても追従できる機能が素晴らしい。

手術室のご紹介

ハイブリッド手術室:写真に続いて説明文

手術室には操作室がついていて、手術中に放射線技師や生理機能検査技師が様々なデータを収集、分析、合成し、医師へリアルタイムで提示します。

ハイブリッド手術風景:写真に続いて説明文

手術室の風景です。大きなモニターが医師の前にあります。一般の手術と違い、医師は大半の時間をモニターを見て手術を行います。

ハイブリッド手術室:写真に続いて説明文

患者の頭部の方から巨大な透視用のアームが伸びてきて、術中に多くのレントゲン画像を取ります。動画を見ながらカテーテル操作をします。このアームは患者の周りを素早く動き回ります。

ハイブリッド手術室:写真に続いて説明文

手前に向こうを向いて立っているのは麻酔科医です。アームが縦横無尽に動きまわるため、少し離れて麻酔を掛けなければなりません。外科医との連携が大切です。

人工心肺装置:写真に続いて説明文

万が一の時はすぐその場で普通の心臓手術が行えるように人工心肺も常備されています。

より良い治療を考える

ロダン 考える人

地獄の門のうえで、苦行の人々を真剣に見つめる
全身に力をため、時に詩人の如き美意識すら持ち、正面から、この先を考える

御存じ、県立美術館所蔵の、ロダンの考える人です。地獄の門の正面に据えられ、単品としては詩人という名で公開されました。
長年の願いであった、ハイブリッド手術室が完成し、我々の治療手段は大きく前進しました。しかし、これに満足せず、我々はさらに力をため技を極め、患者さんを想い、次なるより良い治療を考えます。