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人工心肺とは?

最終更新日:2014年12月19日

人工心肺説明イラスト

心臓の手術を行う際には「血液」と「拍動」の2つの大きな問題を解決しなければなりません。そのために使用するのが人工心肺(体外循環)と呼ばれる装置です。

全身から戻ってくる血液を、上下大静脈に入れた「脱血管」と呼ばれる管から、一旦体の外に導き、心臓の役割をする「ポンプ」に導きます。そのポンプの力により、肺での呼吸と同じく、血液から二酸化炭素を排出し、酸素を得るために「人工肺」に静脈血を送ります。
人工肺により酸素化された真っ赤な血液は、大動脈につながれた「送血管」と呼ばれる管から全身に送られます。この「人工心肺」により、手術中、自分の心臓と肺を血液が通過する事なく全身の血液循環を保つ事が出来ます。
心臓が動いたまま細かな手術するのは難しく、この心臓の「拍動」を止めるために、人工心肺から大動脈に送った血液が、心臓自身に血液を供給する「冠動脈」に行かないように大動脈を遮断します。これで心臓の筋肉をいわば酸欠状態にし、心停止の状態を作ります。ただ単に酸欠状態にすると生きている心臓の筋肉が障害を受けてしまうので、長時間心臓を停止させるために心筋保護液と呼ばれる特殊な液体を冠動脈から心臓の筋肉に注入し心停止中の心筋を保護します。

図に示す如く、人工心肺は人工的な管や回路を通して血液を一旦体の外に出してまた戻す、という必要不可欠ではあるが極めて非生理的な装置です。もともと血液は、血管の外に出ると固まる性質を持っていますが、血液が人工心肺の管や回路、人工肺の中で凝固してしまう(固まってしまうこと)と人工心肺による循環が維持できません。そのため「ヘパリン」という薬を使い、人工心肺の中で全く血液が固まらなくします。また、血液が「ポンプ」を通過する際に血液中の血液凝固に関与する「血小板」が壊れていきます。このように、人工心肺を使用する心臓の手術中は、「血液が全く固まらない」という特殊な状況下で行われるのです。無論、人工心肺終了後には、ヘパリンと全く逆の作用を持つ、「プロタミン」という薬を使い、血液の状態を通常の「固まる」状態に戻します。

また、患者に接続する人工心肺回路自体も、中を空気のままにしておくことはできませんので回路内を充填しておく必要があります。人工心肺は、体のサイズに応じて回路の大きさが変わります。体重が4kg以下では、人工心肺を接続してまわし始めたときに希釈されて極度の貧血にならないよう、人工心肺回路内に事前に血液を満たします。体重が4kg以上であれば人工心肺に血液を充填する必要はなく、晶質液(いわゆる生理食塩水等)を満たします。その場合血液は希釈され薄くなりますが、体重が4kg以上であれば、人工心肺開始直後の希釈による貧血はしのげ、あとは術中に必要であれば輸血を行うことになります。

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