ラステリ手術
ラステリ手術は左室流出路狭窄、心室中隔欠損を伴う完全大血管転位症(3型に分類されます)に対する手術として始まった方法です。その後、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症や総動脈幹症など本来の右心室―肺動脈通路が狭い・ない(あるいは使えない)症例に対し、右心室と肺動脈を、人工血管を用いて通路を作成する手術を総じてラステリ手術、ないしはラステリ型手術と呼ぶようになりました。
手術の内容としては以下の2つです。
左心室-大動脈トンネル作成
心内構造を大きく変えることなく、左心室から心室中隔欠損を介して大動脈に向かうトンネルを作る(主にePTFEを使用)。
ePTFE: expanded polytetrafluoroethylene (商品名:ゴアテックス)
ただし、完全に導管になるわけではなく、かなりの部分を心臓内の組織を使って通路を作成するので、成長には期待できます(基本再手術は考えない)。
右室流出路作成
手作り弁付き人工血管、あるいはサイズにより十分大きくなれば、人工弁付き人工血管を用いて右心室と肺動脈をつなぎます。
いわゆるホモグラフト(亡くなられた患者さんの組織をグラフトとして使用)が使用できる外国と異なり、現在日本には、小児の肺動脈弁に使用出来る有用な人工弁が多くありません。また、最小でも19mmとかなり大きなサイズからしかありません。そのため、体格が小さい症例には、人工布(上記ePTFEなど)を用いて外科医が手作りした弁を人工血管に縫合し、右心室流出路として用いています。本来、人間の弁は非常に精巧なものであり、人工布を用いて作成した弁は劣化しやすく、遠隔期において閉鎖不全症や弁狭窄を生じることになります。また、自分の弁や血管と異なり、器械弁や人工物は成長しません。このため、ラステリ手術では、成長に伴い、将来的に再手術が必要となることが前提の手術と考えられます。
当院の過去の実績からは手作り人工弁付き導管は約5~10年で交換することがわかっていますが、これは材質の悪化という要因だけでなく、体格の成長に伴い、相対的狭窄が強まることも理由の一因です。
一方、体格の比較的大きい症例に対しては生体弁つき導管を使用します。生体弁は動物(ウシやブタ)の弁を応用して作成した器械弁になりますが、通常10~20年の寿命と言われています。が、成長期のお子さんに使用した場合はもう少し寿命が短いことが知られています。肺動脈弁では血流が早くないので血栓ができやすく、肺動脈弁に機械弁(カーボンなど人工素材だけで作成した弁)を使用することはかなり少ないです。
上記ラステリ手術の問題点を踏まえ、よりストレートな左心室-大動脈トンネルを作成し、右室流出路を、自己組織を用いて再建する方法としてREV手術が提案されました。いずれにも利点・欠点があり、患者さんの心内構造や大血管位置関係により、よりよい術式を選択することになります。
ラステリ手術は左室流出路狭窄、心室中隔欠損を伴う完全大血管転位症(3型に分類されます)に対する手術として始まった方法です。その後、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症や総動脈幹症など本来の右心室―肺動脈通路が狭い・ない(あるいは使えない)症例に対し、右心室と肺動脈を、人工血管を用いて通路を作成する手術を総じてラステリ手術、ないしはラステリ型手術と呼ぶようになりました。
手術の内容としては以下の2つです。
左心室-大動脈トンネル作成
心内構造を大きく変えることなく、左心室から心室中隔欠損を介して大動脈に向かうトンネルを作る(主にePTFEを使用)。
ePTFE: expanded polytetrafluoroethylene (商品名:ゴアテックス)
ただし、完全に導管になるわけではなく、かなりの部分を心臓内の組織を使って通路を作成するので、成長には期待できます(基本再手術は考えない)。
右室流出路作成
手作り弁付き人工血管、あるいはサイズにより十分大きくなれば、人工弁付き人工血管を用いて右心室と肺動脈をつなぎます。
いわゆるホモグラフト(亡くなられた患者さんの組織をグラフトとして使用)が使用できる外国と異なり、現在日本には、小児の肺動脈弁に使用出来る有用な人工弁が多くありません。また、最小でも19mmとかなり大きなサイズからしかありません。そのため、体格が小さい症例には、人工布(上記ePTFEなど)を用いて外科医が手作りした弁を人工血管に縫合し、右心室流出路として用いています。本来、人間の弁は非常に精巧なものであり、人工布を用いて作成した弁は劣化しやすく、遠隔期において閉鎖不全症や弁狭窄を生じることになります。また、自分の弁や血管と異なり、器械弁や人工物は成長しません。このため、ラステリ手術では、成長に伴い、将来的に再手術が必要となることが前提の手術と考えられます。
当院の過去の実績からは手作り人工弁付き導管は約5~10年で交換することがわかっていますが、これは材質の悪化という要因だけでなく、体格の成長に伴い、相対的狭窄が強まることも理由の一因です。
一方、体格の比較的大きい症例に対しては生体弁つき導管を使用します。生体弁は動物(ウシやブタ)の弁を応用して作成した器械弁になりますが、通常10~20年の寿命と言われています。が、成長期のお子さんに使用した場合はもう少し寿命が短いことが知られています。肺動脈弁では血流が早くないので血栓ができやすく、肺動脈弁に機械弁(カーボンなど人工素材だけで作成した弁)を使用することはかなり少ないです。
上記ラステリ手術の問題点を踏まえ、よりストレートな左心室-大動脈トンネルを作成し、右室流出路を、自己組織を用いて再建する方法としてREV手術が提案されました。いずれにも利点・欠点があり、患者さんの心内構造や大血管位置関係により、よりよい術式を選択することになります。
「右室―肺動脈導管」につぃては別ページもご覧ください。