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心臓血管外科

最終更新日:2025年9月2日

ごあいさつ

静岡県立こども病院心臓血管外科ホームページにようこそ。
2007年6月、小児循環器センターがオープンしました。今度のセンターは、“専属医師を配置した小児循環器集中治療ユニット(CCU)”“世界中とIT連携が可能なネット会議室”を備え、広域連携を可能にする体制(ハード)を整えました。
しかし私どもは、技術革新によるハードが進む現在だからこそ、今まで以上に大切にしなければならないものがあると考えています。
人間として、医師としての基本姿勢(ソフト)です。私どもの変わらない基本姿勢を再掲させていただきます。

当院当科では一貫して「あきらめない」をモットーに、いかなる状況においても最善・最高の治療を提供すべく努力を続けております。また、提供するだけでなく、治療への理解を深めていただくために丁寧な説明を心がけております。
対象となる疾患群は先天性心疾患においてはすべてにおいて対応可能と考え、全力で治療にあたります。いわゆる欠損部を閉鎖する手術から心臓全体の構造を変化させる手術まで幅広く対応します。また、別臓器疾患との合併や、同時手術などにも積極的に取り組んでおります。


最近の当科治療傾向と特徴

肺動脈形成

当科では、肺動脈形成術の中でも、特に**主要大動脈肺動脈側副血行路(MAPCA)に対する肺動脈統合手術(Unifocalization)**を積極的に行っております。

2020年から2025年の間に22例の患児に本術式を施行しており、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損(VSD)にMAPCAを合併した複雑心疾患の患者さんが、全国各地から当院に紹介されています。

当科の治療方針は、できる限り乳児期に一期的な肺動脈統合(Unifocalization)を行い、可能であれば同時にVSD閉鎖を含む心内修復術を実施することで、チアノーゼの早期是正を目指す点にあります。

当院において、肺動脈を成長させることが生涯にわたる右室不全やフォンタン不全を防げると考え、かなり細い領域まで含めた肺動脈への積極的な介入を行ってきました。主なものとして、中心肺動脈形成、肺動脈内分離手術主要体肺動脈側副血行路に対する治療戦略の3つを紹介します。

中心肺動脈形成 (central pulmonary artery plasty)
単心室症に合併した肺動脈縮窄症に対し、縮窄部をすべて切除し、主肺動脈成分を使って中心肺動脈形成を行う手技です。通常のシャント術と比較し、肺動脈の形態がよく成長が得られる手技で多くがフォンタン手術に到達できています。


肺動脈内分離手術(intra-pulmonary septation, IPAS)
左心低形成症候群をはじめとする単心室症では肺動脈の成長が重要となるのは上述した通りですが、特に左右の肺動脈の成長に偏りがある場合は、フォンタン術後も一方にしか血流が流れない場合高い静脈圧が予測され、いいフォンタン循環を得られないことになります。そのような症例で、中心肺動脈内で分離を行い、健側はグレン(またはフォンタン)、患側はBTシャントによる血流を維持する術式(IPAS)を行っております。肺動脈の成長のためには血流が必要ですが、高肺血流は心不全を引き起こすため慎重な対応が必要です。

MAPCAを合併した肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症に対する治療は大変困難でその方法については常に論争の対象となります。当院ではMAPCAを1回で統一(unifocalization)し、さらに術中に肺血流テストを行い、根治術(心室中隔欠損閉鎖)まで行う方法をとっております。この方法は長時間手術となり侵襲も小さくないですが、術後の肺動脈に適切な肺血流を適切な血圧で流すことでよい成長が得られると考えられます。


大動脈弁形成

当科では、大動脈弁形成術を2020年から2025年の間に43例に実施しており、弁置換やRoss手術ではなく、成長を見据えて自己弁を温存する弁形成術を積極的に採用している点が特徴です。

弁尖短縮を伴う大動脈弁狭窄症に対しても、自己心膜を用いた補填による弁形成術を行い、将来的な弁置換やRoss手術の時期をできる限り遅らせることを目指しています。また、症例に応じては全弁尖を自己心膜で再建する弁尖置換術を、低年齢児においても実施しています。

手術症例の内訳は以下の通りです:

  • 大動脈弁狭窄症:24例
  • 大動脈弁閉鎖不全症:19例
(うち、大血管転位術後(Jatene術後)3例、Norwood術後3例、総動脈幹症6例 を含む)


手術時の**年齢および体重の平均(±標準偏差)**は以下の通りです:
  • 年齢:4.6 ± 4.5歳
  • 体重:15 ± 13kg

このうち、新生児が3例、3か月未満が4例、1歳未満が5例を占めており、乳児・幼児に対する繊細な手術にも対応しています。

将来的な成長や再手術の可能性を考慮した上で、長期的な機能温存と生活の質の向上を目指す治療方針が当科の大きな特徴です。

“open sleeve”法を用いた大動脈弁形成術
単一大動脈弁尖に対する新生児期大動脈弁狭窄症に対し、弁基部下まで切り込み、そこに三角形の自己心膜パッチを補填し新しい交連を形成する方法です。

スタッフ

坂本

病院長 坂本喜三郎

卒業年次
1985年卒

専門分野・資格
外科専門医
心臓血管外科専門医
心臓血管外科指導医

Keiichi Hirose

科長 廣瀬 圭一

卒業年次
1995年卒 医学博士

専門分野・資格
・心臓血管外科修練指導医
・心臓血管外科専門医
・外科専門医・指導医
・EVLT指導医
・静岡県立病院機構リサーチサポートセンター 研究員 臨床研究部 上級研究員
・浜松医科大学心臓血管外科 客員教授

Noritaka Ota

医長 太田 教隆

卒業年次
1997年卒 医学博士

専門分野・資格
・外科専門医・指導医
・心臓血管外科専門医・修練指導医
・臨床研修指導医
・浅大腿動脈ステントグラフト実施医
・腹部ステントグラフト実施医
・下肢静脈瘤血管内治療指導医

Hiroki Ito

医長 伊藤 弘毅

卒業年次
2005年卒

専門分野・資格
・外科専門医
・心臓血管外科専門医
・小児用補助人工心臓実施施設・実施医
・ECFMG certification

jin Ikarasi

医長 五十嵐 仁

卒業年次
2008年卒

専門分野・資格
・外科専門医
・心臓血管外科専門医
・集中治療専門医

nakamura

医長 中村 悠治

卒業年次
2014年卒

専門分野・資格
・外科専門医
・心臓血管外科専門医

Maeda

副医長 前田 登史

卒業年次
2015年卒

専門分野・資格
・外科専門医

Watanabe

副医長 渡部 聖人

卒業年次
2017年卒

専門分野・資格
・外科専門医

Kandou

副医長 菅藤 禎三

卒業年次
2018年卒

専門分野・資格
・外科専門医

ikai

関連医師 猪飼 秋夫

卒業年次
1988年卒

専門分野・資格
静岡県立総合病院 リサーチサポートセンター 臨床研究部 肺循環動態研究部長
岩手医科大学 心臓血管外科 客員教授
京都大学 心臓血管外科 非常勤講師
心臓血管外科専門医 修練指導者
外科専門医 外科学会指導医
静岡県医学奨学生 キャリアコーディネーター

お知らせ

公益財団法人 心臓血管研究所付属病院 より