ロス手術
簡単に言えば、 「大動脈弁の病気に対して、自分の肺動脈弁を大動脈弁に入れ換えて使ってしまいましょう。」という術式です。
ロス手術は主に大動脈弁の疾患(大動脈閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症)に対し、自分の肺動脈弁を大動脈弁に入れ換えて使用する手術です。大動脈弁の疾患に対しては、弁形成術、置換術(生体弁、機械弁)などがありますが、ロス手術の最大の特徴は、「大動脈弁として、成長の可能性のある、自己肺動脈弁を使用する」という点です。ただし、入れ換えのために使用してしまった肺動脈弁には多くの場合人工物を補填するので、「人工物を使用しない手術」ではありません(もともとの大動脈弁を新肺動脈弁として使用することはほぼほぼ不可能なため)。
具体的には、自分の肺動脈弁を、肺動脈の壁を付けた状態で筒状にくり抜き、同じくくりぬいた大動脈弁のところに移植します。なくなった肺動脈弁は手作り弁付き導管や生体弁つき導管などを用いて再建します。当然のことながら、ロス手術が行えるためには、自分の肺動脈弁に異常がないことが必須となります。また、肺動脈弁を大動脈弁と置き換えるために二つの弁の大きさが大きく異なっていると問題となります。サイズが違う(≒ほぼ肺動脈弁の方が大きい)場合はロス・コンノ手術という、大動脈弁下部を心室中隔側に拡大して肺動脈弁を移植する術式を使用します(概念はロス手術と同じ)。また、単純に肺動脈を弁ごと大動脈に移植するだけではなく、もともと大動脈の根元から起始している、心臓自身に血液を供給する「冠動脈」も新たに移植した肺動脈に移植しなおさないとなりません。
次にロス手術の利点、欠点を簡単にまとめます。
簡単に言えば、 「大動脈弁の病気に対して、自分の肺動脈弁を大動脈弁に入れ換えて使ってしまいましょう。」という術式です。
ロス手術は主に大動脈弁の疾患(大動脈閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症)に対し、自分の肺動脈弁を大動脈弁に入れ換えて使用する手術です。大動脈弁の疾患に対しては、弁形成術、置換術(生体弁、機械弁)などがありますが、ロス手術の最大の特徴は、「大動脈弁として、成長の可能性のある、自己肺動脈弁を使用する」という点です。ただし、入れ換えのために使用してしまった肺動脈弁には多くの場合人工物を補填するので、「人工物を使用しない手術」ではありません(もともとの大動脈弁を新肺動脈弁として使用することはほぼほぼ不可能なため)。
具体的には、自分の肺動脈弁を、肺動脈の壁を付けた状態で筒状にくり抜き、同じくくりぬいた大動脈弁のところに移植します。なくなった肺動脈弁は手作り弁付き導管や生体弁つき導管などを用いて再建します。当然のことながら、ロス手術が行えるためには、自分の肺動脈弁に異常がないことが必須となります。また、肺動脈弁を大動脈弁と置き換えるために二つの弁の大きさが大きく異なっていると問題となります。サイズが違う(≒ほぼ肺動脈弁の方が大きい)場合はロス・コンノ手術という、大動脈弁下部を心室中隔側に拡大して肺動脈弁を移植する術式を使用します(概念はロス手術と同じ)。また、単純に肺動脈を弁ごと大動脈に移植するだけではなく、もともと大動脈の根元から起始している、心臓自身に血液を供給する「冠動脈」も新たに移植した肺動脈に移植しなおさないとなりません。
次にロス手術の利点、欠点を簡単にまとめます。
利点 |
---|
• 単純な大動脈弁手術と比較すると、大動脈と肺動脈両方の手術を行う、また冠動脈を移植するために手術侵襲が大きくなります。 |
• 肺動脈は人工物に置換されるため、この部分の成長はありません。体の成長に伴って肺動脈部分の再手術は必要になる可能性があります。したがってある意味では、大動脈弁と肺動脈弁の2弁の疾患となってしまいます(ただし、肺動脈弁単独の再手術は、大動脈弁の再手術よりは手術リスクが低いと考えています)。 |
• もともと低い圧を受ける構造となっている肺動脈弁を、高い圧を受ける大動脈弁位に移植するので、圧力に負けて弁が悪くなってしまう可能性があります。また、利点で述べた成長という概念で、逆に圧がかかって成長(拡大)しすぎることがあります。 |
欠点 |
欠点 • 単純な大動脈弁手術と比較すると、大動脈と肺動脈両方の手術を行う、また冠動脈を移植するために手術侵襲が大きくなります。 |
• 肺動脈は人工物に置換されるため、この部分の成長はありません。体の成長に伴って肺動脈部分の再手術は必要になる可能性があります。したがってある意味では、大動脈弁と肺動脈弁の2弁の疾患となってしまいます(ただし、肺動脈弁単独の再手術は、大動脈弁の再手術よりは手術リスクが低いと考えています)。 • もともと低い圧を受ける構造となっている肺動脈弁を、高い圧を受ける大動脈弁位に移植するので、圧力に負けて弁が悪くなってしまう可能性があります。また、利点で述べた成長という概念で、逆に圧がかかって成長(拡大)しすぎることがあります。 現在、当院では大動脈弁疾患に対し、まずは大動脈弁形成術(弁の修理)を第1選択としています。大動脈弁形成ができない場合、ロス手術および大動脈弁置換術を考えていきます。一般的に年長児でのロス手術は長期も含めて成績がよいことが報告されており、新生児・乳児期早期にはロス手術を回避する方がよいかもしれませんが、この年代の大動脈弁形成術は難しいことが多く、上述のように人工弁も入らないので手術選択は非常に難しい問題です。 |