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手術のアプローチ

最終更新日:2024年8月16日

心臓への到達には…

心臓は、胸骨、肋骨、鎖骨、椎体から囲まれる、「胸郭」というスペース内の前方に位置しています。そして心臓はこの胸郭の中で胸骨の真下に位置しています。そのため、心臓手術は「胸骨正中切開」と呼ばれるアプローチで行われるのが一般的な方法です。

「胸骨正中切開」とは、胸のちょうど真ん中、左右の乳首の間の体の中央線上で縦に1本の正中切開と呼ばれる皮膚切開を行います。その後中央にある胸骨自体も縦に2分して、「開胸器」と呼ばれる手術器具で2分した胸骨を左右に広げながら術野を作っていきます。胸骨の下に直接心臓があるのではなく、心臓は心膜と呼ばれる、心臓を包む巾着袋のような膜に覆われた状態で存在します。この「心膜」を開けるとようやく心臓に到達します。心膜は手術終了時に閉鎖しますが、あえて閉鎖しない場合や、心膜自体を治療に使用し、代替物を使用することもあります。

「胸骨正中切開」は、一般的には胸骨全体を切開しますが、年齢、体重、疾患や手術の重症度などを判断材料として、心房中隔欠損症や心室中隔欠損症の一部の症例においては、ときに小さめの皮膚切開や胸骨を頭側の一部を切らない「胸骨部分正中切開」(小切開)で手術を行うこともあります。

この「胸骨部分正中切開」(小切開)は、対象患者・基準を定めて行っております。安全で適切な手術が行える術野を確保できるよう、また皮膚切開縁に過剰な圧迫や張力がかからないよう、皮膚切開の長さを「身長の7%の長さの皮膚切開」をひとつの目安として定めております。ただ、当院の方針として、小さな皮膚切開に固執するあまり、手術のリスクがあがってしまうようなことはしない、「安全で確実な手術が行える胸骨部分正中切開」が最も大事な点であると考えています。また、実際にそのような症例はありませんが、術中の判断で危険と判断すれば「胸骨部分正中切開」から通常の「胸骨正中切開」に変更することもあります。「安全」と「確実」が手術の最も大事な要素であるという信念のもとに日々の手術を構築しております。

写真に続いて説明文

【胸骨正中切開】ほとんど大部分の心臓手術

写真に続いて説明文

【胸骨部分正中切開】心房中隔欠損、心室中隔欠損など、一部の負担の少ない手術が対象

開けた胸骨、皮膚をどうやって閉めるの?

手術終了時には、胸骨は多くの患者で胸骨閉鎖用の専用ワイヤー(針金)を用いて閉鎖します(新生児、乳児期早期は糸のみで閉鎖)。術後は1か月程度である程度治癒し、3ヶ月程度で元の強度を確保可能と考えております。元の強度に戻るまでは運動制限をかけることもあります。ワイヤー自体は術後にあえて取り出すことはありません。

根治術までに複数回の心臓手術を要する場合でも、基本的にこの「胸骨正中切開」を再度行いますので、何箇所もの手術創があるといったことはありません。創部治癒は成人と比較し、一般に小児の方がきれいに治癒します。が、複数回の切開を行った場合は回数を重ねるほど治癒は悪くなるのはやむをえないところです。創部治癒を早く美しくするため、「ステリテープ」で寄せたりすることもありますが、一方でテープかぶれなどを引き起こす可能性があります。また、アトピー性皮膚炎を合併した患者さんも増えています。患者さん一人ひとりに応じたきめ細やかな管理で美しい創部治癒を目指しています。


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