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無輸血手術

最終更新日:2014年12月18日

無輸血手術について

どんな手術であろうとも、皮膚にメスを入れて切る以上出血はつきものですが、心臓手術は、「人工心肺」を使用し、血液が人工心肺の中で「全く血液が固まらない状態」で行うある種特殊な状況下で行われる手術と言えます。

このように、人工心肺を使用する心臓手術では輸血を必要とすることが多いのですが、現在当院では、比較的軽症例に対しては「無輸血手術」を導入しておりますが、新生児や、重症の心疾患患者さんなどでは、輸血は非常に有用であることに変わりはありません。無輸血手術が可能であれば、もちろんそれに越したことはありませんが、人間の体は極度の貧血状態では生命を維持できませんので、この貧血の限界を越えてまで無輸血手術を遂行するのは決して体によくないばかりか、むしろこのようなことは避けるべきです。確かに輸血をした場合、ウィルス感染などの危険性が完全には否定できませんが、ウィルス検査の制度は飛躍的に改善してきた昨今、「輸血によるリスク」と、「輸血をせずに極度の貧血状態に陥ることによるリスク」の両者を比較し、また疾患名だけでなく、年齢、体重、術前の状態、他の合併症の有無などの様々な因子を考慮し、必要時に適切に輸血を行うことが最も重要であると考えております。

また当科では、他人の血液を使用しないという無輸血手術の概念をさらに発展させ、血液製剤(赤血球、血小板、新鮮凍結血漿など)だけでなく、「献血由来の血漿分画製剤」(アルブミン製剤、グロブリン製剤など)も含めて一切使用しない、「完全無輸血手術」という概念を提唱し、下記基準を満たした患者さんに対して、2002年から完全無輸血手術を開始しております。2009年現在、100名以上の患者がこの完全無輸血手術を終えております。

完全無輸血手術」の試みは、輸血ならびに献血由来薬剤の使用によるウィルス感染の可能性や、その他の合併症の防止を目的としています。このような危険性を少しでも減少させるため可能な限りの異物(自分のものではないもの)を使用しないことを目標に積極的に導入しております。完全無輸血手術の場合、血液製剤(輸血、献血由来の血漿分画製剤の全て)使用によるウィルス感染の可能性をほぼなくなります。

完全無輸血手術の対象は、以下の如くです。
  1. 体重12kg以上の単独の心房中隔欠損症、心室中隔欠損症患者
  2. 初回手術
  3. 止血、凝固異常などの血液疾患のない患者体重15kg以上の患者

また、完全無輸血患者(上記対象患者)に対して、2009年末から新たな試みを開始いたします。「心臓手術へのアプローチ」の項目にも示したように、従来まで、正中切開した胸骨は、部分切開、全切開に関わらず胸骨ワイヤーと呼ばれる「針金」で閉鎖しておりましたが、今後は、胸骨ピンと呼ばれる吸収性の胸骨固定用ピンと、胸骨閉鎖用の吸収糸で閉鎖していく方針です。最大の相違点は、針金と違ってこれらはともに吸収性素材であるという点です。すなわち、人工物ではあるものの、体内で自然に吸収されていき、しばらくすればなくなってしまうという点です。従来までの「針金」での閉鎖では、ずっと体内に針金が残り続けるため、CT検査で画像に金属による影響が出たり、通常のレントゲンにも映り続けるという問題がありましたが、これらは解消されると期待しております。完全無輸血症例は、よほどのことがない限り将来の再手術の可能性が極めて低いため、このような理由から極力「人工物」を使用しない手術を行っていきたいと考えております。